2013年10月31日
フクシマ危機:
これは一国だけの問題なのか、世界全体の問題なのか?
これは一国だけの問題なのか、世界全体の問題なのか?
Photo: EPA
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300トンの高レベル放射能汚染水が太平洋に流出していることが確認された。チェルノブイリ以降で最悪の核惨事の浄化作業には、30年の歳月と10兆円の経費を要し、環境論者たちは警鐘を鳴らし、国際社会の介入を求めている。
放射能監視団体“Beyond Nuclear”のケヴィン・キャムプス(Kevin Kamps)と“Enformable”核調査・編集員のルーカス・ヒクソン(Lucas Hixson)が、賛否をめぐる状況の複雑さを論じる。
ケヴィン・キャムプス(Kevin
Kamps)、放射能監視団体“Beyond Nuclear”
これはある意味で第二次世界大戦――数年にわたる危機――のように、数十年でなくとも、長年の将来にわたってつづきます。2年以上にわたって、1日あたり300トンの放射能汚染地下水が漏出しており、それを認めるのに、2年かかりました。
2011年の惨事勃発のほとんど直後から、放射能に汚染されたガレキだけでなく、津波そのものが残した大量のガレキに対処する計画が実施されました。そして、残念なことに方針を変えて、ガレキを焼却することになりました。放射能汚染されたガレキの焼却の問題点は、放射能を空気中に二次的に放出することです。適正な濾過装置なしに放射能汚染ガレキを焼却するのは、唖然とする考えです。ある場所で焼却灰を東京湾に投棄しましたが、これはさらなる放射能の海中放出にあたります。
アインシュタインの警句――核を分裂させると、われわれの思考様式は除いて、すべてを変えてしまった――を思い起こしますが、このようにして、わたしたちは比類のない破局に向かっているのです。わたしが、情報が適正に日本国民に伝えられていたとは思いません。政策決定の上層部も、みずから五里霧中だったのかもしれないと思います。ですから、このアインシュタインの警句はぴったりだと思うのです。
ルーカス・ヒクソン(Lucas Hixson)、“Enformable”核調査・編集員
なにをするにしても、知識が不足し、能力が不足しており、わたしたちはその結果を確かに目のあたりにしているのだと思います。わたしたちは戦いに付いていけず、次々と浮上する現在の問題に現に即応できておりません。重要な問題は、業界、東京電力、日本政府が環境を守り、住民を守るのに、安全文化に頼っているかぎり、わたしたちは常に失敗していることにあるとわたしは思います。これらの機関による管理に頼っているかぎり、いつか失敗するに決まっています。
明らかに、目下、汚染水の流出を止められないでいます。この点でいえば、津波に流されたガレキのおかげで、太平洋を横断する流れを追跡することが可能になり、それまで未知だった海流に関する新事実をたくさん学ぶことができましたので、津波はある種の僥倖だったのかもしれません。ですから、ガレキが最も多く堆積している場所がどこかを知ることができれば、日本沿岸からアメリカ沿岸までの汚染の拡散によって最もひどく影響されている地域もわかるでしょう。
ケヴィン・キャムプス(Kevin Kamps)、放射能監視団体“Beyond Nuclear”
最初の実に嘆かわしい徴候は、子どもたちを含む一般人の許容放射線量を、年間100ミリレムから2レムへと、20倍に引き上げたことであり、これはたとえば、ヨーロッパの被曝作業員の仕事による被曝の許容量になります。もうひとつの悪い徴候として、子どもの甲状腺疾患の兆しが現れています。嚢胞と結節が見つかり、甲状腺癌の事例が増える一方であり、これは非常に稀なものであり、正常な状況では見つかるはずがありません。
事実隠しが実質的につづけられています。それに、2020年に東京でオリンピックを開催するのには、巨大なリスクがあり、それも、過去の汚染のためだけでなく、フクシマの状況が統御からほど遠いためです。4号炉――高レベル放射性廃棄物貯蔵プール――は崩壊の瀬戸際にあります。それに対応するために、来月、重要な処置に踏み切ることになっていますが、オリンピックの開催中、東京の人口に加えて、多数の人びとが訪れているときに、フクシマで重大なことが起これば、それこそみずから災いを招くようなものです。
ルーカス・ヒクソン(Lucas Hixson)、“Enformable”核調査・編集員
わたしは、現状を維持するだけでも、国際的な尽力を要するだろうと思います。しかし、わたしたちには、この問題に長期にわたって真に対処しはじめるだけの技術がありません。建屋内の汚染区域に近づくことができませんし、建屋内の溶けた炉心を見ることすらできなく、どこにあるのか、わかりません。ですから、わたしは、現状を維持するだけのために、国際支援に向かうつもりです。だけど、率直にいって、わたしたちには打開策がありませんので、国際支援団が来るからといって、人びとがわたしたちに解決策を持ってきたと考えるなら、困ります。
多くの先進諸国が核エネルギーを必要としているというのは間違った言い分であると、人びとが理解しはじめているとわたしは思います。諸国が供給するエネルギーは、じっさいに自給可能なものでなければなりません。わたしたちはその事実を、ドイツだけでなく、日本でも目撃しました。たったいま、両国の全原子炉が止まっており、電力不足もありません。
国内的と国際的の両面で、すでに明らかに影響がありますし、これからもあるでしょう。状況が悪化する可能性がありますし、国際的な環境災害を防止するという意味では、手遅れです。すでに発生しているのです。
【ケヴィン・カムプス記事】
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