2014年4月19日土曜日

@fairewinds 名古屋の住宅で見つかった一番ホットなホット・パーティクル


一番ホットなホット・パーティクル

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フェアーウィンズは3年前、日本と北米西海岸の全域に撒き散らされた「ホット・パーティクル」について語った最初の団体のひとつになりました。ホット・パーティクルは危険であり、検出も困難です。カルト―フェンさんはこのビデオで、ご自身が見つけたなかで最もホットなホット・パーティクル、しかも福島第一現場から300マイル以上も離れた場所で見つかったものについて論じます。もしフェアーウィンズ・エネルギー教育が日本のウェブサイトであると仮定すれば、特定秘密保護法がこのビデオの公表を阻んでいたかもしれません。アーニー・ガンダーセンがビデオのはじめと終わりに内容紹介と要約を手短に語ります。
Transcript


ようこそ、フェアーウィンズのアーニー・ガンダーセンです。今日は、専門エンジニア、マルコ・カルト―フェンが登場する「フェアーウィンズ・エネルギー教育」制作ビデオ有数の重要な一編を観ていただきます。フェアーウィンズは3年前、日本全域と北アメリカ西海岸に飛び散った「ホット・パーティクル」を最初に話題にした団体のひとつになりました。ホット・パーティクルは危険ですし、検知も困難です。このビデオで、カルト―フェンさんは、彼が見つけたなかで最もホットなホット・パーティクルについて論じますが、それは福島第一原発から500キロメートル以上も離れた場所で見つかったものです。
もしフェアーウィンズ・エネルギー教育が日本のウェブサイトであると仮定すれば、特定秘密保護法がこのビデオの公表を阻んでいたかもしれません。では、ビデオ巻末でわたしが手短に要約をお話します。
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マルコ・カルトンです。

民間エンジニアであり、ワーチェスター工芸研究所の博士候補になっています。わたしの研究の大半は、放射性汚染物質と化学汚染物質を観察するものであり、それらがハウスダストとともに舞い上がる様相を調べています。そうする理由は、一般人が放射性汚染物質のようなものに被曝するのに、ハウスダストが非常に重要な媒体になるからです。
東京の換気フィルター(左)と放射能写真(右)
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屋内の環境を見てみますと、屋外の環境よりもはるかに汚染されています。家屋は捕集トラップの働きをし、屋外の汚染物質を集める傾向があります。たいがいの人たちが屋外で過ごす時間がどれほど短いかを考えると、屋内の汚染物質は一日24時間ほども人間を被曝させます。あなたの被曝量は、実際にはもっと少ないのですが。

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ソーシャル・メディアの利点のひとつですが、わたしたちは多くの人たちに呼びかけ、ボランティアの個人とか、ボランティア活動団体や科学研究組織と連絡をつけることができます。そういう人たちが、真空掃除機バッグ、あるいは住宅換気フィルターとか住宅機器類のようなもののフィルターから採取したサンプルといった屋内ダスト試料をわたしたちに送ってくれるわけです――自宅に備えているエアコンだとか、暖房換気装置のフィルターなどですね。そして、わたしたちはこういう試料をすべて調べる簡単明瞭な手法をじっさいに開発しました。これを使って、戸別ごとに人びとの被曝量を比較することができます。
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北日本の試料を調べました。東京の試料を調べました。米国とカナダの試料を調べました。人びとのじっさいの被曝量はどんなものか、感触をつかもうとしたのです。だから、ホット・パーティクルを探しに行ったのです。放射線被曝のことを語るなら、法的な視点で見ると、まず人びとの受ける平均的な被曝量を求め、比較対象に使えるある種の安全レベルを特定するのです。あなたが安全だと思える平均レベルを超えるようでしたら、なんらかの方策を立てるなり、ある種の除染を考えるなり、なんとかしなければなりません。
放射能写真:自動車エアフィルター
2011年4月、エックス線画像
シアトル(左)東京(中)福島市(右)
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わたしたちの作業に見る違いでいえば、人びとの受ける平均的な蓄積レベルがある一方で、ある人たちの蓄積レベルがもっと高かったり、もっと低かったりします。それはホット・パーティクルがどれほど多いかしだい、元の事故現場から空気に乗って、だれかの家に入りこむホット・パーティクルがどれほど多いかしだいです。
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ホット・パーティクルが摂取または吸入されうるほどに小さいなら、それが平均被曝量を超えているかどうか計算しなければなりません。人びとの被曝の2種別――(1)平均的な被曝、(2)ホット・パーティクルによる被曝――を比較すると、事故現場から分配されたホット・パーティクルが比較的少ないので、ホット・パーティクルによる被曝のほうが稀であるということになるでしょう。ですから、たいがいの人はまったく被爆しません。

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だが、何人かの人たちはひとつまたはひとつ以上のホット・パーティクルに被爆します。また、そのホット・パーティクルによる被曝は、だれもが受けている平均的な被曝よりも、じっさいに大きいということがありえます。ですから、人びとになにが起こっているか、ほんとうに理解したいなら、被曝の2種別両方を測らなければなりません。
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そこで試料を入手すると、わたしたちは日ごろしている一連の分析をひと通りやります。平均的な被曝量を得るために、非常に基本的な分析をおこないます。ガンマ分光分析というものを使います。ガンマ分光分析には100年ほどの歴史があり、試料中にどの同位元素があるのか、どの放射性物質があるのかを調べるのに使います。
名古屋:ダスト試料パーティクル1
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さて、フクシマについてですが、わたしたちは通常、3種の同位元素を何度も何度も調べます。そのうち2つはセシウム134とセシウム137です。これら両方が一定の比率で存在すると、どうやらフクシマ事故に由来する物質で汚染されたものを見ているのだと確信することができます。これは核分裂生成物であり、ある種の核反応が起こって初めてできるものです。観察する他のものはラジウム226です。これは、第一段階で核反応プロセスを開始させる元のウラニウム燃料にじっさい関連しています。
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以上の3つが、わたしたちがダスト試料を検査しているときに探しているものです。これら3つが見つかると第2段階に進み、ホット・パーティクルが存在しているか、試し、特定します。やり方はどうかといえば、ホット・パーティクル分析をおこなう次の段階に進めたいと思うサンプルを特定すると、じっさいに微細粒子を(ふる)い出し、銅板の上に拡げて、エックス線フィルムに感光させます。感光期間は1周間です。さて、これはいわば古いテクニックです。たぶん100年以上の古いものでしょう。だけど、これでなにが起こるかといえば、ダスト試料のなかの小さな放射線学的にホットな粒子のある場所を特定します。
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じっさいにエックス線プレートを現像し、位置決めの明確な結果が得られると、細密ナイフを用いて取り出し、アルミ製顕微鏡スライドに載せて、走査型電子顕微鏡で分析することになります。どんな旧型の顕微鏡でもよいというわけではなく、じっさいに元素分析ができるものでなければなりません。顕微鏡を覗いていると想像してみてください。近ごろでは、ビデオでなんでもできます。個々の粒子を、5,000倍、10,000倍、15,000倍と拡大して見ることができます。操作するにも、ジョイスティックと十字照準セットを使います。まあ、ビデオゲームですね。

名古屋:ダスト試料 5000倍率
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エックス線ビームを用いてそれぞれの粒子を一度にひとつずつヒットし、じっさいにどの元素が存在するのか、判別することができます。放射性元素――プルトニウム、アメリシウム、ウラニウム、ラジウム――を目にすると、これはものになるとわかります。このプロセスによって、1ポンドか2ポンド――半キロか1キロ――ばかりの試料を扱って、その試料全体からわずかに1個か2個のホット・パーティクルを分離できます。そこで徹底的な分析と分類をおこなうのです。わたしたちにとって、極めて値打ちのある作業です。人がその粒子を摂取したり吸入したりすれば、なにが起こるか、多くのことを知ることができます。
茨城県:ハウスダスト試料
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どのホット・パーティクルも似通ってはいません。一部はわずかに高くなっています。そういうのは周辺のものより少しばかり放射能が強いのです。こういうのは、検出するのがとてつもなく困難です。リクタースケールでマグニチュード5の地震はマグニチュード3の地震より100倍も強烈ですね。わたしたちはそういうのを探しているのでして、ほんの少しばかり放射線値が高いのではなく、もっと高いやつです。
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これらのもの――例の高レベル放射性パーティクル――は小さくとも、顕微鏡下でじっさいに見ることができますので、その発生源についてたくさんの情報を与えてくれます。大きさもわかりますし、姿形もわかります。粒子に起こったことの来歴を語ってくれます。その粒子の出処を明かす指紋(識別特徴)が得られます。
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最終段階ですが、それがどれほど大きいのかがわかり、元素組成がわかり、放射能レベルがわかると、たまたま摂取したり吸引したりすれば、その粒子がどれほど危険になるか、わたしたちはじっさいに告げることができます。
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あなたは、はて、特定の人になにが起こるかなんて、わかりっこない、平均がどうなのか、わかるだけだとおっしゃるかもしれません。さて、非ホット・パーティクル検査の場合、そのとおりです。ですが、この場合、ホット・パーティクルを取り上げ、いいですか、この家の人がこの独特の粒子を摂取したり吸引したりすれば、肺癌か皮膚癌、または咽頭癌になる賭け率が7パーセントか70パーセントになるのですよというわけです。
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粒子の写真がありさえすれば、このうちのどれがそれらしいとじっさいに見わけることができます。ですから、これは時間のかかる分析ですが、どんな障害が起こりそうか、たくさんのことを教えてくれます。これはまた、どの地域でどの倍率で健康被害が現れそうか、診たてるのによい方法です。
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わたしたちが入手した試料は、名古屋のものです。事故現場から460キロメートルです。約300マイル離れています。ホット・パーティクルの直径は10ミクロン(1μ=1/1000㎜)でした。つまり、直径10×1/1,000,000メートルですね。顕微鏡がなければ、間違いなく見えない代物です。この粒子のサイズは、体内に吸いこまれ、肺に沈着するダストの大きさの範囲内です。

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保健物理学者がこの粒子から受ける線量を計算するとすれば、この粒子はじっさいに肺組織に閉じこめられ、生涯被曝の結果になるので、ことは重大です。アスベストを扱う労働者が一粒のアスベスト粒子を吸引すれば、理由はなんであれ、やがて死亡しても、そのアスベスト粒子は肺に留まったままです。さて、この種の粒子は、おそらく非常に似通った同類でしょう。

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わたしたちが検査した粒子は、原子炉と核燃料に由来する核分裂生成物の混合物でした。テルル、ラジウム226のような物質がありました。セシウム134、セシウム137、コバルト60をはじめ、それこそありとあらゆる同位元素があり、CNNニュースで聞いたこともなければ、物理学者でないと、わけがわからないものばかりです。
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こう考えてみましょう。この粒子は重量比で80パーセントが生粋の炉心物質で構成されていました。ですから、直に事故に由来する、直に炉心に由来するものが格納容器から漏れだし、非常に、非常に意味ありげな距離を超えてきたことを教えてくれます。これが移動したのは長い距離であり、なにが起こったかをいえば、粒子が非常に小さいので、それが乗った気体が何であれ、必然として一緒に移動するのです。風は長い距離を超えて、それを吹き流します。
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ありうることとして、原子炉から遠く離れれば離れるほど、この大きさのホット・パーティクルを見つけるのは稀なことになるでしょう。でも、もちろん、わたしたちは日本からの試料をとてもたくさん調べましたので、これがたまたま最長距離を移動したものであり、最もホットな粒子だったということです。これに番号を付けなければなりませんね。
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日本ではベクレルで放射線を測ります。ベクレルは明らかにだれかの名前にちなんでいます。これは、アンリ・ベクレル(Henri Becquerel)にちなんでいます。そして、ベクレルとは、1秒あたり放射性崩壊1回を意味しています。いま日本では、1キログラムあたり100ベクレル、つまり1ポンドあたり約45ベクレルの食品は、食べると安全でないと考えられています。米国では、この数値がわずかに高く設定されていますが、1キログラムあたり100ベクレルを指標として使うとすれば――この物質は、食用にするには余りにも放射能レベルが高すぎます――この代物はキログラムあたりペタベクレル単位の範疇の代物だったのです。接頭語「ペタ」って、めったに耳にしないですね。わたしたちが調べているものの数値は、4×1019乗――これほど大きなキログラムあたりベクレル数なのです。非常に、非常に大きな数値であり、これは基本的に炉心物質を調べるときに得られる類いの数値なのです。
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これは、ちっぽけな粒子です――現に、この粒子のベクレル総数は、たかだか粒子あたり約310ベクレルです。そこで、わたしたちの真空掃除機バッグを取り出すと、測定器がバッグ総体で310ベクレルをヒットしましたが、これは福島県の真空掃除機バッグの平均値より少し高いのです。だから、これについてたいして考えませんでした。
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ことをすべてグローブボックスのなか、あるいは覆いのなかで運んだのですが、試料を半分に――ホット・パーティクルの存在を特定するための第一段階として――分割し、その半分を分析してみると、155ベクレルが得られるはず――そうでしょ? 310の半分ですので。じっさいは、背景値と比較して、得られたのはゼロでした。そこでわたしたちは、よろしい、別の半分を測ろうといいました。別の半分の測定結果――ゼロです。どこに失せたのだろう。試料全体を取りあげ、測定器に入れました。やはり元の310ベクレルです。ちょっとしたミステリーです。
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それも、2片の試料のど真ん中――これらを集めるのに使ったカミソリ刃が当たる部分――が実にホット・パーティクルに当たっており、それが刃にくっついたと了解するまでのことでした。そこで、カミソリを顕微鏡の下に置き、例のホット・パーティクルを注意深く採取して、放射線検知器がどれほどの数値を示すか見てみました。つまり、少しばかり手間をはしょったのですが、これこそまさしく試行錯誤のすえ、ホット・パーティクルを見つける方法なのです。高レベルの放射線を放出している部分を見つけるまで、試料を分割しつづけるまでのことです。
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黒色ダストを観察すると――わたしたちはまた北日本の別の2地域、浪江町と飯舘村からも試料を受け取ったのですが、これはよく見かける黒砂によく似ています。黒砂は――また、このパーティクルも――集合体、つまり混合物なのです。コンクリートの塊を考えると、それは実は砂とセメントと砂利の混合物ですが、顕微鏡の下ではそのように見えます。
破損した核燃料ペレットから漏れたホット・パーティクル
出処:NRC NUREG 2121
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ですから、いま話題にしているものは基本的に、黒砂の最悪ケースです。それが、ホット・パーティクルなのです。事故のさい、この物質は蒸散しました。それが小さな粒子に凝縮し、集合したのです。個体になり、集まって、検出できるほど大きな粒子になったのです。それらは風に乗って飛び回ります。そして遅かれ早かれ、なにかに当たって、くっつくのです。
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名古屋の事例の場合、試料は外気に乗って屋内に吹きこみ、カーペットや床材のどこか――とにかく、屋内のなにか――に引っかかった挙句、真空掃除機に吸いこまれ、集塵バッグに収まったのです。
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これは吉報ですが、同じ場所で追加的な材料を得るために試料採取を繰り返して、例のもののような粒子は二度と見つかりませんでした。ですから、わたしたちのデータによると、この特定の住宅にはもうない、家屋内にこのような粒子があったのは、ひとつだけだということになります。ですが、これは、ホット・パーティクルが存在する見込みはどうなのか、特定の地域を調査する価値があると示唆しています。これは、人びとの被曝、健康被害の可能性にそれほど大きな影響をおよぼすのです。
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これまでのところ、福島県と東京からの試料のうち、25パーセントのものが測定可能なホット・パーティクルを少なくとも数個含んでいました。これほど高レベルなものは、1例だけです。これは最悪の事例でした。それは、いかなる類いの平均的な事例を代表するものではありませんが、なにがありうるかは示しています。
1602

最終結果として、わたしはいま、試料の一揃え全体を消化し終わり、試料ごとに秩序正しくホット・パーティクルの数の見積もりを済ませる時間を取ることができましたので、このデータをワーチェスター工芸研究所の相互査読委員会に提出し、このデータをすべて公表する準備にかかりますが、現実の被曝線量値を見定めることができるようになるとわかるのは、いいことであり、いつも扱っているような平均的な被曝線量を把握することもできますが、ホット・パーティクルに被曝する可能性もまた加味して、事故に由来する健康被害の可能性の真のレベルを見つけ出すことができるわけです。

Fukushima Voice 日本語訳:「日本のハウスダストの中の高放射能粒子
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【アーニー・ガンダーセン】
このように根拠がしっかりした科学の教材は、従来型のニュース記事、東京電力、IAEA(国際原子力機関)のルートで視聴することはないでしょう。フェアーウィンズはずっと以前から、福島第一原発事故の結果、日本で癌がかなり増えるだろうといってきましたが、たった1個のホット・パーティクルを語る、このビデオはわたしたちの最悪の懸念を裏付けています。
フェアーウィンズは、ワーチェスター工芸研究所
Worcester Polytechnic Institute)理学修士、
専門技術者、博士号候補、マルコ・カルト―フェン氏に
独占的なインタビューに応じていただき、感謝いたします。
フェアーウィンズ・エネルギー教育のご視聴、ありがとうございました。アーニー・ガンダーセンです。これからも情報をお届けします。


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