2018年8月16日木曜日

【#ハンフォード】☢放射性廃棄物保管トンネルの現状変更に関するパブリック・コメント


トリシティ・ヘラルド紙
[訳注]トリシティズTri-Cities)とは、米国ワシントン州ハンフォード核保留区の後背地に位置する3自治体、ケニウィック、パスコ、リッチランドを中心とする広域都市圏。人口は2010年国勢調査253,540人。

ハンフォード核保留区で昨年秋、部分的に崩落した廃棄物保管トンネルの天辺に注入するために、ポンプ車に充填剤を届けるコンクリート・ミキサー車の群れ。この作業は緊急認可のもとで実施されており、ハンフォード当局者らは目下、第2トンネルの崩壊を防ぐため、これにも充填したがっている。Courtesy DOE


州政府はハンフォードに「ノー」を突きつけ。放射性廃棄物保管トンネルの安定化は足踏み

アネッテ・キャリー ANNETTE CARY
2018813

【ワシントン州リッチランド発】ハンフォード当局者らは、パブリック・コメント[意見公募]期間が終了するまで、放射性廃棄物を保管しているトンネルをコンクリート様の充填剤で満たす作業に着手できないことになった。

エネルギー省は、トンネルが崩落しかねないと懸念を募らせ、充填作業を始めるための暫定的な許可を与えてほしいと州政府に要請した。

だが、現時点で許可を得ようとすれば、パブリック・コメント期間を求める法的な規定を迂回しなければならない。

エネルギー省は、冬を迎えて最悪の天候が到来する前にピュレックス[PUREX=プルトニウム・ウラニウム溶媒抽出]工場の第2廃棄物保管トンネルの充填が完了するか、あるいはほぼ完了することを期して、暫定許可を望んでいた。

ワシントン州エネルギー省核廃棄物プログラム管理監、すなわちハンフォード核保留区の除染作業を監視する州政府の規制担当官、アレックス・スミスは、次のように述べた――

「われわれは、この重要な除染の決定に関する意見を表明する公民の権利と、トンネル内の廃棄物の安全確保を図る必要性のあいだでバランスをとっております」

2か所の廃棄物保管トンネルのうち、古くて、短いほうが20175月、部分崩壊を起こしたあと、第2トンネルの構造評価が実施された。

[訳注:原文では、ここにビデオが掲載されているが、本稿でここに掲載すると何故か不具合が生じるため、本稿の末尾(関連記事リストの下)に移しました]

1964年に建造されたトンネルは、高レベル放射性廃棄物で汚染されており、廃棄されたり、壊れたりした装置を積載した鉄道貨車28両を収容している。廃棄物は、国家の核兵器計画のためにハンフォードで稼働された過去のプルトニウム生産の残り滓である。

評価の結果、第2トンネルもまた崩壊の深刻なリスクを抱えていると結論された。

今年の春、高レベルに汚染された内部を調査したビデオがボルト類と溶接板の腐食状況を示すにおよんで、懸念が募った。

エネルギー省は対応策として、同省が委員を指名した有識者パネルが推奨した安定化手法、トンネル充填作業を推進するための認可を要請した。

トリシティズの市長団もまた州政府に対し、住民集会を省略するように要請した

ケネウィック、リッチランド、パスコ、ウエスト・リッチランドの首長らからの書簡に、集会が「われわれの地域が抱えている、潜在的に破滅的なトンネル崩壊のリスクを削減させるはずの、有識者パネル推奨の行動を、最大1年間にわたり、遅らせる可能性があります」と認められていた。

1964年に建造されたトンネルは、高レベル放射性廃棄物で汚染されており、廃棄されたり、壊れたりした装置を積載した鉄道貨車28両を収容している。廃棄物は、国家の核兵器計画のためにハンフォードで稼働された過去のプルトニウム生産の残り滓である。

エネルギー省は、充填が潜在的な崩壊を食い止める最善の策だというが、エコロジー省官僚によれば、反対派は充填が恒久的な解決になりかねないと危惧している。

エネルギー省は、この方法によって汚染物を包み込むことになり、ブロックに切り分けることができるという。エコロジー省によれば、反対派の一部はこれが実現可能なのかと疑義を申し立て、廃棄物は除去されるべきだと主張する。

スミスは、こういう――

「われわれの最優先課題は常に、ハンフォード作業員、住民の安全であり、環境保護なのです。

「だが、われわれはまた、意見公募手続きもまた強く支持しております。充填剤の流入が一度開始されますと、もはや住民には、決定に介入する意義深い機会がなくなってしまいます」

州政府はエネルギー省に対し、充填作業に必要になる装置の設置を始めるのを許すことになる。作業は始まっており、ハンフォードにおける事業のために移動式の充填剤調合設備が持ち込まれた。

トンネルの安定化にためには、トラック5,000台分の資材が必要になる。

エネルギー省は、とりわけ長期天気予報がワシントン州東部の冬は異常に降水量が多くなると予告しているとして、道路が凍結する前に充填を終わらせたいと述べた。

通常程度に湿度が高く、雪が多い冬が、土に水分を浸透させ、トンネルの平らな天辺にかかる重量が増大し、第1トンネルの部分的崩落の一因になった可能性がある。

ハンフォード関係者らは、第2 PUREXトンネルがいつまで持ちこたえるか、予想もできないといった。

エネルギー省リッチランド事業事務所長、ダグ・シュープは先週のハンフォードコモン委員会主催の住民集会で、「あと50年もつか。50日もつか。言えたらいいのですが」と発言した。

シュープは、第2トンネルが崩壊すると、落下する鉄骨がドミノ現象を起こして、廃棄物容器を貫く可能性があると述べた。そうなれば、放射性物質の大気中放出の見込みが高くなる。

1トンネルが部分的に崩落したさい、大気中漏出放射能は検出されなかった。トンネル上部の土が崩れ落ち、トンネル内の鉄道貨車8両に積載されていた廃棄物を覆ってしまったのである。

州政府の意見公募期間は今月13日の月曜日に始まり、927日に終わる。これは、やはり法的に義務付けされたエネルギー省の意見公募期間に続くものである。

住民集会は、827日にリッチランド公共図書館にて午後530分開会、95日にシアトルのワシントン大学都市園芸センターで午後630分開会と予定されている。

意見はワシントン州政府エコロジー省サイトのPublic Comment FormPUREX保管トンネル現状変更許可――第2意見公募期間――ハンフォード)ページにてオンライン表明できる。また、Daina McFadden, 3100 Port of Benton Blvd., Richland, WA 99354宛てに郵送することもできる。

Annette Cary; 509-582-1533; @HanfordNews

【クレジット】

Tri-City Herald, “State tells Hanford ‘no.’ Stabilizing the radioactive waste tunnel must wait,” by Annette Cary, posted on August 13, 2018 at

【トリシティ・ヘラルド記事】

201882日木曜日
今月、航空撮影されたハンフォード核保留区の高度に汚染されたプルトニウム仕上げ工場の残骸。青い色は、放射能汚染物質が空中に舞い上がるのを防ぐために散布された定着剤による。
David Wyatt Courtesy Department of Energy

【ハンフォード関連記事】

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【原文掲載のビデオ】



ハンフォード核保留区の第1トンネルは20175月に崩壊した。政府当局者らと契約業者らは将来の被害に備えて、両トンネルの安全防護対策に関する協議をつづけている。
By Kamaria Roberts





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