2014年4月4日金曜日

【#UNSCEAR】no discernible increase(目立つほどの増加はない)と言われても…


国際連合広報センター





プレス・レリース
これは情報提供のみを意図しており、公式文書ではありません。
UNIS/OUS/237
2014
42
国連報告:フクシマの被曝による癌の増加は考えられない。
最大に被曝した子どもたちでも甲状腺癌のリスクは低い
Low Risk of Thyroid Cancer Among Children Most Exposed
【ウィーン、42日(国連情報サービス)】本日、公表された国連報告によると、2011年の福島第一原子力発電所事故の影響が残っているにしても、癌発症レベルは安定して変わらないようである。
報告のタイトルは、放射能の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)による「2011年の東日本大震災・津波につづく核事故による放射線被曝のレベルと影響」。
報告によれば、福島核惨事による放射線被曝に起因する将来の癌と遺伝性疾患の率の識別できるような変化は予測されず、また先天性欠損症の率の増加も予想されないことがわかった。
同報告はそれでもなお、放射線に最大限の被曝をした子どもたちの集団の甲状腺癌リスクの理論的可能性を指摘し、状況を緊密に監視し、将来時点でさらに評価する必要があると結んでいる。小児の甲状腺癌は稀な病気であり、通常のリスクは非常に低い。
科学委員会座長、カール=マグナス・ラーソンは、「人びとが自分の健康と子どもたちの健康を心配するのは当然です。しかしながら、委員会はこのアセスメントにもとづき、将来の癌統計に、事故による放射線被曝を原因とみなしうる有意の変化がありうるとは予測していません」と語った。
この知見は――子どもを含む――さまざまな人口集団の被曝量推計および放射線被曝の健康への影響に関する科学知識にもとづいている。
研究によれば、人口の発癌率に対する影響が小さいと予測されるのには、日本当局側による事故後の迅速な防護活動が大きく寄与している。
委員会は作業員の被曝線量の報告を分析し、また一部の作業員について被曝線量を独自に評価した。委員会による評価は被曝線量報告とおおむね一致していたが、事故の初期段階における被曝線量については不確実な要素が残る。評価委員会の座長、ウォルフガング・ワイスは、「委員会は、癌、その他の疾患の識別しうる増加は予測されないと結論づけました。しかしながら、最大に被曝した作業員たちは定期的な健康診断を受けることになるでしょう」と語った。
委員会はまた、陸上生態系および海洋生態系に対しても放射線被曝の影響を評価し、どのような影響も一過性のものだったはずであることを明らかにした。
海洋生態系に関して、植物ならびに動物に影響した可能性は原子力発電所に近接する沿岸域に限定されており、長期にわたる影響の可能性は問題にならないと判断された。
***
UNSCEARとは…
放射能の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は1955年に創設され、電離放射線および人間の健康と環境への影響に関する資料に対する広範にわたる再評価を委任されている。委員会によるアセスメントは、諸国政府および国連機関が電離放射線に対する防護の基準および計画を策定するさいの科学的根拠となる。
当代一流の科学者たちが80人以上、福島第一原子力発電所の事故による放射線被曝の影響の分析に関する研究に励んだ。科学者らが準備した資料は、20135月に開催された年次総会において27の加盟諸国によって技術的・科学的品質を再検討された。科学者全員がアセスメント参画に関連する利害関係の衝突を申告しなければならなかった。
UNSCEAR事務局は国連環境計画(UNEP)の管轄である。
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For more information, contact:
 Jaya Mohan
Communications, UNSCEAR
Tel: +43 1 26060-4122
Mobile: +43 699 1459 4122
Email: jaya.mohan[at]unscear.org

Watch the webcast of the press briefing on 2 April 2014 at 10:30 CEST at
http://www.unis.unvienna.org/unis/en/webcast.html


【付録】4月6日更新
国連情報サービスのいう「当代一流の科学者たち」とは、どのような人たちなのでしょうか? 本文に登場するラーソン、ワイス両氏のプロフィールをUNSCEARサイトで見てみましょう…


◇カール=マグナス・ラーソン Dr. Carl-Magnus Larsson
カール=マグナス・ラーソンは20103月からオーストラリア放射線防護・原子力安全庁(ARPANSA)の最高執行官。
ラーソン博士は化学と生物学を学び、1980年に博士号を授かる。1984年にストックホルム大学(スウェーデン)准教授に就任。
大学職歴につづき、1993年にスウェーデン放射線防護局(SSI)に入局、原子力の環境にかかわる分野で勤務。1年間の国家化学物質監査局勤務を除き、ラーソン博士は、SSIがスウェーデン原子力監査局と統合される2008年までSSIの部長と副局長を歴任。新たに発足したスウェーデン放射線安全局で、ラーソンはARPANSACEOに就任するまで放射性物質部の部長を務める。
ラーソン博士は20002007年に欧州委員会の支援により実施された国際研究プロジェクトFASSET およびERICA(両者とも環境アセスメント・保護分野の研究)の世話人を務め、国際放射線委員会(ICRP)主委員会の委員である。また国際原子力機関(IAEA)安全基準委員会の委員も務める。
ラーソン博士はUNSCEARオーストラリア代表団長として、UNSCEAR59回総会で副議長、第60回および第61回総会で議長を務めた。
最終更新日:20143月31日月曜日
◇ウォルフガング・ワイス Professor Dr. Wolfgang Weiss 
ウォルフガング・ワイス博士は2000年からミュンヘンの連邦放射線防護局で放射線防護・保健部長。その部門はドイツの連邦レベルで放射線防護のあらゆる科学的過大を所管する。
ワイス博士は1975年、ドイツのハイデルベルク大学物理学部の第一学位(卒業資格)および博士号を取得。彼は博士課程修了生として1年間、米国マサチューセッツ州、ウッズホール海洋学研究所で、海洋における核実験ファールアウトの世界分布の調査を経験した。その後も世界海洋研究プロジェクトに参加。1980年、ドイツ、フライブルクの大気中放射能研究所の所長に就任し、とりわけ希ガス測定に注目しつつ環境監視調査に努める。
ワイス博士はチェルノブイリ事故のあと、ドイツ政府のために、環境における放射線学的状況の監視、早期警戒、決定支援のための包括的全国システム(IMIS)を構築した。この業務はEUレベルで推進された特定決定支援システムの開発に及んでいた。この意味で、彼は緊急事態への備えにまつわる多様な側面に関与していたことになる。独露間で政府協力プロジェクトがいくつか実施されたが、彼はロシアの原子力発電所の近接地域におけるオンライン監視システムを構築した。
ワイス博士は1990年代半ばの包括的核実験禁止条約(CTBT)交渉において、ドイツ政府顧問を担った。彼の研究所は、CTBT機構・地球監視システムの大気中物質・希ガス測定局を受け入れた。
ワイス博士はいくつかの欧州原子力共同体(EURATOM)研究計画の方針策定と実施に参加し、学際ヨーロッパ低線量主導機関(MELODI)とヨーロッパ放射線学的防護管轄当局長連合(HERCA)の発足にも関わった。
ワイス博士はUNSCEARドイツ代表団長として、第44回、第55UNSCEAR総会の報告者、第56回、第57回総会の副議長、第59回総会の議長を務めた。

最終更新日:201441日火曜日
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確かに世界原子力マフィア御用学者を代表するエリート中のエリートであるようです…


【後記】4月6日更新
国際連合広報センター日本語サイトに公式翻訳文が掲載されていましたので、リンクを貼っておきます――

ウィーン、201442日(UN Information Service)- 本日新たに、2011年の福島第一原子力発電所事故が起こった後もがんの発生率は安定したレベルを保つ可能性が高いとする国連報告が発表された。   …つづきを読む

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