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2016年5月3日
北西部の『アメリカのフクシマ』で放射能漏れ
posted in Daily News, Health, U.S. News by apocalypse29
ハンフォード核保留地は、オレゴン、アイダホ両州と接するワシントン州東部の平原に居座っている。その地は開かれており、太平洋沿岸を目指したり、反対に内陸の中部地域に向かったりする車がスイスイ行き交っている。保留地の600平方マイル[約1,500平方キロ]近くを占める敷地は、過去70年間、おおむね一般人の立ち入りが禁止されていた。だが、昨年末のこと、この地はマンハッタン計画国立歴史公園の一部に指定されたので、第二次世界大戦中、日本に投下された原子爆弾2発のうちの1発に使われたプルトニウムを生産したB反応炉の見学がやがて許されるようになる。
これは、40年のあいだ、アメリカの核兵器装備を供給してきた場所にしては、希望の持てる動きである。ハンフォードでかつて計9基の反応炉が稼働しており、いま解体されているものの、5600万ガロン[212,000立方メートル]の放射性廃棄物を残した。放射性物質でそれほど汚染された場所が公園になる見込みは、明るい兆しだった。
核廃棄物を保管するタンクの新たな破損を示唆する最近の報道によれば、あながち、そうでもないようだ。施設の作業員たちが病気になってもいて、大急ぎでハンフォードを公園に指定するのは、時期尚早だったのかもしれない。
177基の地下タンクが恒久的な解決策であったことは決してなく、政府は、廃液を固体化して、恒久的な安全保管に向くように仕上げる工場を建設するために民間請負業者と契約していた。その事業には驚くほどの1100億ドルの費用がかかり、そのため、おおかたの人はこれが世界でも最も高価で大規模な環境修復事業であると信じている。完成は、ほぼ50年後の話である。
筆者がハンフォードを訪れた2013年当時、廃棄物処理工場――核物質のスラッジをタンクから汲み取り、それをガラス状の物体に固化加工する施設――の建設は遅れており、技術的課題が山積していた。同時に内部告発者たちも、民間請負業者らが工事の完成を急ぐあまり、安全性と工学上の不安を無視していると言い立てていた。その他にも、正気の観測者たちがその場所を核の火薬庫になぞらえていた。その結果、ニューズウィーク誌の巻頭特集記事が「アメリカのフクシマか?」と問いかける始末だった。
気がかりなことに、問題は未解決なままである。新しい方の二層外殻タンク28基のうち、タンクAY102から有毒スラッジが表層土に漏れていることがわかっている。シアトルのニュース専門局、KING5の報道によれば、もうひとつの二層外殻タンクAY101もやはり漏れていると信じられているそうだ。同放送局が入手した請負業者のメモは、「試料が二層外殻タンクの一次遮蔽から漏出したタンク廃液のものである可能性」を認めている。その資料には、セシウム137、ストロンチウム90のような放射性同位体が含まれているようだが、それぞれのタンクに保管されているスラッジの正確な成分構成はだれにもわかっていない。それでも、ワシントン州のトライ=シティ地域で暮らし、仕事をしている数千の住民にとって、その漏れが凶兆になることは、だれにも確かにわかっている。
労働者たちの発病とふたつ目のタンク漏れの発覚は、ありえないように思えたハンフォードの自然回復を期待する熱気に水を差したようである。ごく最近の発覚のあと、核エネルギー歴史学者がリベラル派サイトのカウンターパンチに寄稿した記事[当ブログ日本語訳]で、「わが国はハンフォードで、フクシマから放出され、日本に蓄積したものよりも大量の放射能が…放出され、西海岸と西部山地の一帯に拡散しうる、放射性物質の爆発やテロ行為のリスクを抱えている」と警告した。
これは、わが国で最も新しい国立公園のひとつをめぐる望ましくないなりゆきである。たぶん連邦政府は、この公園指定について傲慢だったのだろう。人災の恐れが不気味に浮上しているときに、自然を満喫するのはむつかしい。
Tags: american, leaking, nuclear waste
【クレジット】
News
for the Blind, “Nuclear Waste Leaking at ‘American Fukushima’ in Northwest,” by
apocalypes29, posted on May 3, 2016 at;
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