2016年1月28日木曜日

鈴木眞一氏【臨床腫瘍学誌】福島における小児および未成年者の甲状腺癌~その5年後(概要)


Clinical Oncology 臨床腫瘍学誌
 

Article in Press
 
福島第一原子力発電所事故後の福島における小児および未成年者の甲状腺癌~その5年後
鈴木眞一 S. Suzuki
福島県立医科大学・甲状腺内分泌学講座


オンライン公開:2016125日 受付・受理:20151229

概要

福島第一原子力発電所の事故は2011311日の東日本大地震のあとに発生し、大量の放射性物質を大気中に放出した。健康に対する放射能被曝の影響に関して問題にする声があげられ、甲状腺癌を発症する可能性について、福島県民の不安を募らせることになった。そこで、甲状腺超音波検査が放射線量の最も高い地域の出身者から始められ、長期にわたり継続されることになった。2011109日から2114331日にかけて、災害時に18歳以下だった総計300,476名の被験者が一斉検査で受診した。受診率は、この年代層で、なおかつ影響を受ける地域の該当者総数の81.7%だった。そのうち、A1(結節や嚢胞を認めなかった場合)、A2(結節≦直径5 mmまたは嚢胞≦20 mm)、B(結節>5 mmまたは嚢胞>20 mm)、C(直ちに二次検査を要する場合)の各範疇に相当すると判定された被験者の割合は、それぞれ51.547.80.80%だった。BC判定の被験者2,294名が確認検査を受診するように勧められた。その後、穿刺吸引細胞診の結果、113名の受診者が悪性腫瘍またはその疑い症例と診断された。本格検査(二巡目検査)は20144月に始められ、2015630日に完了しており、受診者数は169,455名(受診率:44.7%)だった。A1A2BC各範疇に相当と判定された割合は、それぞれ41.657.60.8%、0%(該当者なし)だった。B判定の被験者1,223名が確認検査を受診するように勧められ、その後、穿刺吸引細胞診の結果、そのうちの25名の受診者が悪性腫瘍またはその疑い症例と診断された。これまでのところ、この検査で認められた甲状腺癌は、放射線被曝が原因であるとは考えられず、高度に洗練された超音波技術を使った一斉検査の結果であると考えたほうが妥当であるようだ。しかしながら、小児および未成年者の甲状腺癌のリスクが放射線被曝によって上昇するか否かを判断するためには、一斉検査を長期にわたって継続することが望まれる。

Key words:

【クレジット】

Clinical ONCOLOGY, the abstract; “Childhood and Adolescent Thyroid Cancer in Fukushima after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: 5 Years On,” by S. Suzuki, published on January 25, 2016 at;

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