シンガポールと韓国が「五つの目」諜報活動に関与と判明
2013年11月25日 シドニー・モーニング・ヘラルド紙
フィリップ・ドーリング Philip Dorling
エドワード・スノーデン氏 Photo: AP |
米国の元諜報請負人、エドワード・スノーデンが漏洩した極秘文書によれば、シンガポールと韓国は、アジア全域に行き交う海底通信の米国とオーストラリアによる傍受に対する協力で重要な役割を担っていることがわかった。世界の衛星通信の傍受におけるオーストラリアとニュージーランドの関与の詳細も新たに明らかになった。
米国国家安全保障局(NSA)の極秘地図によれば、米国と「五つの目」諸国は、世界20か所の高速光ファイバー・ケーブルを用い、地域各国の政府と通信会社の協力によって、あるいは他にも「ひと目をはばかる隠密の」作戦を用いて、世界規模の監視プログラムを実施している。
海底ケーブル傍受作戦は、これとは別の漏洩したNSA計画文書のことばでいえば、「五つの目」構成諸国――米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド――が「いかなる人でも、どこでも、いつでも」追跡することを可能にする世界規模諜報網の一環である。
昨夜、オランダ紙“NRC
Handelsblad”が掲載したNSA地図によれば、米国はアメリカ西海岸、ハワイ、グアムに置かれた傍受施設を用いて太平洋横断通信回線の監視体制を維持し、太平洋を行き交うケーブル通信データ、それに日豪間の接続を傍受している。
世界有数の重要な通信ハブであるシンガポールが「五つの目」諸国諜報機関と協力する重要な「第三国」であることも、地図で確かめられた。
オーストラリアの電子諜報機関、国防信号司令部(DSD)がシンガポールの諜報機関と協力して、日本から、シンガポール、スエズ、ジブラルタル海峡を経て、ドイツ北部にいたる海底通信ケーブルを傍受していると、8月にフェアファックス・メディア(Fairfax Media)が報道した。
オーストラリアの諜報関係者は、シンガポール政府国防省の高度に秘密な部署である安全保障・情報師団がDSDと協力して、SEA-ME-WE-3ケーブルおよびシンガポールからフランス南部にのびるSEA-ME-WE-4ケーブルが伝播する通信に接続し、両者で共有しているとフェアファックスに語った。
この重要な国際通信回線への接続は、シンガポール政府所有の運営会社、シングテルによって実施され、オーストラリア・シンガポール間諜報・防衛協力関係の過去1年間にわたる拡大の重要な要素になってきた。
シンガポール政府の投資機関、テマスク・ホールディングスが株式の大半を保有するシングテルには、シンガポールの諜報機関と密接な関係がある。シンガポール政府は同社の重役会に政府代表として、現在のシンガポール行政部長であり、かつてシンガポール首相府で国家安全保障・諜報を担当していたピーター・オングを送り込んでいる。
オーストラリアの諜報の専門家、オーストラリア国立大学のデス・ボール教授は、シンガポールの信号諜報能力が東南アジアで「おそらく最も先進的」であり、1970年代に先陣を切って、オーストラリアとの協力関係を開き、その結果、地域の通信ハブとしてのシンガポールの地位がてこ入れされることになったと語った。
インドネシアとマレイシアは、1970年代以来、オーストラリア・シンガポール間諜報協力の主要な標的である。インドネシアの通信・インターネット回線の多くはシンガポールを経由している。
漏洩したNSA地図は、韓国も重要な傍受地点であり、釜山でケーブルが上陸し、中国、香港、台湾の対外通信への接続に好都合である。
韓国の国家情報院は、米国の中央情報局およびNSA、それにオーストラリアの諜報機関とかねてから長く緊密な協力関係にあった。オーストラリア保安情報機構(ASIO)は最近、オーストラリアにおける韓国の諜報(South Korean espionage in Australia)が詳細に公開されるのを防ぐための訴訟に関わっているが、その試みも不調のままである。ASIOのデイヴィッド・アーヴィン長官は連邦裁判所で、オーストラリアと韓国の諜報機関には「30年を超える」協力関係があり、NISの活動に関するいかなる情報公開も、オーストラリアの国家安全保障に「弊害をおよぼす」だろうと証言した。
スノーデン氏が漏洩し、ブラジルのオ・グロボ紙が公表したNSA地図は、オーストラリアとニュージーランドの信号諜報施設が「五つの目」構成諸国による衛星通信回線傍受システムに組み込まれていることの詳細で新たな情報も明らかにしている。
西オーストラリア、ジェラルトン近郊にあるコジャレナのデジタル通信衛星傍受施設に“STELLAR”のコードネームが付けられていることがはじめて明かされた。ニュージーランド南島、ワイホパイにあるニュージーランド政府通信安全保障局の施設は“IRONSAND”と呼ばれている。ダーウィン近郊のショアル湾に置かれている傍受施設のコードネームはわからない。だが、これら3施設はNSAによって「一次FORNSAT(外国衛星通信)収集実施施設」にリストアップされている。
アジアおよび中東全域の衛星通信傍受は、三沢の米空軍基地、タイおよびインドの米国外交施設に置かれたNSA施設と、オマーン、ケニアのナイロビ、キプロスの英軍基地に置かれた英国政府通信本部の施設で支えられている。
漏洩されたNSA地図はまた、NSAと英国政府通信本部が、ジブチとオマーンにある軍施設を通して海底ケーブルに接続し、中東および南アジアの通信を最大限に網羅して捕捉することが可能になっていることを示している。
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