フクシマの子どもたちの発癌リスクは過小評価
Cancer Risk To Young Children Near Fukushima Daiichi Underestimated
Cancer Risk To Young Children Near Fukushima Daiichi Underestimated
2014年3月20日
福島第一原発が三重メルトダウンしてから3周年が過ぎましたが、わたしたちは日本の人びとの健康、特に子どもたちの健康が気がかりです。今週のビデオは、イアン・ゴダートとフェアーウィンズのアーニー・ガンダーセンが福島県内外の子どもたちの発癌リスクを論じた昨年公表の映像を再公開したものです。統計値は、特に幼い女の子たちにとって驚くべきものになっています。なぜなら、放射能汚染地帯にいる女たちの100人に1人が1年ごとにフクシマ由来の被曝によって癌になるからです。1年が経過するごとに合算されますので、幼い女の子が汚染地に10年間いるとすれば、100人に10人が癌になることになります。統計値は戦慄的であり、日本政府は幼い女の子のいる家族の福島県汚染地への帰還を許したのです。
Transcript
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ようこそ、フェアーウィンズのアーニー・ガンダーセンです。
今日、イアン・ゴダードによるビデオをご紹介します。だが、その前に、ビアについてお話しておきましょう。これは飲み物のビールではなくBEIR、電離放射線による生物学的影響(Biological Effects of Ionizing Radiation)のことであり、全米科学アカデミー調査報告のタイトルになっています。
このことについて考えて、わたしの念頭に浮かぶのは、日本初の困った2本のニュースです。
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一番目のニュースは、日本の大手ラジオ・テレビ局、NHKのものです。そのニュースは、福島県で杉の木の雄花から極めて高いレベルのセシウムが見つかったと伝えています。杉の木の先端部は明らかにセシウムを蓄積しています。その杉の雄花1キログラムあたり1秒間に25万回の原子核崩壊が起こっていることをデータが示しています。春にはもちろん、花が芽吹き、セシウムがまたもや空中に漂い出ますので、これは非常に深刻です。
けれども、わたしの注意を引いたのは、それに対する日本人の反応です。NHKはこういいました――「当局は『これは東京での平常時における背景線量の約10倍にしかあたらないので、重大な健康被害をもたらすものではない』と報告しています」。いま、ありとあらゆる仮定が計算に入れられていますが、わたしの考えでは、開花期に25万回崩壊分もの放射能が空中に放出されれば、これは公衆衛生上の観点から注目を集めるべきです。
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ニ番目のニュースはやはり日本発、ジャパン・タイムズ紙の記事で、放射能を帯びたイナゴが福島県で見つかったと伝えています。いま、イナゴが1キログラムあたり1秒間に4000回の崩壊に相当する放射能に汚染されているのです。
さて、これがどうして重大なのでしょう? 日本人はビールのおつまみに放射能汚染されたイナゴを食べるのです。記事は次のようにつづけられます。「科学者らは、歯ざわりのよい醤油味のイナゴを冷たいビールのおつまみに楽しんでも、おつまみ程度の量であれば、食べても安全であると考えている」。はて、わたしなら、食べている昆虫が1秒間に4000回の崩壊をするセシウム入りであれば、これは公衆衛生当局者にとって懸念事項であるべきだと考えます。
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ここでBIER、電離放射線による生物学的影響の問題につながります。BEIR報告は、放射線被曝量と癌の関係が直線的であることを示しています。その意味は正比例するということであり、放射線を浴びれば浴びるほど、癌にかかりやすくなります。低線量であれば、発癌率は低くなります。だから、横軸を線量、縦軸を癌としますと、上下に直線が引かれます。BIER報告はこれをL.N.T.モデル、直線・閾値なしモデル(Linear No Threshold approach)と呼んでいます。BIER報告でそれが意味するのは、こういうことです…《100レムの被曝をすれば、これは1シーベルトですが、癌になる確率が10人に1人になる。これを1/10に下げて、10レムの被曝とすれば、これは100ミリシーベルトですが、癌になる確率は100人に1人。さらにもう一段下げて、1レムの被曝、つまり約10ミリシーベルトでは、癌の確率は1000人に1人になります。
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いま日本で政府は、放射線被曝量が2レム、このような場所に住民が帰還することを容認しようとしています。それはつまり、現在のところ居住禁止になっており、被曝線量レベルが2レム、年間20ミリシーベルである、これらの地域に帰還すれば、あなたがたが癌になる確率は500人に1人ですよといっていることになります。
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だが、真相はもっと悪い。BIER報告の数値は老若ひっくるめて全住民を対象にしています。老人層は癌になる前に、なにか別の原因で亡くなりますが、若い人たちは細胞分裂が速く、長く生きますので、それだけ癌になる可能性が高くなります。BIER報告をひもといて、表12-Dを見ると、若い女性が癌になる確率は全住民のそれの5倍になることがわかります。ですから、若い女性の場合、2レムの被曝線量の5倍を受けているのと同じだということになります。つまり、福島県における被曝の結果、幼い少女の約1/100が癌になることになります。それにこれは、その放射線被曝区域で1年間すごす場合の話です。その場で5年間すごせば、幼い少女が癌になるのは100人に5人ということになります。
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さて、BIRE報告が論じている対象は癌だけですが、もちろん、BIERが対象にしていない他の放射線効果もありますので、実相はさらに悪くなります。
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問題はもう2つあります。第一に、BIRE報告はホット・パーティクルを対象にしていません。当サイトではこの問題を広範に扱ってきましたので、ホット・パーティクルの体内取り入れ(子どもの手にセシウムが付着することによる経口摂取、あるいは呼吸による吸引)がBIER報告では扱われていないことが、みなさんにおわかりでしょう。
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最後のものはイアン・ゴダードのビデオで見ることになりますが、日本人と国際原子力機関が唱える想定であって、この程度の放射線は測定が実に困難であり、考慮するにあたらないというのです。はて、データはまったく反対のことが起こっていることを示しています。だから、わたしはイアン・ゴダードのビデオに注目することになったのです。
わたしはビデオの終わりにまた登場し、今日の話題のすべてを概括するつもりです。
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以下、イアン・ゴダードのビデオ
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日本政府はフクシマ核惨事を受けて、年間放射線被曝量の許容レベルを1ミリシーベルから20ミリシーベルトに引き上げましたが、これは子どもたちにさえも適用されます。
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NHK: 「文部科学省は(2011年)4月19日、子どもが1年間に被曝してもよい放射線量が20ミリシーベルであると発表しました」
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お役人たちは年間20ミリシーベルトが安全であると公言していますが、そうでしょうか?
わたしたちはこのビデオで、確立した放射線科学に反して安全だとする公式見解を検証します。全米科学アカデミーはその同じ科学に依拠して、20ミリシーベルトの放射線がフクシマ全域で癌を引き起こすだけでなく、まっ先に女たちや子どもたちを殺すだろうと予測しているのです。 |
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わたしたちはこのビデオでまた、これまでに実施されたなかで最大規模の核産業労働者に関する研究など、最近、公表された調査にもとづき、それに反する公的な安全見解を検証します。15か国の40万人を超える労働者を対象にした研究が、平均して年間2ミリシーベルトの被曝をした核産業労働者のあいだで癌死率が上昇していることを明かしています。これは、フクシマで安全だといわれている年間20ミリシーベルトの許容線量の1/10に過ぎません。
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わたしたちはこのビデオで、公衆が政府と主流メディアによって核ファールアウトに関して偽りの安全感を抱くように偏った情報を与えられ、それが、わたしたちのデモクラシーを安全なエネルギーの未来の方向に向ける決定に役立つような万全の情報を得る市民の能力を損なっている様相を見ることにします。
以上、すべて検証し、さらに話題を拡げますので、最後までご視聴ください。
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全米科学アカデミーは、放射線科学の現状を知るための論理的な情報源です。アカデミーはまた、低線量放射線リスクに関する報告を定期的に公表しています。これらの報告は数十年にわたる疫学・放射線学調査にもとづいており、この調査に依拠してリスク予測モデルが作成されています。アカデミーの最新報告は、生データと解説を共に掲載していますので、広範におよぶ被曝シナリオに沿ってリスク・モデルを適用することができます。したがって、わたしたちはアカデミー報告によって、20ミリシーベルトにおける癌のリスクを知ることができます。
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これは放射線量100ミリシーベルトで引き起こされる癌の症例数を見積もったアカデミーのデータ表であり、年齢別に分け、男女で大別されています。黄色で強調された行は、全癌症例の10万人あたり予測数です。癌のリスクが男女ともに年齢が上がるほど一様に下がっていることが即座に見て取れます。つまり、子どもたちは放射線に一番弱いのです。
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データをグラフにしたのがこれです。この癌リスクのグラフは線量の違いにかかわりなく、同じ形を保っています。ですから、この形は人間の生涯にわたる放射線由来の癌リスクの様相を表していることになります。
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特定の線量に対応するモデルの目盛付けに関するアカデミーの解説によれば、横軸は安全だといわれている20ミリシーベルトで引き起こされる癌症例の予測数に対応して目盛付けされています。そして次は、10ミリシーベルトの場合の目盛り、また次は2ミリの場合です。アカデミーによれば、無害な放射線量はありません。
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20ミリシーベルは明らかに安全ではない!
ですが、この上なく顕著であるのは、子どもたち、それもとりわけ一番に女の子たちが放射線由来の癌のリスクにこの上なくさらされていることです。事実として、女の子は同年齢の男の子に比べてほとんど2倍弱く、また30歳の男性に比べれば、5歳の女の子は5倍、乳児年齢の女の子は7倍も弱いのです。
ですから、女の子たちは人類に対する放射線の影響の矛先に立たされているのです。この事実に気づいている核エネルギー推進派の倫理について、これがなにを示しているか、考えてもみましょう。
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11:40
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これら全米科学アカデミーのデータは、主流メディアや政府当局の関係者全員に無料で入手可能です。それなのに彼らは、国民に放射線科学の実情と核エネルギーの現実のリスクを広報するのではなく、20ミリシーベルトの放射線が安全であるか、またはその作用はまったく謎であると信じるように仕向けているのです。
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民報テレビ局CBS「住民たちは上京し、低線量放射線の長期的影響はわかっていないという事実に反し、安全限度を緩和したとして、政府に抗議しています。低線量放射線の長期的影響はわかっていません」
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主流メディアは広報の怠慢よりもさらに悪質なことに、たったいま見たような低線量放射線リスクの科学的なモデルは存在すらしていないと大衆が信じるように仕向けています。
それでも至福の無知というメディア謹呈の繭の外で、科学の隊列は前進し、さらに低線量放射線のリスクの特性をあばいています。アカデミー報告の最後のものは2006年版ですが、その後にも次々と手に入る証拠の流れが、アカデミーのリスク・モデルが正確であるか、またはむしろ過小評価ぎみであったことを示唆しています。
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2007年に職業人の低線量放射線被曝に関して、これまでで最大規模の研究が公表されました。この研究は15か国の核産業労働者40万人を対象にしていました。その結果、放射線量と癌死率の有意な関係が判明しました。
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研究対象になった核産業労働者の平均雇用期間は10.5年、雇用期間中の平均蓄積線量は19.4ミリシーベルトでした。このことから、平均年間線量は1年あたり1.85ミリシーベルトになることがわかります。ですから、フクシマの子どもたちは年間20ミリシーベルト許容値の適用によって、成人核産業労働者の癌症例の増加に関連する線量率の最大10倍に達するまで浴びることになるかもしれないことになります。
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平均年間線量のもっと正確な推計値を知るには、国別の平均累積線量と雇用期間を記載した、このデータ表が役に立ちます。このデータから、コホート(統計調査対象集団)全体の平均年間線量が1年あたり1.95ミリシーベルトであることがわかり、端数処理するとやはり1年あたり2ミリシーベルトになります。研究が提示するデータによって、コホート全体の中間年間線量を計算することも可能であり、これはやはり低く、ほんの1年あたり0.45ミリシーベルト、つまり1ミリシーベルトの1/2になります。
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ですから、核産業労働者の代表的な線量率は、フクシマで許容されている1年あたり20ミリシーベルトの最大でも1/20にすぎません。それでいて、そのようにはるかに低い10.5年を平均した線量率が癌死率リスク上昇と相関しているのです。
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被曝量の分布を把握するとすれば、研究対象の労働者の90パーセントが全体を平均して10.5年になる雇用の全期間を通した累積線量で50ミリシーベルト以下を浴びていました。そこで50ミリシーベルトを年数の10.5で割り算すると、大多数の労働者の線量率はおそらく1年あたり5ミリシーベルト未満、福島県民の最大年間線量の1/4になります。
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報告書の著者らは15か国のコホートを通した放射線作用の分布を把握するために、それぞれの国を一度に1か国ずつ検討から除外し、1か国のデータを除外すれば、計算された放射線作用が無効になるかどうか試しました。それぞれの副次分析において、ERR(excess risk ratio)、つまり過剰リスク率が、このビデオですでに説明した全米科学アカデミーのBEIR VIIリスク・モデルよりも高いが、これに適合していました。ですから、計算された放射線作用は、どの特定1か国のデータによる偏差も生じていませんでした。
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労働者に肺癌が一般的だったので、報告書の著者らは労働者の喫煙が交絡因子<主要因の作用を歪める副次的な要因>になりうると考えました。しかし、他の喫煙関連の癌が放射線量とほとんど関係なかったので、著者らは、喫煙が一定の寄与をしていたとしても、喫煙が癌と放射線量の関係を説明することはないと結論しました。そこで、癌の相関関係が喫煙の所産である可能性は、あたっていないようです。
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では、ここで要約してみましょう――
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51名の放射線科学者らによる15か国研究は、核産業労働者を対象にこれまでに実施された最大規模。
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労働者の癌リスクが増大していることが判明。
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労働者の平均被曝線量は年間2ミリシーベルト。
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労働者は最大で年間5ミリシーベルト以下を浴びていた。
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日本における最大許容線量は年間20ミリシーベルトであり、労働者の平均年間被曝線量の10倍、労働者の最大被曝線量の4倍。
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2年後の2009年、ジェイコブらはこのビデオでたったいま解説した15か国研究に加え、他の核産業労働者研究8件も併せて分析しました。核産業労働者の被曝線量を放射性降下物で汚染された区域にことさらに関連付けているものは、どちらの被曝シナリオにしても、線量率が遅発・持続的に付加されることです。そして、ジェイコブらによるメタ分析<統合的な分析>は、そのような遅発線量率が即発線量率に比べてもっと有害であることを示唆しています。
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たとえば、このジェイコブらによるグラフは、核産業労働者を対象とした9件の研究で知りえた過剰癌死数を示しています。グラフの下端に引かれた横軸の目盛りは研究で判明したリスク増加の程度を示し、それぞれの研究結果は0リスクから右方向にずれた位置に打たれた赤点で表示されています。
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対比のために印された青点は、原爆被爆者のコホートに見られた相対過剰リスクを表しており、これはそれぞれの研究の対象になった核産業労働者の男女比構成および平均年齢に対応して調整されています。ご覧になっているように、たいていの場合、赤点が青点よりも右に大きくずれていて、したがって、核産業労働者を対照にした研究の大多数において、癌死リスクが原爆被爆者のそれよりも高いことが判明しています。
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放射線リスク・モデルはおおむね原爆の爆発の場合のような即発線量被曝にもとづいており、即発線量率のほうが有害であって当然であると考えられてきましたので、これは意義深い発見です。あげくの果て、ジェイコブらの知見は、前者の見解に疑問を突きつけました。
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ジェイコブらの研究成果に対する『職業・環境医学』誌の論評は、次のような見解を述べています――
「最近の一連の研究は、貫通型の電離放射線による低線量被曝は発癌の要因として、高線量被曝よりも効果が小さいとする仮説を揺るがしている」
【なぜなら】「低線量率被曝をこうむった人間のリスク推計値は、日本の原爆被爆者を対象とした研究の帰結であり、前者に相応する推計値よりも大きくなりがちであるか、またはそれと同等であるからだ」
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このジェイコブらによるグラフは、リスク・モデルの不一致をはっきり見せています。主導的な二大モデルが、左のふたつです。2番目のものは、このビデオで概略を示した全米科学アカデミーによる癌リスク・モデルです。両者のリスク・モデルともに、おおむね原爆被爆者がこうむった即発線量率被曝モデルにもとづいています。だが、右にある3番目の縦棒は、核産業労働者が被曝する低線量率によるリスクのレベルを表しています。
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このように、最先端のメタ分析研究は、主導的な現在の放射線リスク・モデルが低線量放射線の発癌能力を現実に過小評価していることを示唆しています。
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科学は大規模な巨視的レベルだけでなく、微視的レベルにおいてもまた、低線量放射線の有害な作用をさらに深く解明したのです。最近の研究では、放射線由来の遺伝子損傷に関して、低線量域のデータの信頼性が向上しています。
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染色体の転座(染色体の一部が同じ染色体の他の位置に移ったり、他の染色体上に位置を変えたりする現象)とは、遺伝毒性化学物質や放射線による損傷を受けたDNA分子の誤った修復の一形態です。染色体転座は、染色体異常ともいいますが、さまざまな形態の癌の元になると信じられています。また、染色体異常の頻度の増加は、癌のリスクが高くなる兆候であると考えられています。したがって、放射線由来の染色体異常こそは放射線由来の癌の発症メカニズムの基本原理なのです。
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中・高線量放射線が染色体異常を増加させることは確かに記録されてきましたが、低線量放射線の影響に関しては、それほど明確になっていませんでした。しかし、この放射線を原因とする発癌メカニズムが低線量域で発現するとすれば、低線量放射線が癌の原因になることを疑う理由はほとんどなくなります。
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バーチらは2010年、染色体転座事象に関して医療X線検査の影響を試験した諸研究のメタ分析論文を出版しました。バーチらは多数の研究のデータを集積することによって、低線量放射線の影響に関する知見の精度向上を目指したのです。
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バーチらは低線量域における線量反応を見出したばかりでなく、彼ら自身が驚いたことに、放射線単位あたりの染色体異常頻度がほぼ20ミリシーベルト以下の領域で増大したのです。しかも、ほぼ10ミリシーベルト以下の線量では、放射線単位あたりの異常頻度はさらに増大し、しかも一桁違っていました。こうした研究成果を目の当たりにすれば、低線量放射線の発癌性の証拠はこれ以上の論理性をもって提示できるとは思えないほどです。
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仮言三段論法とは、古典的な形式論理において2項目の仮定を置く論理構造のことです――
1) もしもPであれば、Q
2) もしもQであれば、R
【故に】もしもPであれば、やはりRであると結論してもよいというものです。
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当ビデオで概観している科学的証拠を仮言三段論法にあてはめると、論理的になるかもしれません――そうであれば…
1) もしも低線量放射線が存在すれば、染色体損傷が増える。
2) もしも染色体損傷が増えれば、癌が増える。
【故に】もしも低線量放射線があれば、癌が増えると結論してもいいでしょう。
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さて、この三段論法はいくぶん単純化しすぎているかもしれません。複雑多岐にわたる生体システムの大部分は未知のままであり、安易に初級論理学の論法に還元できるものではありません。しかしながら、そうはいっても、この妥当な論理構造にインプットしたわたしたちの項目は、時代の最先端をいく生物学研究の成果であり、したがって現時点の結論は少なくとも説得力を持っているようです。
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このビデオで、わたしたちは従来の放射線生物学と最近の放射線生物学研究の両者ともに概観しました。この広範にわたる科学的な根拠にもとづき、わたしたちは次のように認定します――
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全米科学アカデミーは20ミリシーベルト/年未満の被曝により癌リスクが増大すると予測している。
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アカデミー報告最新版が発行された2006年以降に公表された研究がその予測を補強している。
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最新研究はまた、アカデミーのリスク・モデルが癌リスクを過小評価しているかもしれないことを示唆している。
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最新研究はまた、20ミリシーベルト未満の放射線被曝が遺伝子損傷と関連していることを究明した。
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したがって、歴史的および最先端の科学的研究の両者ともに一貫して、日本の年間20ミリシーベルト容認が安全でないことを明示している。
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イアン・ゴダードのビデオ、おわり
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さて、イアン・ゴダードさんには優れた分析をおこない、その意味するものを要約していただき、感謝いたします。
全米科学アカデミー『BIER報告――電離放射線の生物学的影響』によれば、日本人が設定した閾値において、フクシマのだれかが癌になる確率は1/500です。だが、それどころではありません。幼い女の子たちはデータ表示より放射線感受性が5倍も高いのです。ですから、幼い女の子たちがそうした放射線量限度未満の地域に帰還すれば、少なくとも100人に1人が癌になるかもしれません。また、この予測計算にはホット・パーティクルが含まれていませんし、低線量被曝がおそらく直線モデル予測よりも悪い結果になるだろうという問題は、ゴダードさんがはっきり示した内容に含まれていません。
ご視聴、ありがとうございました。これからも情報をお届けします。
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