2014年5月29日木曜日

【論文】バンダジェフスキー「セシウムと心臓」第1章:子どもたちの心血管系


◇◇◆目次◆◇◇
環境要因の結果としての心血管病理
1
放射能汚染地に生きる子どもたちの心血管系の病変
検死解剖に診るゴメリ州住民の心筋構造の病変
137Csに内部被曝した実験動物の体内の構造・代謝病変
放射性セシウムが心臓におよぼす作用の病態生理特性
結論・略語リスト・原書目次・参照文献
出処:International solidarity CHERNOBYL
原文:Radioactive Cesium and the Heart: Pathophysiological AspectsPDF

放射性セシウムと心臓:
病理生理学的側面
医学博士、ユーリ・I・バンダジェスキー教授
by Professor Yuri I. Bandazhevsky, M.D.
論文原本出版:ミンスク、2001
ロシア語⇒英語・新訳:2013
Bandazhevsky Y. Radioactive cesium and the Heart: Pathophysiological Aspects.
"The Belrad Institute" 2001. - 64 pp. ISBN 985-434-080-5

1
放射能汚染地に生きる子どもたちの心血管系の病変
臨床研究の対象集団は次のとおりだった――
1.      ゴメリ(市内の137Cs土壌汚染=15 Ci/km2)の37歳児(227人)。
2.      ヴィクタ(137Cs土壌汚染=1540 Ci/km2)の68歳児(76人)。
3.      スビティオビチ村(137Cs土壌汚染=1540 Ci/km2)の716歳児(55人)。
4.      グロドノ市(137Cs土壌汚染<1 Ci/km2)の37歳児(104人)。
5.      ミンスク市(137Cs土壌汚染<1 Ci/km2)の1015歳児(50人)
6.      ジラビン市(137Cs土壌汚染<1 Ci/km2)の37歳児(118人)。
7.      ゴメリ市およびゴメリ州内の集落に継続的に居住し、ゴメリ州小児科病院で治療を受けていた生後14日~14か月の乳幼児とその母親たち(155組)。
8.      137Cs土壌汚染が115 Ci/km2の領域に常時居住し、消化管の慢性不調を患って、ゴメリ州小児科病院で治療を受けていた815歳児(211人)。
9.      ゴメリ医科大学に在籍していた年齢1820歳の学生(197人)。
これらの集団に属する子どもたち全員の心血管系の状態は、12導線標準心電計(ECG)検査法を用いて評価された。いくつかの事例では、代謝指標および酵素を含む血液化学の分析が実施された。子どもたちのセシウム137蓄積量は、ホールボディ・カウンターによる健康・放射線モニタリングを用いて決定された。
(編者注:ホールボディ・カウンターとは、放射能に汚染された人の体内から放出されるガンマ放射線を迅速かつ人体を冒さずに計測できるので、広く利用されている機器である。本研究では、ガンマ放射線は体重1 kgあたりベクレルの単位(Bq/kg)を用いて計数され、その1ベクレルは、1秒間に1原子の崩壊に等しいと定義される。ホールボディ計測(WBCs)は生きている患者にだけ実施され、解剖遺体には実施されなかった。WBCsは、安楽死および切開前のラット実験集団に対して、その体内放射線レベルを検査するために実施された。図9および図10を参照のこと。ホールボディ計測に用いられた機器は、ベラルーシのベルラド研究所による監修を受け、これについて、表1の下にある方法論コラムに記載されている。〔ベルラド研究所は研究そのものには参加していなかった〕)
研究結果は、統計分析に付された。これらの研究は、ECGの変化が全集団で高頻度に起こっていることを示し、それが子どもたちのホールボディ137Cs集積に対応しており、居住地域のセシウム137汚染レベルに相対していることを明らかにした(表1)。
(編者注:グロドノの子どもたちは、セシウム137による土壌汚染が1 Ci/km2未満であるにもかかわらず、WBCsの平均値が体重1 kgあたり29.74±0.67 Bqあった。これはおそらく、ベラルーシ国内でどれほど広範に汚染食品が出廻っているのかの指標になる)
1
さまざまな集団の子どもたちにおける
体内セシウム137集積に関連するECG変異の頻度
(編者注:ガンマ放射線のホールボディ計測による測定を全身体重1 kgあたりベクレル数で表示)
観察対象集団
ホールボディ
137Cs
Bq/kg
ECG変化の
頻度、%
1
ゴメリ(137Cs = 15 Ci/km2
3
7歳児(227人)
30.32±0.66
72.3%
2
 ヴィクタ(137Cs = 1540 Ci/km2
6
8歳児(76人)
82.50±7.32
86.8%
3
スビティオビチ(137Cs = 1540 Ci/km2
7
16歳児(55人)
91.20±7.68
94.4%
4
グラドノ(137Cs < 1 Ci/km2
37歳児(104人)
29.74±0.67
66.3%
5
ミンスク(137Cs < 1 Ci/km250人全員
ミンスク集団116人)
ミンスク集団234人)
14.00±1.46
0
20.50±0.75
64.0%
18.8%
85.0%
6
ジラビン(137Cs < 1 Ci/km2
37歳児(118人)
not determined
55.9%
7
生後14日~14か月の乳幼児
およびその母親たち(155組)
34.93±3.30
27.10±2.80
88.1%
 80.3%
8
消化・胃腸管に異常のある児童(211人)
19.70±0.90
84.9%
9
ゴメリ医科大学、
年齢1820歳の在籍生(197人)
25.98±2.04
48.7%


ゴメリ病理学研究所で用いた手法
セシウムはガンマおよびベータ両放射線の線源である。ベータ線はガンマ線以上に遺伝子情報および細胞構造に有害であるので、後者は人体内におけるセシウムの特定の動きを評価するのに用いられている。われわれはホールボディ計測のためにも、遺体解剖のさいにも、さまざまな臓器に蓄積したセシウム137量を測定するのに異なった機器を使用した。
独立系放射線防護機関であるベルラド研究所の移動チームによる測定の正確さは、機器の強制的な年次国家検査によって保証された。さらにまた、ドイツ=ベラルーシ共同プロジェクトの一環として、機器類の異種アイテム(ベルラド研究所のウクライナ製ホールボディ・カウンター“スクリーナー3M7台、ユーリッヒ研究所の移動ホールボディ計測車〔ドイツ製“キャンベラ・ファーストスキャンWBC”〕2台)の相互校正を実施して、正確さを保証することができた。発足時には、誤差限界が11%と高かったが、後には、それが7%を超えることはなくなった。5 Bq/kg以下の測定値は正確さが減じた。
遺体解剖時に検査した臓器など、試料中の特定の動きを実験室で計測するために、ベルラド研究所はゴメリ州医科大学にRug-92Mガンマ放射線自動計測器を提供した。計測時間は、100 Bq/kg以上になる試料の計測には1分間、50100 Bq/kgの計測には10分間とした。49 Bq/kg以下では、正確さが減じた。知見を検証するために、試料はフランスでダブルチェックも受けた。

セシウム137土壌汚染が15 Ci/km2を超過する地域では、80 Bq/kg以上のセシウム137蓄積が80%以上の子どもたちの心臓に電気生理学的な変化を発現させていた。
病理学的な過程はその性質により、不整脈および酸化還元感受信号経路における混乱を原因とする虚血性傷害の2範疇に区分できる。最も一般的に診られた不整脈は、心筋内の電気インパルスの伝導傷害(脚ブロック、房室閉鎖)に関連していた。大多数の集団において、広く観察された症状は不整脈であった(表2)。
2
被験集団の子どもたちにおけるECG変異の性質
集団名
不整脈
虚血性傷害
虚血性傷害
および不整脈
正常ECG
(被験者数)
%
(被験者数)
%
(被験者数)
%
(被験者数)
%
1
ゴメリ
113人)
49.76%
=51)
22.47%
-
63人)
27.75%
2
ヴィクタ
46人)
60.53%
20人)
26.32%
-
10人)
13.16%
3
スビティオビチ
32人)
58.18%
12人)
21.82%
8人)
14.55%
3人)
5.46%
4
グラドノ
41人)
39.42%
28人)
26.92%
-
35人)
33.65%
5
ミンスク
23人)
46.00%
5人)
10.00%
4人)
8.00%
18人)
36.00%
6
ジラビン
48人)
40.68%
18人)
15.25%
-
52人)
44.67%
7
乳幼児

母親たち
7人)
4.50%
18人)
29.02%
81人)
52.26%
7人)
11.29%
64人)
41.30%
31人)
50.00%
3人)
1.94%
6人)
9.68%
8
GT異常のある
児童
149人)
70.62%
30人)
14.22%
-
32人)
15.68%
9
学生
88人)
40.36%
8人)
8.33%
-
111人)
51.3%

子どもたちのホールボディ137Cs取り込み量の程度に応じて、各集団を5下位集団に区分した(表3)。
3
セシウム137取り込みレベル別、ECG変異の頻度
集団
子どもたちの137Cs汚染、Bq/kg
(編者注:ホールボディ計測による測定)
0 Bq/kg
1125.9 Bq/kg
2636.9 Bq/kg
3774 Bq/kg
>74 Bq/kg
1
ゴメリ
-
62.8%
77.6%
80.7%
-
2
ヴィクタ
-
-
82.4%
92.3%
87.9%
3
スビティオビチ
-
-
100%
92.3%
96.0%
4
グラドノ
-
62.5%
65.5%
78.6%
-
5
ミンスク
18.8%
83.8%
100%
-
-

検査によって、ECG変異の頻度がセシウム137取り込み量に正比例することが明らかになった。
この相関関係は(ゴメリ州の)第1集団に最も明確に見受けられ、その原因は主として心室内伝導の異常である。
1:ゴメリ州の子どもたちの体内に蓄積した放射性セシウムの作用によるECG変異の頻度。
2:ゴメリ州の子どもたちの体内に蓄積した放射性セシウムの作用による心臓の状態の不調が現れる頻度。
ミンスクの子どもたちの場合、他の集団では体内137Cs蓄積量が11 Bq/kg以下に落ちることがなかったのに対して、被験者50人のうちの16人(32%)にセシウム137が不存在だったことに注目すべきである。体内137Cs蓄積のない子どもたちの場合、その19%にECG変異が起こっており、それらの変化は右脚ブロッグが代表例であった。体内137Cs蓄積量とECG異常の頻度だけを変数として考慮に入れるとすれば、体内137Cs蓄積量が最小である子どもたちがECG変異の最小パーセンテージを示すと確定できることになる。(編者注:セシウム137蓄積量が増大すると、正常なECGを示す子どもたちのパーセンテージは対数割合で急速に減少する。全身の137Cs量が平均5 Bq/kgである子どもたちの正常なECGの割合が80%超であるのに対して、全身の137Cs量が平均11 Bq/kgである子どもたちの正常なECGの割合は40%未満になる)(図3
3:体内放射性セシウム蓄積量とECG変異のない子どもたちの人数の比率
全身の平均137Cs蓄積量が100 Bq/kgあるスビティオビチ村の子どもたちは、心臓の痛み、脆弱な心音、聴診時の収縮期雑音といった心不全の重要な臨床徴候を示していた。同じECGにおける不整脈と虚血性傷害の併存は、注目される。この事例の137Cs蓄積レベルが、不整脈(蓄積量84.61 ± 9.29 Bq/kg, p <0.05)または虚血性傷害(蓄積量165.10 ± 8.47 Bq/kg)のどちらかが単独に存在する場合よりも相当に高いことは、周知されている。
137Cs蓄積は、乳幼児とその母親たちにおいても記録されている(表1)。ECG変異は乳幼児の98.1%、母親の90.3パーセントに検出され、これらの変異の内容は主として心筋の代謝異常および不整脈である。子どもたちの場合、代謝的な心筋疾患は88.4%の割合になる(47.1%は単独、41.3%は心室内の状態の不全と併合)。主として不完全な右脚ブロッグとして現れる伝導不調は、乳幼児の45.8%に診られた。正常なECGが記録されたのは、3人(1.9%)の子どもたちだけだった。
母親たちのECG変異の内容に、やはり代謝異常と不整脈(自動能と伝導の障害)が含まれていた。被験乳幼児の83.2%に、低カルシウム血症が診られた。子どもたちの39.5%がアラニンアミノ基転移酵素の働きの亢進を示し、74.6%がアスパラギン酸アミノ基転移酵素の増加を示しており、肝臓および心臓の代謝過程の疾患を示唆していた。
研究によって、セシウム137の作用に対する母体と胎児の感受性が高いことが示された。この場合、比較的に少量のセシウム137が母体と胎児の双方の心血管系の傷害を引き起こし、胎児の正常な発達を妨げることになる。
56日間、「ベロソーブ2」ブランド腸吸着剤をこれらの子どもたちに投与したところ、(基準レベル:34.93 ± 3.30 Bq/kgから)25.43 ± 2.54 Bq/kgまでの137Cs低減と心筋の代謝不調の症例数の削減につながった。
137Cs常時体内取り込みという条件のもとに生き、腸管の慢性不調を患う子どもたちに対するECG研究は、84.9%という心臓病の高頻度を示した。
(編者注:「常時取り込み」が発生した――そして、いまだに発生している――のは、「低線量」137Csで汚染された食品の日常的な摂取を通じてだった。セシウム137で汚染された生態系のなかで収穫された食品はほとんどすべてセシウム137を含むことになる。乳製品と食肉はさらに大量の水溶性137Csを含むことになり、それは生物蓄積し、植物連鎖の上位レベルに移動するにつれて、生物濃縮することになる。マッシュルームやベリー類など、カリウムの自然含有量の多い食品のどれもがまた、高濃度のセシウム137を生物蓄積しがちである)
最も頻繁に報告されているものに、心筋の代謝異常(54.5%)があり、これが自動的に洞結節障害(36.0%)へと、また不完全右脚ブロック(32.7%)の形態の伝導障害へと悪化する。137Cs蓄積レベルが20 Bq/kgを超えている子どもたちの場合、それより低い蓄積量の子どもたちの自動能の不調が21.0%診られるのに対して、事例数の73.3%で現れることを記しておくべきである。代謝異常は137Cs蓄積が高レベルの場合の66.6%、低レベルの場合の42.1%で見つかっている。正常なECGは高レベル137Cs蓄積で6.7%、低レベル137Cs蓄積で19.3%が記録されている。同時にまた。20 Bq/kgより高い蓄積レベルの子どもたちの場合、83.8%に交感神経系の活動亢進が注目され、その一方、20 Bq/kgより低レベルの場合、子どもたちの50.8%にそれが現れた。
このように、放射性核種に汚染された地域に生き、消化管の慢性病理を患う子どもたちの場合、自律神経系制御の適応性や代償機構はストレスにさらされている。このことは、交感神経系の亢進が体内の137Cr量に直接相関して優勢になることに反映されている。血清中のコルチゾール・レベルが上昇し、サイロキシン・レベルが低下する(表4)。自律神経系の機能障害の症状は臨床的に、神経循環ジストニアおよび胆管ジスキネジアとして発現し、その頻度もやはり体内の137Cs量と相関する。これらの症状は、137蓄積レベルが20 Bq/kgより高い子どもたちの93.3%に現れ、137蓄積レベルが20 Bq/kgより低い子どもたちの68.8%に現れる。
4
さまざまな交感神経系反応性を現す子どもたちの
血清中コルチゾールおよびサイロキシンのレベル
交感神経系の反応性の病変
正常 48
亢進 47
不活発 28
コルチゾール mmol/l
622.49+42.10
771.19+50.67*
706.16+89.29
フリー・サイロキシン mmol/l
13.40+0,49
12.21+0.29*
12.90+0.31
*- p <0.05  
(訳注:mmol/l10-3 mol/lモル濃度を表す)
ゴメリ市で生活し、平均ホールボディ137Cs蓄積量が24.5 Bq/kgである1820歳の場合、ECG変異は被験者数の48.7%で現れた。彼らは大部分が不整脈を患っており、基本的に心室内伝導傷害になっていて、その総数は全ECG変異症例数の56.3%になる。
学生たち7人(7.3%)の左心室に早期再分極症候群が見つかったことは注目に値する。この症候は事前の頻脈性不整脈もなしに心室細動を誘発しかねず、突然死の原因になる。彼ら若い人たちのサイロキシンのレベルは13.44 ± 0.01 mmol/lに上昇していた(対照群は、11.35 ± 0.26 mmol/l, p <0.05)。この点に関して、サイロキシンがミトコンドリア複合体およびイオン・バランスを調整するエネルギー系におよぼす作用を介して、心筋細胞機能の不調に関与しているのはありうることである。ECGに不整脈症状が示されている人たちの甲状腺刺激ホルモントリヨードサイロニン、サイロキシン、コルチゾールの血中濃度は、対照群との有意な差がなかった。
研究によって、セシウム137汚染地域に生きる子どもたちと非汚染地域に生きる子どもたちとの両集団の双方に、(被験者総数の50%を超える)高頻度のECG変異が見受けられることが示された。子どもたちのセシウム137取り込みレベルは居住地域の汚染レベルと相関している。
しかしながら、対照群地域(グラドノおよびミンスク)においても、子どもたちのホールボディ137Cs蓄積が有意である事例があった(編者注:これは汚染食品の広域流通を反映していたのかもしれない)。居住地が汚染されているか否かの違いに関係なく、異なったホールボディ137Cr蓄積量に応じたECG変異発現の頻度は、ECG変異のホールボディ137Cr蓄積レベルに対する線形従属関係を明らかにしている。137Cr蓄積レベルが低くとも――10 Bq/kgを超えるなら――上記の不調を高頻度に発現しうるし、その一方、それが不在なら、不調の発現はほとんどありえない。
137Cr取り込み量が150 Bq/kgを超える子どもたちの心血管系の状態に、特段の注意を払うべきある。成長期児童の心筋における代謝異常が心電刺激伝導系不調と併発するのは、137Crの長期にわたる慢性的な作用の結果であり、不吉な予後徴候を示唆している。心筋の137Cr取り込みが他の臓器や系以上に集中的である8と想起すれば、心筋組織中の137Crがなにを意味するか、思い描くことができる(ラットの場合、心臓の137Cr濃度は骨格筋のそれよりも10倍、またはそれ以上に高い)。137Cr濃度が100 Bq/kg以上である場合のECGに完璧な(100%の)病理徴候が現れたあと、心臓病の臨床徴候と症状が発現しても、驚くことはない。
研究によって、ECG変異とさまざまな年齢の子どもたちに取り込まれた137Crの量との関連もまた示された。ECG変異と137Cr濃度との線形関係を考え、137Crの半減期が長いので、化学的な元素としての存在も長引き、その体内蓄積の放射線作用は小さいと考えれば、心筋に作用するのに、放射線はそれほどでもなく、大部分はその化学的毒性効果であると仮定することができる。さらにまた、エネルギー・システムとイオン移動の不調と代謝異常が相互連関しながら起こり、栄養失調および類壊死症の進行を誘発する。この仮説によって、われわれは人体に長寿命の放射性核種がおよぼす影響の問題を他の観点から考察することができるようになる。このことは、それらの核種の生命体システムや臓器、とりわけ心血管系に対する有害な作用のメカニズムを理解するうえで、重要である。得られた結果によって、慢性的に長引く137Cr被曝状況にあって、成長期にある子どもたちの心血管系が最も傷つきやすいことが示唆されている。このことから当然、予防手段とリハビリテーション措置と併せて、適切な医療の開発が不可欠であることは決定的である

◇◇◆目次◆◇◇
環境要因の結果としての心血管病理
1
放射能汚染地に生きる子どもたちの心血管系の病変
検死解剖に診るゴメリ州住民の心筋構造の病変
137Csに内部被曝した実験動物の体内の構造・代謝病変
放射性セシウムが心臓におよぼす作用の病態生理特性
結論・略語リスト・原書目次・参照文献
出処:International solidarity CHERNOBYL
原文:Radioactive Cesium and the Heart: Pathophysiological AspectsPDF
              http://chernobyl-today.org/images/stories/radiocesi_i_serdce_march_6__2013.pdf

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