2016年9月18日日曜日

福島大学・放医研「福島汚染地におけるアカマツの形態異常」~論文は英語版だけ、しかも$35.95也




Volume 165, December 2016, Pages 60–67

福島第一核発電所の事故で汚染された地域におけるアカマツ(Pinus densiflora)の形態異常


a 国立大学法人福島大学・環境放射能研究所(〒960-1296 福島県福島市金谷川1
b 放射線医学総合研究所・福島再生支援本部(千葉市)

2016521日受付 同年826日更新 同年94日受理 
同年914日オンライン掲載

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要点

  • 福島地域におけるアカマツ幼木の異常を調査した。


  • 典型的な異常として、頂芽優勢の無効化、すなわち幹の出芽停止が認められた。


  • チェルノブイリ立入禁止区域の内側でも、ヨーロッパアカマツの同様な異常が観察されている。


  • 異常化率は樹木が受けた線量率と正比例していた。


  • 異常は被曝開始後4年以内に発現した。


概要

われわれの研究は2014年から2016年にかけて福島県の放射能汚染領域の8地点で実施され、アカマツ(Pinus densiflora)が放射線に感受性が強いことを示した。放射線照射がこの植物種の頂部優勢の無効化を誘発していた。この作用は、チェルノブイリ立入禁止地帯で生育するヨーロッパアカマツ幼木のそれと同様であった。われわれは同時に、アカマツ成木になんらの形態異常も認めなかった。アカマツにおける頂部優勢無効化の確率は、2か所の低レベル放射線を浴びた群落において、0.11および0.14の上昇が認められ、1時間あたりの吸収線量率がそれぞれ14および25 μGyであった2地点では、0.5および0.9の上昇が観測された。観察された異常の大半は、被爆開始後、2番目の輪生体で発現していた。5番目の輪生体では新たな異常は認められなかった。この時間的な発現パターンは、チェルノブイリのヨーロッパアカマツおよび福島のモミについて報告されているパターンと同様だった。観察された時間的発現パターンを解釈し、ならびに全般的には、形態異常の形成メカニズムを説明するためには、追加的な詳細研究が必要である。

Keywords
Fukushima accident; Radiation; Radiation effects; Japanese red pine; Morphological abnormalities; Cancelling the apical dominance




【クレジット】

ScienceDirect.com, “Morphological abnormalities in Japanese red pine (Pinus densiflora) at the territories contaminated as a result of the accident at Fukushima Dai-Ichi Nuclear Power Plant,” published online on 14 September 2016 at;

【中国網日本語版(チャイナネット)記事】


福島大学の研究チームは19日、環境省が開催した研究会において、福島第一原発の事故発生後、放射能汚染の影響が深刻な福島県内の一部地域で、変異により成長しなくなったアカマツが大幅に増加したと報告した。

日本メディアは20日、「アカマツ先端の新芽は通常、側面の新芽よりも成長が旺盛だ。福島大学環境放射能研究所特任教授のVasyl Yoschenko氏が率いる研究チームは、昨年より福島県内の5カ所で、頂芽の成長が止まったアカマツの調査を行った」と報じた。



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