2016年1月19日火曜日

悠久の☢廃棄物コストvs近年の経済事情…【世界原子力ニュース】フランス核廃棄物処分場経費の見積もり決定

世界原子力ニュース






フランスの核廃棄物処分場
エネルギー省が基準経費を決定

2016118

フランスのエネルギー大臣、セゴレーヌ・ロワイヤル氏は、高レベルおよび中レベル放射性廃棄物を処分する国立保管施設の「参考経費」を250億ユーロ(約32000億円)と定める省令に署名した。プロジェクトの当事者らは以前、経費を200億ユーロないし390億ユーロと見積もっていた。

フランスは、パリから東のムーズ、オートマルヌ県境ビュール近郊の天然粘土層に産業地中貯蔵センター(Centre Industriel de Stockage Géologique, Cigéo)処分場――廃棄処分地下トンネル・システム――の建造計画を立てている。施設の資金は放射性廃棄物の発生者――フランス電力庁(EDF)、アレヴァ、フランス代替エネルギーズ、原子力委員会(CEA)――が拠出し、管理は放射性廃棄物管理機関(ANDRA)に委ねられる。

ANDRAは施設の経費を2005年時点で135億ないし165億ユーロ(約17000億ないし21000億円)と見積もっていた。しかしながら、2009年になって、経費を見直し、360億ユーロ(46000億円)内外と改めて見積もった。

ANDRA201410月、エコロジー・持続可能開発・エネルギー省に提出した機密――最近になって情報開示――ファイルによれば、同機関は2012年の物価にもとづいて、Cigéo経費見積もりを344億ユーロに見直していた。その内訳は、施設建造費が198億ユーロ、100年間の運営コストが88億ユーロ、租税公課が41億ユーロ、雑費が17億ユーロである。

しかしながら、EDF、アレヴァ、CEAは、Cigéo経費は200億ないし300億ユーロになるだろうとして譲らなかった。その一方、ANDRAは実際には経費を過小に見積もっているとフランス原子力安全局(Autorité De Sûreté Nucléaire, ASN)が示唆する始末だった。

フランスのエネルギー省は今になって、20111231日現在の経済状況にもとづき、施設の「参考経費」を250億ユーロに抑えこんだのである。省令は、プロジェクトの経費を定期的に、また少なくとも開発の節目ごとに見直すこととも謳っている。

フランス電力庁(EDF)は、新たな250億ユーロの参考経費が「EDFグループが201412月末および20156月末の連結財務諸表の根拠とした基準経費見積もりに替わることになります」と言明した。

「したがって、この経費を会計に組み入れることによって、2015年末のEDFグループ連結決算から、Cigéo地下深層保管プロジェクトに関連する将来の支出に備えた長期放射性廃棄物引当金が約8億ユーロ増額される結果になります。引当金の増額によって、グループの2015年税引き後純利益が5億ユーロ程度の減額になる悪影響をこうむるでしょう」と、同庁は指摘した。

アレヴァは、「弊社はこの経費見直しを2015年の財務諸表に反映させ、既存の引当金の決定に用いた計算方法にもとづき、ほぼ25000万ユーロの補正引当金を組むことになります」と発表した。

ANDRAは、Cigéo地下貯蔵所に関する安全性・回収可能性オプション(選択肢)報告を年内中にASNに提出する予定になっている。詳細設計調査は今後2年間かけて実施されると予想されている。

Cigéo建造申請書は2017年に規制当局に提出されるはずであり、建造そのものは2020年に着工される。廃棄作業の試験段階は2025年にスタートする。

【クレジット】

“Minister sets benchmark cost for French repository,” researched and written by World Nuclear News, and posted on 18 January 2016 at; http://www.world-nuclear-news.org/WR-Minister-sets-benchmark-cost-for-French-repository-1801165.html.

【ウィキペディア】

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