2018年8月21日火曜日

グローバル☢被ばく者【ブログ】帳の奥に隠された #フクシマ☢放射能災害を見てはならぬ



グローバル被ばく者
Global Hibakusha



帳の奥に隠された放射能災害を見てはならぬ


by Bo
14-08-2018



日本政府は、東京2020年オリンピック大会が有効な広報機能を発揮して、日本のイメージ、とりわけ北日本と福島の放射能汚染イメージを払拭することを明らかにねらっている。福島第一原発の現場そのもの、そして爆発によって地域全体に降り積もった放射性物質の跡が修復されていなくても、一般人の認識は修復されるだろう。これが、放射能災害に見舞われた先進諸国政府のふるまいの典型例である。災害そのものは払拭するのが非常に困難で、一掃する準備を整えるだけでさえも数十年かかるので、大々的な広報活動のために大金が割り当てられる。広報活動は、完遂できる仕事であり、成功できると考えられている。広報活動は、政府の大衆イメージ操作を前進させるし、それにまた核惨事の修復にかかわる全般的な傾向が決め手を欠いているもののひとつである昨今、お任せ意識の拡散もする。

日本政府はその目標に向けて、来るべきオリンピック大会のメディアお祭り騒ぎにフクシマ現場と認識を組み込んでしまおうと目論んでいる。日本全国の都道府県を巡るオリンピック聖火リレーの旅路は福島県を出発*にしており、これは、政府が「安全」を宣言し、強制避難者への公的資金供与を削減して以来、多くはわずかな帰還者しかいない、かつての避難区域自治体への再定住を促すことを狙った象徴的な再生を意味している。

政府はまた、野球とソフトボールといった幾つかのオリンピック競技を福島県で開催しようとしている。東京2020年オリンピック大会準備委員会の森喜朗会長は、「東京2020年オリンピック大会は20113月の災害から日本が回復し、再建したことを見せるショーケースでありまして、わたしどもはさまざまな形で、人びと、とりわけ被災地の皆さんの励ましになるものにしたいと存じます」と述べた。

このフクシマが安全だとする積極的なブランド復活は、今もなお進行中のリスクを思い起こさせる物理的な存在を除去することを含んでいる。中央政府は最近、各地の一般向け放射線モニタリング・ポストの80%を撤去すると発表した。これらの放射線監視装置は外部ガンマ線量を測定するだけであり、これは(20113月の爆発で発生したプルームからの放射性降下物として地域を包み込んだ内部被曝性の放射性粒子を原因とする)住民に対する最重要なリスク要因ではなく、また元来、放射線源粒子は地表に存在するので、これらのガンマ線検出器を空中に設置すると読み取り値が低くなると論じることができる。モニタリング・ポストはそれでもなお、リスクが今なお厳然していることを思い出させる具体的で具現的な構造物なのだ。 

見直し対象のひとつである福島県只見町立明和小学校入り口近くのモニタリング・ポスト。25日に訪れると、毎時0.064マイクロシーベルトを示していた=只見町小林
出処:前節リンクの朝日新聞オンライン英語版記事。朝日新聞オンライン日本語版「福島)放射線量測定装置、継続要請相次ぐ

フクシマのイメージを修復する、もうひとつのステップが、汚染レベルが高くて、居住制限が解除されていない地域を通っており、これまで閉鎖されていた国道の開放である。「日本のNGOが、福島第一原発の近くを通っており、新たに開放された国道114号線に設置された標識の写真をソーシャル・メディアに投稿した。看板は『できるだけ迅速にご通行ください』と人びとに告げており、しかも英語表記である。この一筋の国道は、災害による最高レベル放射線地帯を区切って、福島第一原発のすぐ北を走り、福島市に通じている」と、SimplyInfoサイトに投稿された記事が記している(原注:筆者はSimplyInfo調査集団の同人)。上記の写真は、これ――

(高レベル放射線区域)できるだけ迅速に、ご通行ください」

2020年オリンピック大会に向けて、地域のイメージの修復を図る活発なキャンペーンが明らかにあり、この取り組みは開催期日が間近に迫るにつれて、疑いなく強化されるだろうが、その一方で、地域社会でも、国全体でも押し戻し、抵抗する動きもある。県都、福島市(福島第一原発現場から約80 km)のJR駅で最近、除幕された立体作品が物議を醸している。英紙ガーディアン記事が、次のように伝える――

「ヤノベ・ケンジの造形作品は、黄色の防護服風のスーツを着用し、片手にヘルメット、もう一方の手に太陽を表すアート造形物を掲げた子どもを表現している。

「ヤノベは日本と海外各地の美術展で展示されたあと、自治体が設置した彼の作品『サン・チャイルド』について、核のない世界を求める彼の願いを表現しているという。

「アーティストは、福島第一原発がチェルノブイリ以来で世界最悪の核災害の現場になってから7年以上たった今、地元の子どもたちが放射能から自衛する必要があるという印象を与えるつもりはないと語った。

「彼は、子どもがヘルメットを着用していないし、胸のモニターは放射線レベル“000”を表示していると指摘した」

福島市に設置されたヤノベ作品『サン・チャイルド』像

福島市の市長をはじめ、何人かの人たちが、この像は地域の子どもたちの希望あふれる未来を強調していると称賛した一方で、他の人たちは、この像は地域の子どもたちになんの危険もないとほのめかしていると批判した。

この造形作品は、人がどのようにそれを解釈しようとも、この地域では、物事が正常から遠く掛け離れているという事実を人びとに突きつけている。中央政府が、高く掲げた帳の奥で起こっている事態に人びとが注意を向けないように願うあまり、強固な力をこめようとも、これははっきりしている。

【クレジット】

Global Hibakusha, “Pay no attention to that radiological disaster behind the curtains,” by Bo, posted on August 14, 2018 at https://globalhibakusha.com/page-2/?permalink=hiding-fukushima-behind-the-curtains-in-official-japan.

【筆者】

Bo, aka Robert Jacobs
ボー、またの名をロバート・ジェイコブズは、核テクノロジーと放射線テクノ政治を対象とする歴史学者、広島市立大学の広島平和研究所および大学院国際学研究科の教授。

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