2015年7月23日木曜日

アーニー・ガンダーセン @fairewinds 「福島第一原発の廃炉~地獄の沙汰も金次第」



福島第一原発の廃炉~地獄の沙汰も金次第

2015616


福島第一原発のメルトダウンは収束したのでしょうか? 答えは否です。主任エンジニアで核専門家、アーニー・ガンダーセンはフェアーウィンズの最新ビデオで、福島第一原発の核メルトダウン現場で起こっている事態について、最新情報を閲覧者のみなさんにお伝えします。日本政府と原発所有企業である東京電力株式会社がこの人災現場の迅速な解体・撤去を謳っているいま、報道機関と科学者たちは、「日本政府と東京電力が、福島第一原発は今後30年間で解体され、撤去されるだろうと主張しているのに、ウクライナ政府がチェルノブイリを解体する企てに着手するまで少なくとも100年も待っているのは、なぜなのか?」と問う必要があります。
あまりにも多くの大きな政府+大企業論争と同様、その答えは科学とまったく関係なく、すべては政治とお金にかかわっています。福島第一原発を理解するには、報道機関はお金の流れを追いかける必要があります。
トランスクリプト
00:15
フェアーウィンズ・エネルギー教育のアーニー・ガンダーセンです。

毎週のように電話やEメールで次のような質問が寄せられています――
  • 福島第一原発のメルトダウンは収束したのか?
  • 問題は解決したのか?
  • まだ心配すべきなのか?
答えは、この破局的惨事は収束していませんし、問題は解決せず、もちろんのこと、心配しつづけているべきということです。
00:42
理由をお話しましょう。
福島第一原発の核反応炉3基の炉心が地下水とじかに接触しています。原発の設計者や技術者らは、このような事態の可能性を予測していませんでした。
核反応炉が完全に停止することは、ありえません。ウラニウムが分裂して、エネルギーを放出したあと、残された放射性の断片は、5年間ばかり物理的に熱いままです。地震と津波がフクシマの冷却システムを破壊したとき、通常は宙吊りになっている燃料棒に収納された核燃料ペレットが溶け落ち、20センチ厚の核反応炉の底に堆積しました。すると、反応炉の鋼鉄もやはり溶け、いわゆるメルト・スルーが起こって、熱い核炉心が格納容器の120センチ厚コンクリート製の床に拡がりました。福島第一原発の123号機は内部の熱と放射線で破壊され、穴や亀裂ができたのです。

01:56
核燃料はコンクリートも溶かして、貫通したのでしょうか?
福島第一原発の収納容器が穴だらけであることは確かにわかっており、地下水が流れこんで、各炉の炉心にじかに接触しています。核燃料がコンクリートを溶かして、貫通したか否かは、環境やフクシマの住民にとって問題ではありません。
02:20
残念なことに、この地下水は1日あたり少なくとも300トンの割合で流れこみ、流れだしています。この数値の全体像を見てみましょう。
1.      これはタンクローリーの画像です。

2.      1台のタンクローリーは20,000リットルの水を運び、その重さは20トンになります。
3.      毎日、15台のタンクローリーが放射能汚染水を満杯にして走っているのを想像すれば、300トンの放射能汚染水がどれほど大量であるか、理解できるでしょう。
4.      さて、福島第一原発の悲惨な三重メルトダウンから1,500日以上が経過していることを考え、毎日15台のタンクローリーにその日数を掛け算してみましょう。すると、23,000台のタンクローリーを満載にした放射能汚染水がすでに太平洋に漏出したことがわかります。
5.      なお悪いことに、これがいつ終わるのか、さっぱりわかりません。
03:21
フェアーウィンズはフクシマ核惨事につづく1か月間、深刻な地下水の汚染を防ぐため、東京電力が地下水の敷地内流入を止めることが不可欠であるといっていました。
1.      水があふれている風呂桶を思い描いてみましょう。

2.      東京電力はこれまでの4年間、水の敷地内流入を止める代わりに、あふれる水を回収するために風呂桶を追加しつづけてきただけです。

3.      真の解決法として、蛇口を閉めろ! 地下水の流れを止めるのです。
4.      フェアーウィンズが予想した通り、氷結壁は完全な失敗です。
5.      世界中の地下水専門家が何度もフェアーウィンズに連絡してきて、福島第一原発に流入する地下水を止める、彼らの実証ずみの方法や技術について検討しましたが、東京電力と日本政府はこれらのテクノロジー専門家を無視したままです。
6.      地下水を止める方法はあります。東京電力は耳を傾けようとしないのです。
04:35
閲覧者のみなさんはフェアーウィンズに、ウクライナのチェルノブイリのメルトダウンと日本の福島第一原発の三重メルトダウンとの違いについて、いつも質問しています。たったいまの大きな違いは、チェルノブイリの核炉心が地下水に接触していない点にあります。これは、チェルノブイリ惨事から1年後、1987年に撮影された炉心の画像です。象の足と呼ばれています。

ほとんど30年たった今でさえ、象の足の形をした溶融炉心がある部屋に人間が入ると、だれでも8分で死んでしまうでしょう。
05:14
福島第一原発はチェルノブイリと違って、3の溶融核炉心がどこにあるか、だれにもわかりません。わかっているのは、3つの炉心が地下水とじかに接触していることです。地下水が丘の斜面から流れ下り、現場に浸透すると、放射能で汚染されます。そして、その放射能汚染水は動きを止めず、反応炉から周辺区域へと流れ出て、海へと移動をつづけるあいだに、それが接触する地層と他の水をひどく汚染します。福島第一原発の極めて高濃度の放射能汚染水が移動しつづけているために、チェルノブイリに比べて浄化が100倍も複雑になり、経費が100倍も高上りになっています。チェルノブイリ現場の浄化の場合、立ち入り禁止区域で野火が発生しつづけ、大量の放射能が環境に再放出されている分を加算せずに、コストが現在までに30億ドル以上かかっています。フクシマの場合、5000億ドルになるでしょう。
06:22
福島第一原発では今日までに、タンクローリー23,000台分に相等する放射能汚染水が太平洋に漏出しただけではなく、いま核施設の下の土壌もまた高濃度に放射能で汚染されています。放射能汚染が拡大しているため、少なくともトラック25万台相当の放射能汚染土の除去が必要になるでしょう。地球上のどの土地の住民がその廃棄物を受入れてもいいと言い、250,000年は必要であるのに、収納しておけるものでしょうか?

07:00
報道機関と科学者たちは、「日本政府と東京電力が、福島第一原発は今後30年間で解体され、撤去されるだろうと主張しているのに、ウクライナ政府がチェルノブイリを解体する企てに着手するまで少なくとも100年も待っているのは、なぜなのか?」と問う必要があります。
率直にいって、その答えは科学とまったく関係なく、すべては政治とお金にかかわっています。福島第一原発を理解するには、報道機関はお金の流れを追いかける必要があります。
07:33
福島第一原発が三重メルトダウンを起こす前、日本の核産業は54基の核反応炉を稼働させていました。いまはすべて停止しています。
しかしながら、これまで4年間、停止している日本の核反応炉は、その間、電力を生産していないのに、すべてエンジニア、運転員、その他の総員を抱えたままです。なぜでしょう? 停止中の核反応炉50基のそれぞれにいる約700人の従業員に支払うお金は、どこから来るのでしょう?
その答えとして、日本の電力会社はこれまでの4年間、核反応炉の従業員に支払うため、日本の銀行から数百億ドルもの金を借りたのです。
日本の銀行がこの巨額に達する現金支出を回収する唯一の方途は、停止中の核施設の再稼働です。わたしが日本国内で連絡できる人たちは、銀行が日本の国会に対して核反応炉を再稼働させよと途方もない圧力をかけており、それによって投資の見返りを確保しようとしているといつもいっています。
08:50
世論調査によれば、日本国民の大多数が日本の核反応炉の再稼働に反対しています。東京電力と日本政府の両者とも、これら古い核反応炉を再稼働しても、地震断層地帯や津波のリスクを抱える沿海域であってもクリーンで安全にできると、もはや原子力発電所を欲しがっていない日本国民に安心させるために、放射能汚染の観点から実現可能とすら見通せないうちから、福島第一原発の現場の解体・撤去を鳴り物入りで見せようとしています。
09:28
日本国民が知っておくべき事実とは、なんでしょう?
1.      福島第一原発を30年間で解体し、浄化するのは不可能です。浄化するには、100年以上かかるでしょう。
2.      地下水の流れが抑制されていないので、福島第一原発の放射性セシウム、ストロンチウム、プルトニウムは数十年間にわたり太平洋に流出しつづけるでしょう。
3.      少なくともダンプカー25万台分の放射性廃棄物を、日本のどこか、遮蔽され、封印された区域で処理し、日本の新しい地域の放射能汚染を防がなければならないでしょう。
4.      高度に放射能汚染された現場の廃炉、取り壊し、撤去作業に関与する数千人もの若い人たちは、膨大な量の放射線に被曝するでしょう。
5.      福島第一原発の三重メルトダウンにかかわる浄化コストは、2500億ドルに迫るでしょう。
6.      最後に、三重メルトダウンをこうむった核炉心は、最終的に撤去できたとしても、また安全を確保し、撤去することが可能であるとしても、それを保管する場所は日本にありませんし、世界にもありません。核産業はこのような破局的事態が起こりうるとも、起こるだろうとも信じたことすらないので、これは、世界の技術者が想像すらしなかった技術的超絶技なのです。
11:05
わたしは、福島第一原発の浄化作業が現実にどれほど環境に有害であり、天文学的に費用がかかることを知らされさえすれば、日本のみなさんが日本の古い反応炉の再稼働に同意しないと信じています。
世界はなにを見ているのでしょう? 世界は、日本政府と世界の核産業が相変わらず原子力を推進しており、その一方、そのような問題に関する議論を許さない政府の秘密保護法による現実的な脅迫と抑圧のため、日本の報道機関は沈黙のうちに傍観しています。この原子力の破局的事故の真の人的・財務的・環境的コストは公表されず、議論されていません。
フェアーウィンズ・エネルギー教育のアーニー・ガンダーセンでした。これからも情報をお伝えしつづけます。


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