2018年9月4日火曜日

英紙ガーディアン【#フクシマ☢惨事】福島市民は防護服姿のサン・チャイルド像に不満たらたら



福島市民は放射線防護服を着たサン・チャイルド像に不満たらたら

JR福島駅の外に設置されたアート作品、批判する向きは地域が居住に適さないかのような印象を与えると主張する

ジャスティン・マッカリー【東京発】
Justin McCurry in Tokyo Twitter ID @justinmccurry
2018813 11.04 BST

サン・チャイルドは黄色い防護服を着用した姿で表現されている。福島市長は像を設置する決定を弁護した。Photograph: Kyodo News via Getty Images

福島市の住民は、市内のJR駅の外に設置された防護服姿の子ども像について、この地域が2011核惨事のせいで居住に適さないかのような印象を与えるといって、その撤去を要求した。

ヤノベ・ケンジが造形した像は、黄色の防護服風のスーツを着用し、片手にヘルメット、もう一方に太陽を表すアート作品を掲げた子どもを表現している。

ヤノベは日本と海外各地の美術展で展示されたあと、自治体が設置した彼の作品『サン・チャイルド』について、核のない世界を求める彼の願いを表現しているという。

アーティストは、福島第一原発がチェルノブイリ以来で世界最悪の核災害の現場になってから7年以上たった今、地元の子どもたちが放射能から自衛する必要があるという印象を与えるつもりはないと語った。

彼は、子どもがヘルメットを着用していないし、胸のモニターは放射線レベル“000”を表示していると指摘した。

ヤノベは共同通信によれば、「わたしは(福島の)人びとを勇気づけるような作品を作りと思い…どんな困難にも負けず、凛々しく逞しく立ち上がる子ども像を制作する…」*と述べた。

だが、彼は、「放射能に対する知識の正確さが、震災前と比較にならないくらい求められていることに配慮すべきでした」*とも付言した。
* [訳注]2か所の引用の出処は、ヤノベ・ケンジ氏の声明文

ヤノベの像は、今月に展示されると、ソーシャル・メディアや福島市ホームページの「ご意見・お問い合わせ」欄で批判を招いた。共同通信によれば、「防護服がなければ生活もできないという印象を与え、福島の評判を損なう」と一枚のポスターが告げていた。

他にも、放射能漏れで被災しなかった地域でも、さまざまなレベルのバックグラウンド放射線にさらされているので、モニター表示値がゼロであるのは誤解を招くと指摘する声があがった。

福島市の木幡浩市長は、福島市の未来について、子どもが希望に満ちているように思えると信じており、太陽のシンボルはクリーンなエネルギー源を開発する必要性を暗示しているとして、この像を設置する決定を弁護した。

木幡市長はそれでも、この像が市民の批判を招いていることを認め、その将来を決める前に住民の意見を判断材料に含めると発言した。

日本政府は、福島第一原発廃炉という、コストがかかり、込み入った仕事が遅々として進まず、しかも近隣地域の放射線量レベルに関する懸念が募るのをよそに、福島の災害復興を強調するために、東京2020オリンピックを役立てることを望んでいる

福島市はオリンピックの野球・ソフトボール競技の開催地であり、最近、オリンピック聖火リレーの出発地に選ばれた。

地方自治体が住民を説得して、避難した地域に戻るように努めているさなか、子ども像騒ぎが持ちあがった。帰還について、とりわけ幼い子どものいる家族が最も深く不安を抱いており、避難命令が解除された市町村に戻った住民はごく少ない。

福島第一原発から19キロばかり南の楢葉町の場合、20159月に安全が宣言されたが、震災前の人口7,400人のうち、数百人が戻っただけである。

【クレジット】

The Guardian, “Fukushima residents complain over statue of child in radiation suit,” by Justin McCurry, posted on August 13, 2018 at https://www.theguardian.com/world/2018/aug/13/fukushima-residents-complain-over-statue-of-boy-in-radiation-suit.

【関連記事】

2018821日火曜日
日本政府は、東京2020年オリンピック大会が有効な広報機能を発揮して、日本のイメージ、とりわけ北日本と福島の放射能汚染イメージを払拭することを明らかにねらっている。福島第一原発の現場そのもの、そして爆発によって地域全体に降り積もった放射性物質の跡が修復されていなくても、一般人の認識は修復されるだろう。これが、放射能災害に見舞われた先進諸国政府のふるまいの典型例である。災害そのものは払拭するのが非常に困難で、一掃する準備を整えるだけでさえも数十年かかるので、大々的な広報活動のために大金が割り当てられる。広報活動は、完遂できる仕事であり、成功できると考えられている。広報活動は、政府の大衆イメージ操作を前進させるし、それにまた核惨事の修復にかかわる全般的な傾向が決め手を欠いているもののひとつである昨今、お任せ意識の拡散もする。

【関連メディア記事】

福島民友ニュース 2018829
 福島市が教育文化施設「こむこむ」前に設置した立像「サン・チャイルド」の表現に一部から批判が寄せられていた問題で、市は28日、作品を撤去すると発表した。
 木幡浩市長は記者会見で「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けることは困難と判断した」と述べ、謝罪した。
 展示が始まった今月上旬から、交流サイト(SNS)などで、立像が防護服姿であることや、線量計を模した胸のカウンターが「000」となっていることが「風評被害を助長する」「非科学的」との批判が集中。作品の表現を評価する声もあり、市の対応が注目されていた。



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