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— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2015, 5月 24
フクシマ核惨事から4年、鳥たちの苦境
まるで鉱山のカナリアのように、鳥の多寡が野生生物に対する核惨事の影響の悲惨な全体像を反映しているのかもしれない
スズメはフクシマ周辺で生息数が減っている鳥類30種のひとつである。(Takao Onozato/Corbis)
ベン・ミリン
スミソニアン誌 SMITHSONIAN.COM
年4月30日
年4月30日
ティム・ムソー(Timothy A. Mousseau)が初めて鳥類の生息数を数えに福島へ赴いたとき、彼が訪れた各地の放射能レベルは通常のバックグラウンド値に比べて1,000倍に達するほど高かった。それは2011年7月、東北地震とそれが引き起こした福島第一原子力発電所の部分的メルトダウン事故*の4か月後のことであり、日本は社会基盤の甚大な被害からの回復途上にあった。ムソーの彼の共同研究者が車をレンタルし、東京から北上したさい、いまだにちょっとした路上の難所に行き当たるありさまだった。
「だれもほんとうに予想しないような(放射能汚染の)初期の影響を把握できるように、わたしたちは現地に赴かなければならないとわかっていました」と、ムソーはフクシマ惨事のニュースを見て考えたことを振り返った。「わたしたちは結局、あの最初の年にできる最善の方法は単純に鳥を数えることだと納得しました」。
4年間かけて福島第一原発の周辺400か所で鳥類の個体群を調査したいま、ムソーと彼の研究仲間たちは鳥類個体群を指標システムに使って、地域野生生物に対する惨事の影響に関する険悪な姿をまとめあげた*。放射能が県土全域で減少してはいても、鳥類種の数と個体生息数が急激に減っており、状況が年ごとに悪化していることを研究チームのデータが示している。
* Cumulative
effects of radioactivity from Fukushima on the abundance and biodiversity of
birds 【PDF】
「最初、ほんの数種に放射線の影響の有意な兆候が認められていました。今では、(安全地帯から)もっと、もっと線量レベルの高い、そうですね、曲がり角あたりまで5キロか10キロも深入りすると、死のような静けさです。運がよければ、1羽か2羽、目にすることでしょう」と、ムソーはいう。
ムソーの研究チームは鳥の個体計数調査を総計2,400回実施し、鳥類57種のデータを収集しており、それぞれの種がバックグラウンド放射能に対する特定の感受性を示していた。彼らは鳥類学ジャーナル3月号で公開した論文で、鳥類のうちの30種で調査期間中に個体数の減少が認められたと報告した。そのなかでも、ハシボソガラスやスズメなどの留鳥は、3月上半期の部分メルトダウンから数週間後まで県土に到来しなかった渡り鳥に比べて、感受性が高いことが認められた。
人類史上で核事故は稀であり、野生生物に対する放射能の直接的な影響に関するデータの持ち合わせは非常に少ない。ムソーはこれまで15年間かけて、核事象ごとの比較研究を実施しており、わたしたちの知識基盤を構築し、隙間を埋めるために貢献してくれている。たとえば、チェルノブイリ惨事が野生生物におよぼした初期の影響に関する公式発表記録は存在しないものの、近年になって、地域の鳥類から森林の菌類*まで、事故後におけるチェルノブイリの生態系を評価するための研究が数多く実施されている。
ムソーは2012年にフクシマを再訪問したとき、放射線被曝地帯で白脱色した羽毛の斑点を有する鳥を捕獲しはじめた。これは馴染みのある兆候だった――「わたしが2000年に初めてチェルノブイリに赴き、鳥類を収集したさい、ある格別に汚染された農場の(捕獲した)鳥の20パーセントに、[体表の]あちこち――サイズが大小さまざま、文様が規則的だったり不規則だったりする――白色羽毛の小斑点が認められました」
ムソーの研究チームは、これらの白斑は放射線被曝に起因する酸化ストレスの結果であり、そのために鳥の羽毛やその他の体部位の配色を制御する鳥の抗酸化物質保有量が減衰したのだと考えている。チェルノブイリでは、白斑は、白内障、腫瘍、非対称体型、発育異常*、繁殖率低下、頭脳サイズの縮小など、放射線被曝による他の既知の症状と効率で一致している。
*
Even
Tiny Amounts of Radioactive Food Made Caterpillars Become Abnormal Butterflies
2013年になると、フクシマでムソーが計数していた鳥に、双眼鏡で見ることができるほど大きな白斑があった。
ムソーは兆候を総合して、チェルノブイリとフクシマのデータセットが、核惨事後のさまざまな段階における放射線の長期にわたる野生生物に対する蓄積的影響*の有意な証拠を提示していると考えている。だが他にも、入手可能な情報をまったく異なった形で解釈する専門家もいる。
「わたしは酸化ストレス仮説を無条件に信頼できない」と、“Chernobyl: Catastrophe and Consequences”[『チェルノブイリ~破局と帰結』]の編集・主著者にして地上・海洋生態系の専門家、ジム・スミスはいう。「フクシマでも、チェルノブイリでも、最近の放射線レベルは低線量であり、細胞の抗酸化能力は、このレベルの放射線の酸化作用に比べて、一回りも二回りも大きいのです」と、彼はいう。この説によれば、羽毛の白斑は――それに、たぶん鳥の衰退全体は――放射線以外のなにかに引き起こされたことになる。
鳥の羽毛は、わたしたちの髪色が年配になると変わるのとよく似た老化の副作用として、色が変わることが多い。羽毛はまた年に数回の換羽サイクルごとに生え変わり、そのたびに色素形成のために新たなメラニンの補給が必要になる。エール大学の鳥類学者、リチャード・プラム(Richard Prum)によれば、このことから――鳥の放射能汚染地帯における生息や通過の有無にかかわりなく――色素変異が極めて定期的に起こる可能性が浮上する。
プラムは鳥類の羽毛配色進化を研究しており、「これは車の修繕に少し似ています。問題は明瞭なのですが、可動部品が多いのです。白色羽毛など――メラニン関連のストレスは、多様な環境のもとで、これと同じように発現し、その背後にある原因は非常に多様なのかもしれません。この冬にも、わたしの自宅の給餌器に異常な白い色素沈着のある4種の鳥が来たのを見ましたが、わたしはニューヘブン*の放射線レベルをさほど心配しておりません」と語った。
* [エール大学所在地。コネチカット州南部の港町]
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