2018年8月2日木曜日

トリシティ・ヘラルド【地元記事】ハンフォード解体作業員の汚染、昨年は42名に

トリシティ・ヘラルド紙
[訳注]トリシティズTri-Cities)とは、米国ワシントン州ハンフォード核保留区の後背地である3自治体、ケニウィック、パスコ、リッチランドを中心とする広域都市圏。人口は2010年国勢調査で253,540人。


昨年の被汚染作業員が42名に
ハンフォード除染請負業者、今回はもっと安全に

アネッテ・キャリー ANNETTE CARY
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【ワシントン州リッチランド発】ハンフォードで最大限に放射能汚染された建屋のひとつを解体する作業が10月、より慎重かつ意図的に作業を実施する新たな計画のもとで再開されるかもしれない。

その工場建屋の取り壊しは20296月に終了する可能性があり、そうなれば、核保留区内で長期にわたり、時には厄介な事態に陥った事業が完了することになる。

プルトニウム仕上げ工場における作業は、201712月に放射性粒子が拡散し、11名の作業員が粒子を吸入したり摂取したりして、少量の放射能で汚染し、彼らの体内で放射能が崩壊する事態になって、その時に中断された

その11名が、20176月に放射性粒子が空中に舞い上がって、汚染された31名の作業員に加えられることになった。


12月の事故では、自家用車や公用車が放射能で汚染し、その一部は町に乗り入れた。

今月、航空撮影されたハンフォード核保留区の高度に汚染されたプルトニウム仕上げ工場の残骸。青い色は、放射能汚染物質が空中に舞い上がるのを防ぐために散布された定着剤による。
David Wyatt Courtesy Department of Energy

12月とそれ以前にも、コロンビア川の近く、そして施設内だが一般道240号線に近接したラトルスネイク・バリケードで汚染が見つかっており、少量の放射能汚染が何マイルもの距離に渡って拡散していることがわかる。

工場の取り壊しは屋外で重機を使っておこなわれており、新たな工事計画では、解体中に汚染区域にテントを設置するなど、なんらかの被覆をかけるといった必要な対策の不備を解消することになる。

ジェイコブス工学技術グループのキャレン・ウイモルト上席副社長は、テント、その他の被覆設備を設計し、資材を購入し、設置する作業に2年はかかるかもしれないと語った。

その期間中、部分的に解体された建屋は劣化が進行するだろうし、小動物が汚染区域に入り込んで、汚染物質を拡散するのを防止するのは難しいだろう。

事業を早期に完了できる無被覆解体方式が、リスク度が比較的に低い選択肢であるとして選ばれた。

ウイモルト上席副社長は、「管理を強化して、念には念を入れて進めるほうが、遥かに意味があります」と述べた。

ジェイコブス傘下の工場解体請負業者、CH2Mヒル・プラトー・リメディエイションは、核保留区施設の解体およびその関連作業の再開にあたって、管理の改善を計画している。

放射性物質を検出するモニターの設置箇所を増やすことになる。それに加えて、モニターの確認回数を増やし、夜間よりも解体作業中の昼間の確認を重視する。

解体作業は、一度に施設の1か所だけでおこなわれることになる。2か所同時解体路線は、法的な強制力のある最終完工期限に間に合わせるために、作業スケジュールの遅れを取り戻す手段として始められた。

以前のように解体作業が加速すると、地上に置かれた瓦礫の山から汚染が拡散したかもしれない。

解体作業の再開にあたって、当日発生分を超える瓦礫の堆積は許されないと、ウイモルト氏は述べた。

昨年12月、ハンフォード核保留区、プルトニウム仕上げ工場プルトニウム再生施設の壁の取り壊しが進められていた。2か所の基部を除いて、壁のほぼすべてが解体された12月中旬、放射能汚染の拡散が見つかった。
Department of Energy

CH2M社は、汚染粒子を定位置に「糊付け」するために塗料のような定着剤を使い続けるが、メーカーが推奨する使用方法に従うことになる。

12月の汚染拡散を招いた問題の検証の結果、散布を容易にするために、定着剤が希釈されていたことが判明した。

新規解体計画は、作業を2局面に分けて、リスク度が最低である作業から着手することを求めている。

12月に作業が中断されたあと、工場の主要区画の地面に汚染されているのに剥き出しのまま放置されていた解体瓦礫は、9月になれば、すぐにでも除去することができるようになるだろう。

その翌月、建屋の主要部の残りについて、プルトニウムを収納していたアーチ型保管庫と併せて、解体を再開できるだろう。

この工場は冷戦期のあいだ、国家核兵器計画に必要なプルトニウムの3分の2近くを処理していた。プルトニウムは溶液の形で工場に搬入され、粉末またはアイスホッケー・パック大の円盤状成形品に加工されて、兵器製造工場に向けて出荷されていた。

加工処理の大半はグローブ・ボックスを長く連ねたラインでおこなわれ、作業員らはボックスの前面に設置された手袋を使って作業箇所に手を伸ばしていた。

おそらく1月には着手できる解体作業は、これまで以上にリスク度が高くて、2系列の生産ラインの取り壊しが含まれる。

グローブ・ボックスのほとんどは、すでに取り除かれているが、長年にわたる生産中に汚染が蓄積された区画は、場所によって塗料で固定されたか、またはタイルで覆われていた。

ハンフォードのCH2Mヒル・プラトー・リメディエイション社の作業員らは、核保留区内の高度に汚染されたプルトニウム仕上げ工場の解体の準備をしていた昨年12月、汚染が拡散する前に梱包されていた瓦礫を運び出してきた。
Courtesy Department of Energy

汚染封じ込めの一助として、排気装置を使って、一帯の空気を吸引することになる。

解体の最終工程は、工場のプルトニウム再生施設に残された解体瓦礫の搬出である。

昨年12月には、プルトニウム仕上げ工場の主要部の一端に付属する施設は大壁を残すのみで解体されていた。

そこで、汚染の拡散が露見した。

ウイモルト氏は、瓦礫の除去にさいして、汚染が空中に舞い上がらないように、厚さ数インチの土砂で覆われている瓦礫の堆積を水浸しにし、泥でベトベトにするという。

プルトニウム再生施設は、工場のなかで最大限に放射能汚染された部分であると信じられていた。

ハンフォード職員らは、312グラムのプルトニウム、またはその関連核種が解体事業で残されていると語った。その大部分、238グラムは再生施設の瓦礫の堆積のなかに、64グラムは工場の加工処理ラインが設置されていた部分にある。

汚染が拡散したあと、事業の規制官庁、ワシントン州エコロジー省は作業停止命令を発布した。

同省は6月、8月の解体作業再開に先立って策定された作業管理見直しに挙げられたものを含め、改善がなされることを条件に低リスク作業に関する命令を解除することに同意した。

エコロジー省は、先行の作業が完了し、汚染拡散を防止する管理強化の効果の有効性が評価された場合のみ、高リスク作業の中止命令解除を考慮することになる

CH2M社には、同社の10年間工期契約の条件として、工場解体の工期内完了を奨励する意味から、最大5100万ドルを稼ぐ機会があった。

同社は2012年までに1200万ドルを稼いだが、それ以上の稼ぎを売る見込がないと見られている。

作業はほぼ20年前、冷戦の終結時に溶液として工事に残されていたプルトニウムの安定化処理を手始めに、工場解体の準備をすることから始められた。

解体作業は2016年遅くに始まった。

法的拘束力のある三者合意で定められた解体期限日は過ぎ去ってしまった。

その期限日は、1年間の工期延長を含めて、20179月末だった。だが、その後、作業の中心課題は、工期の遵守から安全を旨とした作業完了に移っていた。

Annette Cary: 509-582-1533; @HanfordNews

【クレジット】



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