◇◇◆目次◆◇◇
環境要因の結果としての心血管病理
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放射能汚染地に生きる子どもたちの心血管系の病変
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第2章:
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検死解剖に診るゴメリ州住民の心筋構造の病変
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137Csに内部被曝した実験動物の体内の構造・代謝病変
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放射性セシウムが心臓におよぼす作用の病態生理特性
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結論・略語リスト・原書目次・参照文献
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出処:International solidarity
CHERNOBYL
原文:Radioactive Cesium and the
Heart: Pathophysiological Aspects(PDF)
放射性セシウムと心臓:
病理生理学的側面
病理生理学的側面
医学博士、ユーリ・I・バンダジェスキー教授
by Professor Yuri I. Bandazhevsky, M.D.
by Professor Yuri I. Bandazhevsky, M.D.
論文原本出版:ミンスク、2001年
ロシア語⇒英語・新訳:2013年
Bandazhevsky Y. Radioactive cesium and the
Heart: Pathophysiological Aspects.
"The Belrad Institute" 2001. - 64 pp. ISBN 985-434-080-5
"The Belrad Institute" 2001. - 64 pp. ISBN 985-434-080-5
第2章
検死解剖で診るゴメリ州住民の心筋構造の病変
心臓に対する137Cs(セシウム137)の損傷作用を実証するために、さまざまな死因で死亡したゴメリ州住民である子どもたちと成人から摘出した心筋組織に対する研究が実施された(総数408例)。研究のさい、被剖検組織中の137Cs濃度が測定された。顕微鏡検査の結果、408例のうちの99%に、筋肉線維の痙縮(訳注:筋緊張が病的に亢進する状態)または過剰収縮、筋細線維の一次束崩壊、さまざまな深刻度の変性過程、そして壊死の形で発現した心筋細胞の拡張性損傷の存在が明らかになった。(20ないし500 Bq/kgの濃度で)心筋に取り込まれたセシウム137に対する被曝が引き起こした心筋の病変が、基礎疾病に関わりなく、主要死因のひとつであることは疑いない。これは子どもの遺体の場合、とりわけ真実である。一例をあげてみよう。コルムヤンスク地区在住、生後7か月の乳児Lは、急性呼吸器ウィルス感染症の徴候を示して病院に連れてこられた。やがて、心肺機能不全と敗血症が発症した。入院後8日目にして、乳児は敗血症で死亡した。心臓を含め、体内器官に相当な127Cs蓄積が見つかった(表5)。
硝子滴変性および焦点水腫ジストロフィー(訳注:「細胞や組織の栄養が異常または不足となり、変性と再生異常が形態学的に認めうるに至った状態」広辞苑第六版)の形で発現した退行性病変を介して、心筋細胞の損傷が示された。筋線維は互いに分離し、輪郭が不鮮明であり、横紋の表出が弱かった。筋細線維の分断化をともなう病巣溶解が発現した。心筋細胞の核は血色素増加と多形現象を示し、さらにまた一部の部位に核凝縮と巨大核が現れた。心筋血管が急激に多血拡張し、パンパンに充血していた。血管内皮のプラスモハギアと拡張もまた見られた。
表5
乳児Lの体内臓器中の137Cs量
臓器
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137Cs(Bq/kg)
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肺
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450
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心臓
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2410
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胃
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250
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小腸
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1250
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大腸
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1200
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腎臓
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710
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膵臓
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240
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胸腺
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80
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甲状腺
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470
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脾臓
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130
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脳
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650
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肝臓
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670
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ストロマは筋肉間浮腫とリンパ球とプラズマ細胞の血管周囲浸潤を示していた(図4)。
セシウム137が成人よりも子どもたちの体内臓器にずっと集中的に蓄積し(図5)、さまざまな成長段階における臓器の形成と適切な働きに影響をもたらすことは、強調されるべきである。
1.心筋 2.脳 3.肝臓 4.甲状腺
5.腎臓 6.脾臓 7.骨格筋 8.小腸
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環境要因の結果としての心血管病理
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放射能汚染地に生きる子どもたちの心血管系の病変
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検死解剖に診るゴメリ州住民の心筋構造の病変
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137Csに内部被曝した実験動物の体内の構造・代謝病変
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放射性セシウムが心臓におよぼす作用の病態生理特性
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出処:International solidarity
CHERNOBYL
原文:Radioactive Cesium and the
Heart: Pathophysiological Aspects(PDF)
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