2015年5月18日月曜日

Nature誌サイエンティフィック・リポーツ【論文】T・ムソーら「福島のツバメの生息密度と遺伝子損傷」


サイエンティフィック・レポート オープン論文
SCIENTIFIC REPORTS | ARTICLE OPEN
福島のツバメの生息密度と遺伝子損傷
Scientific Reports 5, Article number: 9432 doi:10.1038/srep09432
受付:2014519日/受諾:201525日/公開:201542
福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性核種の分布について、評価またはモデル化をした研究がいくつかある。しかし、地域の生物相がこうむった影響を検証した研究は数少ない。われわれは、ツバメ(Hirundo rustica)の雛の低線量電離放射線による被曝によって、雛の末梢赤血球の遺伝子損傷を拡大したのかどうか検証した。熱ルミネセンス線量計を用いて、また巣の素材の放射能を測定して、外部被曝放射線量を見積もったのである。次いで、中性コメット解析法でDNA損傷を評価した。われわれはさらに、さまざまな環境放射線レベルにおける標準地点別計数によるツバメの個体数調査を実施し、その生息密度と地域ごとの幼鳥と成鳥の比率を見積もった。巣材試料の放射能量は479143,349 Bq kg−1の範囲内であり、外部被曝線量は0.15から4.9 mGyまでばらついていた。放射能汚染による被曝線量は雛の遺伝子損傷比率と相関していなかった。しかしながら、放射能汚染が高レベルである場合、ツバメの個体数が減少し、幼鳥の割合が低下しており、生存率が低いことと繁殖および/または巣立の比率が低下していることが示されていた。したがって、雛鳥の遺伝子損傷では汚染地域におけるツバメの減少の説明がつかず、本論文で記録した個体数減少効果を説明しうるメカニズムの解明が待たれている。
序論
2011311日の東日本大震災が引き起こした津波によって、福島第一原子力発電所の電源と冷却システムが深刻な被害をこうむり、123号炉で水素爆発が勃発した。一連の爆発によって、テルル129m、ヨウ素131、キセノン133、セシウム134、セシウム136、セシウム137など、高度に不安定な核分裂生成物が大量に放出された123。放出量の見積もりは大幅にばらついているものの45678910、放出された放射能量の合計値が数百ペタベクレルの範囲に達していたと推測され10、チェルノブイリ事故に次ぐ史上2番目の規模の放射性核種の放出であったと一般的に認められている。このような放射性核種の大量放出は、とりわけセシウム137が環境中に長く残留することを考えると、環境と人の健康に影響をおよぼす可能性が懸念される11
その後、予想通りに、放射性核種の大気中放出、堆積、再分布のモデル化が多大な努力を払って試みられてきた212。他にもいくつかの研究が動植物(哺乳類1314、魚類715、鳥類16、植物1718,19)の生物組織における放射性核種の蓄積を評価してきた。
これまでのところ、事故によって放出された放射性核種による被曝がもたらしうる生物学的影響を調査した研究は数少ない。ヤマトシジミ(Zizeeria maha)の研究*が野外採取試料と個体群の同一条件下飼育を組み合わせておこなわれ、翅の配色と模様の異常の増加が認められた2021。ミミズの研究もまた、放射線量レベルが2.8μSv/h程度の地点で採取した生体試料のDNA損傷率が対照地点の生体試料のそれより高いことを実証した22。野生のニホンザル(Macaca fuscata)を対象にした最近の研究*は、福島市の個体では、福島第一原発から400キロの距離にある下北半島で試料採取した個体に比べて、白血球細胞(WBCs)と赤血球細胞(RBCs)の計数値が低く、ヘモグロビン濃度とヘマトクリット値が低いことを明らかにした23。福島第一原発由来の汚染に被曝した集団から試料採取したオオミズナギドリ(Calonectris leucomelas)のビタミンAレベルは、プルームの到達を免れた集団に比べて低かった24
  * [訳注]末尾の【関連記事】を参照のこと
チェルノブイリ立ち入り禁止区域で実施された生態学研究によって、福島周辺と同程度の放射線レベルであっても、被曝した野生生物の遺伝、生理、生活史にとって有害な影響をこうむることが示されている25。チェルノブイリ地域の低レベル放射線量は、ツバメ成鳥のDNA損傷率の上昇26、形態異常と腫瘍発現の頻度の上昇2728、脳のサイズ縮小29との関連が認められた。地点別個体数調査31とカスミ網を用いた幼鳥・成鳥比率調査32から推論される、チェルノブイリ地域に生息する多くの鳥類種の高い死亡率と個体数の減少の根底にある原因は、チェルノブイリ地域の放射線被曝による上記したものなどの生理的・遺伝的影響であるらしいと目されている。
これら2件の事故が、質において、撒き散らされた汚染物質の量において、また被曝する世代の数において、違っているものの、放射性汚染物質に対する自然個体群の反応に類似性が認められることを初期の研究が示唆している。福島で2011年に実施された地点ごとの個体数調査によって、放射能で汚染された地域の鳥の個体数がチェルノブイリと同じように減少していることが認められた33。その後の調査によって、この知見が確認され、2012年には汚染による悪影響がさらに拡大しているかもしれないと結論された34
われわれは本論文において、20125月から6月にかけてツバメの雛を対象に実施した研究の結果を叙述し、放射能被曝がその遺伝的統合性に影響をおよぼしているか否かについて検証する。われわれは、ツバメの巣に熱ルミネッセンス線量計(TLDs)を設置すること、また巣の素材の試料を収集し、それを研究室でガンマ分析分光法を用いて測定することによって、雛の外部被曝線量を見積もった。
われわれはまた、20117月から2013年にかけて、ほとんど2桁におよぶ広範囲にわたる放射能汚染レベルにおいて実施したツバメ調査の結果を叙述する。このデータベース(2011年分と2012年分)の一部は、放射能汚染レベルに対応した福島の鳥類の生息密度に関する論文で以前にも公開されている3334。本論文では1年分のデータを加えて提示するとともに、ツバメの地域別生息密度の分析に注目する。われわれはまた、ツバメの年齢別比率の分析も提示するが、年齢は羽の特性で容易に決定することができ、放射線レベルが高いほど、卵の生育不能と雛の死亡のため、幼鳥の比率が低くなると予測される35
いくつか顕著な例外162324があるものの、これまでに実施された研究はすべて、たかだか生体組織内の放射性核種の濃度を分析しているものの、その潜在的な生物学的影響の指標を評価することを怠ってきた。われわれが叙述する結果は、福島地域の野生鳥類個体集団を対象に測定した放射線被曝による潜在的な遺伝毒性の大規模な検証としては最初のものである。
結果
巣材試料の放射能と雛の放射線被曝
0.90 μ Gy h−1 1.24 μ Gy h−1 標本データ; 範囲: 0.23–7.52 μ Gy h−1)の平均線量率に対応する被曝量の平均TLDs測定値は、(0.79 mGy標本データ; 範囲: 0.15–4.9 mGy; N = 43)であった。
巣材試料で測定された放射能量は、セシウム13710,730 Bq/kg乾燥重量(18,276 標本データ; 範囲 318–82,409 Bq/kg乾燥重量; N = 45)、セシウム1348,656 Bq/kg乾燥重量(14,433 標本データ; 範囲 128–60,940 Bq/kg乾燥重量; N = 45)であった。単一評価において、それぞれの放射性核種の放射能量測定値を合算すると、放射能量合計値は、19,386 Bq/kg乾燥重量(32,681 標本データ; 範囲478–143,349 Bq/kg乾燥重量; N = 45)になった。巣材の放射能量合計値は、TLDsで検知される放射線量をかなり確実に予告していた(t39 = 6.74, p < 0.0001, R2 = 0.54, N = 40; 補足図1)。環境放射線レベルは、熱ルミネセンス線量計(TLDs)で検知された線量とかなり確実に相関していた(t42 = 4.88, p < 0.0001, R2 = 0.37, N = 43; 補足図1)。環境放射線レベルもまた、セシウム137t44 = 2.22, P = 0.032, R2 = 0.08, N = 45)およびセシウム134t44 = 2.37, P = 0.022, R2 = 0.09, N = 45)といった特定の放射性物質とかなり確実に相関していた。
放射線被曝と雛の遺伝子損傷
DNAの平均損傷率は、燕尾のDNAの百分率を指標とすれば、10.04 4.86 標本データ; 範囲: 2.83–23.41)であった。セシウム134とセシウム137の推定値を合わせた、巣材の放射能濃度合計値は、雛の遺伝子損傷を有意に予告しなかった(F1,6.24 = 0.51, p = 0.502, N = 49, 1a)し、線量も巣に設置されたTLDsの測定値を有意に予告しなかった(F1,9.81 = 0.33, p= 0.577, N = 49, 1b)。われわれは、巣材試料の放射能量の中間値またはTLDs測定中間値を分断点に使って、われわれのデータセットを2組に分割し、高レベル放射線量の場合のDNA損傷の変化に違いがあるか否かを調べた。遺伝子損傷の変化は、高レベル放射能の雛と低レベル放射能の雛とで違いが認められなかった(ルヴィ―ン検定F1,47 = 0.015, p = 0.904)。同じように、TLDs測定値が高い巣と低い巣とのあいだにも有意な違いは認められなかった(ルヴィ―ン検定F1,47 = 0.039, p = 0.844)。
1放射能測定値と遺伝子損傷
雛の遺伝子損傷と(a)巣の素材の放射能濃度(Bq/kg 乾燥重量、セシウム134とセシウム137の合算値)または(b)外部放射線量率のTLDs測定値(μ Gy/h−1)の関係。直線は、対数変換データに補間された単純回帰線。
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これらの分析のいずれにおいても、雛の体重と推定日齢は雛の遺伝子損傷と有意な相関を示さなかった(1を参照のこと)。出生巣の作用は、雛の遺伝子損傷との相関を示すほど有意でなかった(1を参照のこと)。
1被曝期間、体重、(a)営巣材料の放射能濃度(Bq/kg)および(b)巣に設置した熱ルミネセンス線量計(TLD)で測定した線量率(μGy/h)の関数としてのツバメのDNA損傷のGLMM(一般化線型混合モデル)。

z
F
df
P
(a)




0.83


0.204
放射能濃度

0.12
1, 6.51
0.735
被曝期間

0.50
1, 10.3
0.495
体重

0.41
1, 9.84
0.535
(b




0.52


0.300
純線量

1.30
1, 9.01
0.284
被曝期間

0.03
1, 10.9
                         0.863
体重

1.80
1, 9.03
0.212

ツバメの生息密度と年齢比
育雛調査地点の放射線レベルは、0.18μSv/hから38.11μSv/hの範囲内でばらついていた[平均(SD)=7.16μSv/h7.90)、N1100]。われわれの地点別計数調査から推定されるツバメの生息密度は、環境放射線レベルの上昇とともに有意に低下していた(F1,1093 = 105.81, p < 0.0001; 勾配(SE:標準誤差)= −1.18 (0.12)2)。ツバメの羽数は、農地が多くなると増加し(F1,1093 = 12.53, p = 0.0004; 勾配 (SE) = 6.82 × 10−3 (1.37 × 10−3))、草地(F1,1093 = 320.78, p < 0.0001; 勾配 (SE) = −4.75 × 10−2 (2.18 × 10−3))と針葉樹林(F1,1093 = 4.98, p = 0.0256; 勾配 (SE) = −1.74 (0.39))が多くなると減少していた。さらに、ツバメの生息密度は年ごとに違っていた(F2,1093 = 103.83, p < 0.0001)。ツバメの数は2012年に2011年に比べて少なく(t = 23.1, p < 0.0001)、また2013年は2012年に比べて少なく(t = 7.85, p = 0.005)、あるいは過去2年を合わせた分よりも少なかった(t = 34.07, p < 0.0001)。
2ツバメの生息密度と放射能汚染
ツバメの生息密度は、われわれの複数年地点別計数調査の期間中に計測した放射能濃度の上昇とともに低下した。
ツバメのうちの幼鳥の比率は、環境放射線レベルの上昇とともに有意に低下した(F1,1069 = 13.50, p = 0.0002; 勾配 (SE) = −1.84 (0.57); 3)。さらに、成鳥が子孫を繁殖するという事実から予想されるように、ツバメの成鳥の生息密度が高い場所で幼鳥の数が多かった((F1,1069 = 32.84, p < 0.0001; 勾配 (SE) = 1.00 (0.18))。年ごとの幼鳥の比率もまた、有意に変化していた(F2,1069 = 15.44, p = 0.021)。この比率は、2012年のほうが、2011年に比べて高く(t = 6.04, p = 0.014)、2013年に比べて高かった(t = 6.04, p = 0.014)。
3ツバメの年齢別比率と放射能汚染 
ツバメの幼鳥の比率は、放射能汚染レベルの上昇とともに低下した。
考察
われわれは本研究において、2011年の福島第一原子力発電所事故のあと、放射能汚染で被曝したツバメの雛の遺伝子損傷を検証した。われわれはまた、環境放射能レベルにほとんど二桁の違いがあるさまざまな地点におけるツバメの生息密度を推計するとともに、幼鳥と成鳥の相対比率を評価した。これはわれわれの知るかぎり、よく知られた放射線被曝の生体指標を、放射性フォールアウトによって被曝した野生動物集団の放射線被曝量推計に関連づけるものとして福島で実施された最初の研究である。
われわれは、生育期間中にさまざまな汚染レベルで被曝した雛の遺伝子損傷の増加を検出できなかった。これらの結果は、本研究で検出されたレベルと同等なレベルで高い遺伝子損傷率が証明されたチェルノブイリ地域におけるツバメ成鳥の先行結果と相反する26。これは、福島におけるツバメの雛の被曝期間がチェルノブイリの成鳥と比べて短かったことを反映しているのかもしれない。ツバメ雛の被曝期間(抱卵期と生育期を合わせて、われわれの研究では平均26日±5日)は、ツバメ成鳥が繁殖地ですごす数か月に比べて、かなり短い。またその他にも、2件の事故で撒き散らされた放射性核種の混合成分比の違いによっても、成分比が違えば、粒子放出の様相の違いによって、関連するリスクに違いが生じるとするならば、影響の違いを説明しうるかもしれない。福島惨事で撒き散らされた放射性核種のうち、セシウム134とセシウム137が主だった成分であるが12、チェルノブイリ立入禁止区域の周辺には、セシウム137、ストロンチウム90、アメリシウム241および数種類のプルトニウム放射性同位体が存在している36。それ故、アルファ放射体の健康に対する影響が大きいので、2件の災害の違いは、チェルノブイリにプルトニウム同位体およびその他のアクチニド原子が多く存在することに起因するのかもしれない。最後に、継時的被曝およびそれに伴う悪影響の世代間蓄積の違いが、2件の災害の違いに寄与しているのかもしれない。遺伝子損傷に関する、われわれの2010年研究で試料を採取していた時点で、チェルノブイリ地域におけるツバメ集団は代々20年間以上にわたり放射能汚染で被曝していた。それとは逆に、現在の研究のために福島周辺の汚染地域でツバメの試料採取を実施していた時点で、放射能汚染により被曝していた期間は1年をわずかに超えていただけだった。この継時的被曝の違いによって、変異蓄積が左右されることが予想される一方で、遺伝子損傷が受け継がれたものでなく、自然集団が世代を重ねるごとに放射線に起因する酸化損傷に対する耐性を進化させると期待されるので37、放射線に起因する遺伝子損傷に対する自然集団の耐性に関する予測はそれほど明らかではない。われわれは、本研究で調査した雛が災害後の第二世代に属し、みずからが生育中の全期間にわたり被曝していた親鳥の最初の子どもであることを考えて、遺伝子損傷の増加の欠如が電離放射線に対する適応選択の結果であるとは予想していない。
現状では、雛ごとのDNA損傷のばらつきに対する解釈は、おおむね推測の域を出ていない定めにある。個体ごとの成長率の違い、または同じ巣のなかの雛たちの競争力の違いが、雛たちの酸化状態に対する影響により、そのようなばらつきを説明するかもしれない。これと一致して、遊離基に対する赤血球細胞の耐性がキンカチョウ(Taeniopygia guttata)の雛の成長率と逆の相関関係にあることが判明している38。さらに、食餌要求の盛んなカササギ(Pica pica)の雛は、マロンジアルデヒドのレベルで示される脂質過酸化反応のレベルが高い39。今後、雛たちを繰り返し測定する研究を継続することによって、放射線による潜在的でもっと微妙な影響を解明し、これらの交絡因子を比較研究することができるようになるだろう。
われわれは雛試料採取の期間中、高レベルに汚染された地域の立ち入り規制に阻まれ、大熊町、双葉町、浪江町など、雛がかなり高い線量を受けているはずの地域に立ち入ることができなかった。したがって、汚染レベルが高くなれば、悪影響も増大すると考えられるので、放射能汚染による被曝が汚染地域の野生動物集団の遺伝子損傷を引き起こしているか否かを論じるさい、本研究で提示されているデータは慎重に解釈されるべきである。ツバメは、生息密度が高いこと、一度選んだ繁殖地に居付くこと、被災した集団(たとえば、チェルノブイリの集団)に対するコントロール(対照集団)を見つけやすいことで、福島における放射能汚染の影響を検証するさいの模範的な動物種になる。しかしながら、動物種が違えば、放射線感受性も異なるかもしれないので、ある動物種に影響がないとしても、他の種のすべてが同じように影響を受けないわけでは必ずしもない12330313334
さらに、われわれが評価した生物指標は雛の反応をなんら示さなかったが、われわれのツバメ生息数調査は福島地域における数種の鳥類の生息数減少に関する以前の知見を確認するものだった3334。さらにまた、放射線被曝レベルが高くなれば、幼鳥の比率が減少したことで実証されたように、生息数減少の原因が繁殖率の低下および/または巣立ち率の低下であることが示唆された。この結果は、われわれがチェルノブイリのツバメおよびその他の種で示した繁殖力、生殖機能、子育て能力の実証済みの低下と一致している354041,42
高度に汚染された町の無人化と、それに伴う農作業の変化、この種の天敵(たとえば、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の抑制が利かなくなったことが、汚染地域におけるこの種の減少を説明する、もうひとつの隠れた理由になるかもしれない。今後の研究において、放射線被曝の生物指標を評価することによって、この動物種の減少の原因が電離放射線の直接的影響なのか、または間接的影響(すなわち、人間の不在によるもの)なのかを判断する役に立つだろう。
ツバメの生息密度の低下とわれわれがツバメの雛で評価した遺伝子損傷の生物指標になんらの反応も認められないこととは相矛盾しているので、放射線被曝と個体群動態に潜んでいる機構的な(すなわち、生理的および遺伝的な)関連に対する今後の検証が求められている。今後は放射線被曝に対する複数の細胞遺伝学的な生物指標を検証しなければならないだろうし、同時に現在の研究で評価されたレベルより高いレベルの汚染地域に調査範囲を拡大しなければならない。また同じように、鳥類の体内に移動した放射性核種を評価するための鳥類カスミ網捕獲調査を補足するために、種の多様性と生息密度に対する聴覚・視覚調査を実施しなければならないだろう。高レベル汚染区域では入域が許されず、試料採取ができなかったので、個体数調査のさいに検査した放射線レベルの変動範囲が雛の測定をした場所の汚染レベルの変動範囲に比べて大幅に広かったことに留意すべきである。したがって、現在の結果を見て、放射性フォールアウトで汚染された地域全体にわたって悪影響をおよぼさなかったと解釈すべきではないし、また本研究では、成鳥に関する評価をおこなっていないので、この結果を成鳥段階における遺伝子損傷がツバメの個体数減少に介在していないと受け取るべきではない。要するに、雛の遺伝子損傷がツバメ個体数の減少に寄与している可能性を除外するためには、もっと高レベルに汚染された地域にも調査範囲を拡大するべきなのである。
全般的に見て、われわれの放射能測定は以前に公表された測定および線量推計と適合している4344。したがって、ツバメの被曝レベルが高ければ高いほど、高レベルに汚染された地域にいたと推測できる。本研究で測定された被曝レベルは、被曝生物における生理的および生活史的影響(すなわち、生存率および繁殖率の低下)の発現率と一致している44。汚染レベルに関する公表ずみの情報から推論し、線量反応に関する公式基準を使った最近の分析もやはり、事故後の汚染に被曝したことが陸生脊椎動物の個体群に対して致死性に近い影響を引き起こしうると結論している45。しかしながら、この同じ分析がこのような個体レベルの線量による個体群レベルの影響はありえないと結論しており、最近の個体数調査で示された測定線量値と個体数減少を照合する問題が持ち上がる3334。同時にまた、われわれの放射線被曝量推定値は放射性核種の吸引または摂取による内部放射線被曝を計算に入れていないことを認めなくてはならず、控え目であることに留意しなければならない。生態学的にツバメと類似する動物種におけるセシウム134およびセシウム137の内部被曝の線量変換係数(DCC)は、外部被曝のDCCと少なくとも同じであると予測される46。したがって、今後の研究においては、潜在的にフォールアウトの影響を受けているツバメの地域個体群の内部放射線被曝と外部放射線被曝の両方を評価することによって線量測定を改善しなければならないだろう。
個体群レベルの影響はないと予測された汚染レベルにおける同じような個体数の減少は、チェルノブイリ地域でもやはり認められており313247、同じような疑問を提示している48。しかしながら、国際機関(IAEAICRP)が安全であるとする基準4950が、自然環境における、とりわけ長期被曝の条件下では、電離放射線被曝にともなうリスクを過少評価している可能性を示す証拠が増えている51。最近、自然個体群に対するリスクが、研究室における対照群実験で示された線量に比べて、かなり低い線量レベルで生じることが認められている51。さらにまた、放射性核種が自然に生成され、バックグラウンド放射線値が非常に高い地域で実施された諸研究を検証した最近のメタ分析によって、動物個体群だけでなく、人間の場合でも、環境放射線と、DNA修復および遺伝的特徴にかかわる突然変異率のあいだに一貫性のある正比例関係が明らかになった52。研究室と生態学的に意味のある設定のあいだの相違に関する同じような説明として、餌と必須栄養素に乏しく、捕食者と寄生者がはびこり、その他のストレス要因が電離放射線の影響を明確にしている可能性が大きい現実の生態学的条件に比べて、研究室の条件ははるかに温和である。
方法
われわれは20125月のあいだ、福島県土の55か所でツバメの巣の外縁の外側と内側に熱ルミネセンス線量計(TLDs)を設置した(4)。われわれは、GR-100 TLDsに比べて感度が高い、個別校正済みのLiF:Mg,Cu,P TLDs3.2×3.2×0.8 mm; GR-200A)を使った53TLDsの線形性と線量反応は、医療用線形加速器とセシウム線源で生成したビームを用いて測定した。TLD反応は、室温から1秒あたり10℃の上昇率で240℃に達する温度範囲内でTLD読み取りシステム310Teledyne Brown Engineering)を使って読み取った。読み取り値は、以前に公表されていた結果と一致した54。平均28.4日間(平均誤差0.4;範囲:2533日間)のあと、われわれはTLDsを巣から回収した。TLDs回収のさい、巣の外縁から巣材試料(~1 g)を採取した。16か所の巣で、少なくとも78日齢になっていると推測した雛62羽の血液試料(~50μL)を上腕静脈穿刺によって採取し、ヘパリン添加毛細管に収集した。われわれはまた、血液滴(~10μL)をRNA保存剤(Qiagen)含有の小容器に移した。
4試料採取地の位置
汚染レベルと雛のDNA損傷の関係の分析に使った16か所の巣の位置。それぞれの位置が、試料を採取した1つ以上の巣に対応している場合がある。汚染レベルは日本の文部科学省(MEXT)が公表している公式データを、地上1メートルにおける汚染地図に描きこんだものである。地図は、ArgGis v10.2Environmental Systems Research Institute, Redlands, CA)を使って作成した。許可を得て使用。Copyright © 2015 Esri, DeLorme, NAVTEQ. All rights reserved.
すべての手順は、関連する指針と規則に則って実施されており、サウス・カロライナ大学の制度的実験動物保護・利用委員会の承認を得ている(Protocol number: 2014-100237-052611)。
放射能測定
われわれは現場で携帯型線量計(Model: Inspector, SE International, Inc., Summertown, TN, USA)を使って、巣の下の地表における環境α、β、γ放射線値を測定した。
われわれは7.62×7.62 cm3×3インチ)ヨウ化カリウム(Nal)検出器を装備した放射性同位体識別装置SAM 940Berkeley Nucleonics, San Rafael, CA)を使って、ガンマ線分光分析を実施することによって、巣材試料の放射能濃度を測定した。分光計は、鉛製検出器シールド(Canberra Industries, Meriden, CT, USA)のなかに縦に設置し、鉛ブロックによる追加的な遮蔽を施した。われわれはそれぞれの試料を放射性同位体識別装置SAM 940の上において測定した。
われわれはその後、セシウム137およびセシウム134の標準線源による校正を機器に施したうえで、スペクトルを放射能測定値に変換した。われわれは分析のさい、セシウム137661キロ電子ボルト(keV)崩壊ガンマとセシウム134597 keVおよび796 keVのピークに注目した。試料は、機械式対流方式の加熱オーヴン(Binder Inc., Bohemia, NY)を使って、60℃で12時間かけて乾燥し、Sartorius電子天秤(Model R160P; Göttingen, Germany)で重量を測定した。
試料の放射性崩壊にともなわないカウントを除外するために、試料の読取りに先立って、高い統計値、つまり「空(から)標的」スペクトラムが集められて、すべてのスペクトラムから差し引かれた。次いで、継続ガンマを除去し、崩壊のピークを分離するために、線形バックグラウンド関数がピーク領域(490500 keV)に適応された。セシウム134597 keVピークとセシウム137661 keVピークがかなり重なり、セシウム134796 keVピークは完全に解像された。セシウム134校正線源のスペクトラムは、796 keVピークに合わせることによって正常化された。次いで、この適合分を試料のスペクトラム全体から差し引いて、セシウム137661 keVピークを分離した。崩壊ピークのカウントを統合し、既知の校正線源の同じピークと比較することによって、完璧な校正を期すことができた。各試料の総放射能量は、セシウム137とセシウム134の放射能量推測値を合算して計算された。
それぞれの雛の総被曝期間を推測するために、雛の推定日齢と抱卵期間を合算し、控えめに14日間と見積もった。
遺伝子損傷の分析
われわれは参照文献55に公開されている手順に多少の改良を加えたものにもとづき、単一細胞ゲル電気泳動解析、別称「コメット解析」を用いて、遺伝子損傷を見積もった。
われわれは前もって個別凍結スライド(VWR, Radnor, PA)を1.5%標準融点アガロース[寒天の多糖成分]に漬けて、スライドを準備した。われわれは血液のRNA保存剤(Qiagen)溶液3μL1×PBS(リン酸緩衝生理食塩水)997μLに移した。次に、この溶液50μL1.5%低融点アガロース450μLと混合し、この混合液の100μLをスライドに塗り、ガラスのカヴァースリップを重ねた。4℃で5分間かけて、アガロースを凝固させた。われわれは次に、カヴァースリップを外し、低融点アガロース100μLの層をもう一枚重ね、今度も5分間かけて凝固させてから、カヴァースリップを外した。スライドを4℃で1時間置き、ゲルを凝固させてから、それを冷温溶解緩衝液(1%サルコシンナトリウムに、2.5モルNaCl100ミリモルNa2EDTA10ミリモルのトリス、1%トリトンX100を使用直前に混ぜ合わせ、最終pH10に調整したもの)に浸し、それを4℃で1時間置いた。われわれは次に、スライドを冷温の希釈分散H2Oですすぎ、それを中性緩衝液(300ミリモルNaOH100ミリモルのトリス、pH 10.0)に浸し、4℃で30分かけてDNAが展開するのを待った。われわれはスライドを同じ緩衝液を満たしたタンクのなかで4℃に30分保ち、0.7ボルト/cm150ミリアンペアで電気泳動させた。電気泳動を済ませると、中性化緩衝液(0.4モルのトリス、pH 7.4)で各回5分間ずつ3回すすいだ。次に、スライドを70%エタノールで15分間かけて固定し、それを一晩置いて乾燥させた。われわれは個体ごとに4枚のスライドを準備した。
われわれはスライドをSYBR® GoldTrevigen, Gaithersburg, MD)の1/10,000溶液に5分間浸して着色した。次にスライドを希釈分散H2O槽に5分間ひたして脱色してから、自然乾燥させた。各細胞の画像は、個別細胞の検出と格付をおこなう自動システム、Metafer SystemMetasystems, Bethesda, MD)を使ってチャプチャした56。すべてのスライドで少なくとも100個の細胞を捕捉できた雛の分だけが、最終試料として残された57。最終分析のさい、16か所の巣の雛49羽の試料が残り、これは当初の雛63羽の試料の78%になる。われわれはスライド14から平均313個の細胞(標準偏差147;範囲:111725)を捕捉した。われわれはDNA損傷を測定するために、尾部のDNA百分率を使ったが、これはコメットの頭部に比較した尾部の相対蛍光強度にもとづく測定法であり、コメット分析の最も信頼できるパラメーターである5758
雛ごとの遺伝子損傷データは、すべての細胞のコメット尾部のDNA百分率を平均することによって得られた。
地点別個体計数調査
われわれは2011年~2013年の各年7月第1週に、非汚染および汚染地点で鳥の定点個体計数調査を実施した(5)。ほぼ100メートル間隔で離れた調査地点ごとに5分間ずつの計数を行った。われわれは調査地点ごとに、生息地を農地、草地、落葉樹林または針葉樹林に分類し、これらさまざまな生息地の距離50メートル範囲内の地表被覆率を(10%ごとの段階別にして)見積もった。われわれは総数1100回分の5分間計数値(2011300回、2012400回、2013400回)を得た。2011年には立ち入り制限のために実施できた計数が100回分少なかったものの、各年の調査地点は同じだった。放射線量と生息密度の関係は、3年間を通して計数を実施した300地点の分析に限っていえば、質的に変動していなかった(結果は示されていない)。われわれは調査地点ごとに、携帯型線量計(Model: Inspector, SE International, Inc., Summertown, TN, USA)を使って地表レベルの放射線量レベルを記録した。われわれはまた(GPSを使って)地理座標と標高、定点計数の開始地点(から第8地点まで)の雲量、気温(摂氏)、風力(ビューフォート階級)を記録した。調査地点ごとに計数開始時間(1分間隔)を記録し、それを説明変数として解析に組み込んだ。鳥の活動レベルは朝と、それより劣るものの夕刻にピークになるので、われわれの分析に時間乗数を組み込んだのである。観測者の違いによるばらつきの問題を避けるために、すべての個体数調査でAPMが実施された。2012年と2013年に点検した巣のすべてで、われわれが個体数調査を実施するまでに巣立が済んでいた。それ故、繁殖時期の違いによる各年の違いは予測されない。
52011年~2013年の個体数調査地の位置
汚染レベルは日本の文部科学省(MEXT)が公表している公式データを、地上1メートルにおける汚染地図に描きこんだものである。地図は、ArgGis v10.2Environmental Systems Research Institute, Redlands, CA)を使って作成した。許可を得て使用。Copyright © 2015 Esri, DeLorme, NAVTEQ. All rights reserved.
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われわれは解析の第2セットとして、ツバメ幼鳥を(双眼鏡観察により、尾羽根が短いこと、色合いが薄いことを確認して)目視する確率を、ツバメ生息密度解析に組みこむ同じ予測因子と同じく、環境放射能の関数として分析した。ツバメ幼鳥は現存するツバメ成鳥の子孫なので、ツバメ成鳥の地域別生息密度もやはり予測因子として分析に組みこんだ。
統計解析
われわれは雛の遺伝子完全性解析のために一般線型混合モデル(GLMMs)を使い、放射線被曝量(巣材の対数変換放射能量または熱ルミネッセンス線量計[TLDs]によって推測される放射線量のどちらか)を共変量として、巣立った巣を変量効果として組みこんだ。どちらの解析にも被曝期間を共変量として組みこんだ。自由度はケンワード=ロジャー近似を使って見積もった。すべての解析をSAS 9.3SAS Inc., Cary, NC)で実施した。
われわれはツバメ生息密度の解析において、計数データのポアソン分布を想定し、一般化線型モデルを使った。予測変数として対数10変換放射線量および上記の潜在的な交絡変数をすべて組みこんだ。さらに、気温、雲量、風力、それに鳥の活動には早朝にピークがあり、また午後に緩やかな第2のピークがあることを考慮するために時刻と時刻の2乗を組みこんだ。われわれはまた、種の豊富度と生息密度のそれぞれと放射線量の非線型関係を説明するために、放射線レベルの2乗をも組みこんだ。これらの解析はすべて統計ソフトJMPSAS Institute Inc., 2012)を使って実施した。われわれはツバメ幼鳥の比率の解析のさい、2項式分布データとロジット結合関数を備える一般線型モデルに頼った。
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謝辞
Claudia Benitez-NelsonWendy Plessingerには、妙技を尽くしたスペクトラム校正の労をとっていただき、感謝を申しあげる。Ken Buesselerには、ご親切にも機器校正のための標準セシウム134を提供していただいた。Ivan FrigerioShane WelchJennifer Fillには、本論文で使用した地図の準備に大いにご助力をいただいた。われわれは、玄関の真上にあることも多かったツバメの巣に近づくさいに許可をいただいた日本のみなさま全員に感謝を申しあげる。本論文を、大切な家から立ち去ることを余儀なくされたすべての人びと――そして、ツバメたち――に捧げる。
著者情報
所属先
サウス・カロライナ大学生物学部 Columbia, SC 29208, USA
A. Bonisoli-Alquati, S. Ostermiller & T. A. Mousseau
非営利団体バードリサーチ 東京都府中市
K. Koyama
サウス・カロライナ大学物理・天文学部 Columbia, SC 29208, USA
D. J. Tedeschi
東京都市大学環境学部 横浜市
W. Kitamura
1.    Value Frontier株式会社 東京都港区
H. Sukuzi
2.    東北大学大学院生命科学研究科・進化生態学講座 仙台市
E. Arai
パリシュド大学UMR CNRS8079生態・分類学・進化研究室 Bâtiment 362, F-91405 Orsay Cedex, France
A. P. Møller
貢献
A.B.A., A.P.M. and T.A.M.は研究を構想した。A.B.A., K.K., W.K., H.S., E.A., A.P.M. and T.A.M. は現場でデータ収集を担当した。A.B.A. and D.J.T.はスペクトラムを収集、解析した。A.B.A. and A.P.M.は統計解析を実施した。A.B.A.が論文初稿を執筆し、著者らの全員が草稿に意見を寄せた。
利益相反
著者らは利益相反の不存在を宣言する。
連絡先著者
補足情報
補足図1放射能測定値と被曝量。環境放射線レベル(携帯型ガンマ分光計による測定値)と(aTLDsによる線量率の測定値(μGy/h)(t42 = 4.88, p < 0.0001, R2 = 0.37, N= 43)および(b)ガンマ分光計による巣材の放射能濃度測定値(Bq/kg乾燥重量)(t43 = 2.43, p = 0.019, R2 = 0.12, N= 44)の関係。(c)巣材の放射能濃度測定値(Bq/kg乾燥重量)とTLDsによる線量測定値(μGy/h)(t39 = 6.74, p < 0.0001, R2 = 0.54, N = 40)の関係。表示を明確にするために、データは対数変換されている。線は対数変換データに補間されて単純回帰線になっている。

【ライセンス】
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1 件のコメント:

  1. この論文の日本語訳を読みたいと思っていました。素晴らしいです。また、数々の論文のご紹介も有難いです。貴重な活動だと思います。感謝します。内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也
    http://www.radiationexposuresociety.com/

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