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慰安婦像をめぐり、日本側の市長がサンフランシスコと大阪の絆を断つ
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2018年10月3日
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セント・メアリー広場、第二次世界大戦期の慰安婦に敬意をささげる「強さの円柱」像。Photo:
Justin Sullivan / Getty Images
2年近く脅されていたこと――それが今、公式になった。
そういうこと。
問題になっているのは、セント・メアリー広場の「強さの円柱」像、第二次世界大戦期の日本軍によって強制的に性奴隷とされ、「慰安婦」と呼ばれた中国、朝鮮、フィリピンの推定200,000人の女性たちに敬意をささげる記念碑である。
多くの日本の公職者らは、慰安婦の数と過酷な処遇は誇張されているという。彼らはまた、とても多くの国ぐにが凄まじい戦争行為を犯してきたというのに、わが国だけが戦時の残虐行為をとやかく言われることはないともいう。
大阪の吉村洋文市長は故エド・リー市長、次いでブリードに対し、この像を公有地から撤去してほしいと依頼し、そうしなければ姉妹都市関係が切れる恐れがあると告げた。両市長ともに謝絶した。吉村は、次のように書いてよこした――
「長年にわたる友好交流によって築かれてきた両市間の信頼関係そのものが大きく損なわれる結果になりました。わたくしは、姉妹都市関係を継続するのはもはや不可能であるとの結論に達しました」
像保全運動の先頭に立って助力したサンフランシスコ高等裁判所の元判事、リリアン・シングは、吉村の決定を非難した。彼女は、次のように述べた――
「わたしたちは、彼の行動をとても悲しく受け止めます。彼の行いは相変わらずの歴史否定を示すだけであり、なんの指導性も、なんの未来展望もありません」
ブリード市長の広報担当、ジェフ・クレタンは、姉妹都市関係は、双方の市長の関係ではなく、両市の市民集団の関係であると発言した。それは変わることがない。彼は、こういった――
「市長は、吉村市長が行政当局間の絆の維持を望んでいないことに失望しておりますが、わたしたちとしては、サンフランシスコと大阪の姉妹都市委員会を通して継続するはずの両市姉妹都市関係に関与しております」
クレタンは、念のために言っておきますが、像はどこにも行きませんと言い添えた。
1年前に除幕された像の1体に手を伸ばして触れる元「慰安婦」ヨンス―・リーおばあちゃん。Photo:
Paul Chinn / The Chronicle 2017
チャイナタウン、セント・メアリー広場にて2017年9月22日、第二次世界大戦期の慰安婦に敬意をささげる記念像を除幕する要人ら。Photo:
Paul Chinn / The Chronicle 2017
昨年7月の除幕後、身を寄せて「慰安婦」記念碑を見つめる人びと。Photo:
Eric Risberg / Associated Press 2017
カリフォルニア州サンフランシスコにて2017年11月1日、セント・メアリー広場に展示された、アーティストのスティーヴン・ワイト作、強さの円柱「慰安婦」像。Photo:
Justin Sullivan, Getty Images
チャイナタウンのスティーヴン・ワイト作「強さの円柱」像は、第二次世界大戦期の日本軍によって強制的に性奴隷とされた女性たちを表現している。Photo:
Justin Sullivan / Getty Images
プロジェクト共同代表、ジュリー・タン高等裁判所判事(右)とともに、奉納式典に臨場する元「慰安婦」ヨンス―・リーおばあちゃん。Photo:
Paul Chinn / The Chronicle 2017
ヘザー・ナイトは、サンフランシスコ・クロニクルのコラム執筆者。
Email: hknight@sfchronicle.com Twitter: @hknightsf
【クレジット】
San Francisco Chronicle, “Japanese mayor cuts ties between SF and Osaka
over comfort women statue,” by Heather Knight, posted on October 3, 2018 at https://www.sfchronicle.com/bayarea/heatherknight/article/Japanese-mayor-cuts-ties-between-SF-and-Osaka-13279584.php?utm_campaign=twitter-premium&utm_source=CMS%20Sharing%20Button&utm_medium=social#photo-16273816
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