2014年5月22日木曜日

#ふくしま集団疎開裁判:緊急記者会見~「美味しんぼ」表現の自由抑圧に抗議する~ビデオ+井戸謙一弁護士の解説テキスト



祐児三輪









OPTVstaff


福島集団疎開裁判・緊急記者会見
一漫画「美味しんぼ」表現の自由を抑圧する福島県に抗議するー
進行表:
日時 2014521
場所 参議院議員会館
830
開始挨拶~今回の記者会見に至った経過
1835
福島からの証言
4人のお母さん
中通り、会津のお母さんの声・報告(会津放射能情報センター)
ママレボに寄せられたいわき・福島県外のお母さんの声(代読)
鼻血に関する重要情報の紹介
1910
記者からの質問タイム(15分)
1925
会場から 
井戸川克隆さんのお話   
山本太郎さんのお話
大阪瓦榛裁判の事務局の方のお話し 他発言
  第2次疎開裁判の報告等(弁護士)
1945
閉会挨拶
抗議集会の説明と官邸前に移動
2015
官邸前・抗議集会開催

平成26年5月21日
「美味しんぼ問題」記者会見にあたって
井戸謙一
1     福島集団疎開裁判の会,会津放射能情報センター,子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク,子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト・郡山は,2014年5月15日,福島県佐藤雄平知事に対し,抗議文を提出しました。そのことについて,これから記者会見を行います。
2     「美味しんぼ」の「福島の真実」編22巻~24巻に対する誹誇,中傷,攻撃はすさまじいものがありました。5月7日,福島県双葉町と福島市は,小学館に対して抗議文を提出し,5月12日,大阪府知事と大阪市長が連名で小学館に対して抗議文を提出し,5月13日には,環境省が批判的な見解を公表しました。政治家からの発言も相次ぎ,石原環境大臣は「何を意図しているのか理解できない。」と,安倍総理は「根拠のない風評」とそれぞれ発言し,福島大学学長は,荒木田准教授の発言を公然と批判しました。
 表現物に対して市民が批評するのは自由です。福島の復興のために頑張っている人たちの中には,美味しんぼを読んで,「復興にマイナスになる。」と感じた人がいることも理解できます。しかし,公権力が,今回のように,表現内容について,福島で起きている事実や,放射能被害に対する科学的知見の現状を無視あるいは黙殺して公然と批判することは,雁屋哲さんの表現の自由,小学館の出版の自由を実質的に侵害するものです。福島大学学長の行為は,大学教員の学問の自由に対する侵害です。そして,公権力によるこれらの行為が,井戸川克隆前双葉町長に対して浴びせられた,まるで嘘つきであるかのような人格攻撃を煽る結果をもたらしたことも重大な人権侵害です。
3     しかし、今回私たちが福島県に抗議した理由、本日皆さんに訴えたいことは、そのことではありません。私たちが訴えたいのは、今回の美味しんぼに対する攻撃が、放射能に不安を感じながら福島県あるいはその周辺で生活している人たち、とりわけ、子供を育てているお父さん、お母さんたちを今まで以上に抑圧する結果を招くということなのです。
4     今回の美味しんぼ攻撃のポイントは2つです。1つ目は,鼻血の話がデマであると主張し,あるいは,デマであるかの様な表現で攻撃していること,2つ目は,鼻血が被ばくとは関係がないことを明言し,因果関係があるとの考えを持つこと自体を攻撃していることです。
5     まず,鼻血の話はデマではありません。井戸川前双葉町長が鼻血を出されていることは真実ですし,それ以外も鼻血を出された方が多くおられたことも真実です。福島第一原発事故の後,福島のお母さん達の間では,「今まではとんど鼻血を出したことのなかった子どもが鼻血を出した。」「今までのタラタラと出る鼻血とは違ってドバツと大量に出た。」「一旦出たらなかなか止まらない。」「クラスで何人も出した。」「クラブで何人も出した。」といった話がなされていました。もっとも,当時から放射能に対する不安を口にするのははばかられる雰囲気でしたし,子供の体調変化をきっかけに黙って県外避難を決断された方も多いので,知らない方も相当数おられるのかもしれません。しかし,鼻血の話がデマだというのはとんでもない話です。本日は,福島から来て頂いたお母さん達に,それぞれが経験した事実を語って頂きますので,鼻血をはじめとする体調不良の話が真実であることを是非認識して頂きたいと思います。
 なお,福島第一原発事故の後,鼻血を出す人が増加していたことの証拠は,枚挙にいとまがありませんが,次のものを指摘しておきます。
   伊達市立保原小学校の保健便り(2011年7月) 1学期に鼻血を出す子が多かったことが記載されています。
   国会議員の質問
   平成24年3月14日参議院予算委員会 熊谷大議員(自民党)
平成24年3月22日参議院文教科学委員会 同
 いずれでもご県南の小学校の保健便りで鼻血が多いとされていることについて質問されています。
   平成24年4月25日参議院憲法審査会 山谷えり子議員(自民党)
 井戸川双葉町長(当時)が毎日鼻血が出ていると発言していることを真実であることを前提に質問されています。            
   平成24年6月14日参議院東日本大震災復興特別委員会 
森まさこ議員(自民党)
 子供が鼻血を出したという心配の声が寄せられていることを紹介されています。
   国会(平成2312月2日参議院東日本大震災復興特別委員会)での参考人宍戸隆子氏の陳述
 北海道に避難してきた人の間では,鼻血を訴えていたお子さんが非常に多かったと述べておられます。
   斧澤克乃医師(心療内科)の証言
 福島各地や東京近郊で健康相談を受けている同医師は,鼻血の訴えをよく聞いており,授業中に何人も鼻血を出すことがあること,滝のように出る鼻血が止まらなくて,耳鼻科で鼻の奥をレーザーで焼く手術を受けた生徒が何人かいたこと,同医師のお子様も大量の鼻血を出されたことを述べておられます。
   熊本学園大学社会福祉学部中地重晴教授の論文「水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染」大原社会問題研究所雑誌(特集 原発と社会運動/労働運動(2))
 2012年11月に,福島県双葉町,宮城県丸森町筆甫地区,滋賀県長浜市木之本町の3か所を調査対象地域とし,質問調査をした結果,双葉町,丸森町において,木之本町よりも有意に多かったのは,体がだるい,頭痛,めまい,目のかずみ,鼻血,吐気,疲れやすいなどの症状であり,鼻血に関して両地区とも高いオッズ比【丸森町で3.5,双葉町で3.8】を示したとのことが書かれています。
6     次に,鼻血の原因が被ばくであることはありえないという攻撃がなされています。しかし,医学的に議論の分かれる問題について,公権力が軽々にロを挟むべきではありません。福島第一原発事故による被ばくが原因で鼻血が出るはずがないと主張する学者がいることは承知していますが,他方で,被ばくが原因である,あるいは被ばくが原因でないとは言えないという医師や学者も多数おられます。例えば,西尾正道北海道がんセンター名誉院長はけ鼻血は低線量でも広範な粘膜が被ばくした場合は出ても不思議ではありません。私は放射線の影響だと答えています。」と述べておられます。放射能による健康被害については未だにわかっていないことが多いのです。歯科医院で口腔部や鼻腔部にX線を当てても鼻血は出ませんが,外部の放射性物質から発せられたX線やγ線が体内を通過する外部被ばくと放射性物質自体が鼻部の粘膜に付着し,β線が周囲の組織の細胞にダメージを与える内部被ばくとでは同列には論じられないでしょう。広島と長崎の被爆者が鼻血で苦しんだことは肥田舜太郎医師が述べておられます。雑誌「デイズジャパン」編集長の広河隆一氏は,チェルノブイリの原発事故後,周辺住民の5人に1人が鼻血を訴えていたことを明らかにしています。少なくとも,福島第一原発事故の直後から今まで経験したことのない態様の鼻血が多くみられたのですから,放射能のせいではないかと不安に思うのは普通の感覚ではないでしょうか。この市民の不安を頭からはねつけ,黙らせようとするのは何が目的なのでしょうか。
7     福島では,100ミリシーベルト以下の被ばくでは健康被害はない,福島第一原発事故によって放出された放射能では健康被害は生じないという宣伝が,行政の手によって,地域で,学校で徹底的になされてきました。その中で,住民がなお放射能に対する不安を表明することは大変な勇気を必要とします。学校給食の食材の問題,外遊びの問題等を親が学校や教育委員会に訴えても相手にしてもらえず,子供の体調不良の原因が放射能ではないかと医者に訴えても相手にしてもらえません。近所でもPTAでも,放射能に対する不安を口にすれば,風評被害を招き,復興の妨げになるとして,白い目で見られます。放射能に対する不安を訴える子供は教師に叱られます。家族の中でも意見が分かれます。放射能安全宣伝を信じることができない人たちは,わずかな信頼できる友人にしか本音を話すことができないという抑圧された生活を送っています。
8     福島第一原発事故後,住民の間で鼻血が多発したという多くの人が知っている事実を漫画に描いただけで,民間だけでなく,政府や公共団体からも激しくバッシングされるという今回のようなことがまかり通れば,福島の親たちは,放射能に対する不安だけでなぐ,現実に体験した事実を語ることすらできなくなります。福島の人たちは,原発事故に何の責任もない被害者です。今回の政府,福島県,双葉町等による美味しんぼに対する攻撃は,故郷を追われ,職業を無くし,地域コミュニティを奪われ,家族がバラバラにされ,健康不安を抱え,先の見えない生活に疲弊している福島の人たちを,更に抑圧し,将来に対する不安も,現実に起こづだ出来事すら口にできない。そういう状況に追い込もうとするものです。私たちは,これに断固抗議します。
9     そして,市民の皆様には,こんな異常な社会の出現を許していいのかと問いかけたいと思います。これは,福島だけの問題ではありません。復興の妨げになるという理由で放射能に対する不安を口にできないこの国は,兵隊さんの士気の妨げになるという理由で,戦争が負けるのではないかという不安を口にできなかった70年前のこの国とどう違うのでしょうか。これは,私たちがこの国をどんな国にしていくのかという1人1人に突きつけられた問題だと思います。
以上

【官邸前抗議行動】 
ふくしま集団疎開裁判の会」公式ブログから
今回の「美味しんぼ」問題は「福島の真実」に関する作者の「表現の自由」の抑圧にとどまらず、「福島の真実」を渇望する市民の「知る権利」を奪うという民主主義の根本を揺るがす由々しき問題です。
その一方、この言論抑圧により、苦しみの中で救済を求めている福島の多くの人々の「真実、そして真実と信ずる見解を表明する自由」が奪われ、何よりも第一に、社会の最も弱い立場にいる福島の子どもたちがもの言えぬまま「命と健康」という最も尊い人権が踏みにじられる結果になるという深刻な問題です。
私たちは、この事態を断じて認めることはできず、福島県に対する抗議文の送付をはじめとする抗議の声をあげました。
政府の過ちを最終的にただせるのは私たち市民の力です。
市民の力はつながることで発揮されます。
私たち市民がつながるために、抗議行動の賛同人になって下さい。

賛同人の申込は以下からお願いします。⇒ 

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