2015年7月28日火曜日

神戸新聞記事が暴く福島県立医大「福島原発事故は子どもの甲状腺癌無関係」の真っ赤なウソ





2015/7/25 07:02

福島原発事故「がん無関係」に反論 神戸の医師が論考発表


郷地秀夫所長
 原爆被爆者の治療に長年携わる東神戸診療所(神戸市中央区)の郷地(ごうち)秀夫所長が、東京電力福島第1原発事故と甲状腺がんの因果関係は「現時点では考えにくい」とする国の姿勢に対し、「不都合な5つの事実」と題した論考を25日、福岡県久留米市で開かれる日本社会医学会で発表する。
 福島県民健康調査によると、検査対象となる事故当時18歳以下の約38万5千人のうち、今年3月までに103人の甲状腺がんが確定している。福島県の検討委は「現時点で事故の影響は考えにくい」とし、国も追認している。
 郷地所長は、事故の影響は考えにくいとする国側の根拠を(1)放射線汚染度の異なる福島県内の4地域で甲状腺がんの発生率が変わらない(2)チェルノブイリの甲状腺がんは4歳以下に多発したが、福島で5歳以下はいない(3)福島の子どもの等価被ばく線量は10~30ミリシーベルトと低い-など五つに整理した。
 その上で、国側の主張と矛盾する複数の研究報告を検討。その結果、(1)甲状腺がんの発生率を、県が比較した「避難区域」「浜通り」「中通り」「会津地方」の4地域から市町村別に変えると、福島県の西側3分の1では発生がないなど、明らかに差異がある(図)(2)国連科学委員会の報告では、チェルノブイリ事故で4歳以下の甲状腺がんが多発したのは5年目以降(3)国の測定方法は、本来個人のリスク評価には使わない方法を採用しており、不確実性が高い-など五つの根拠すべてに疑問を投げ掛けている。
 郷地所長は「福島原発事故は日本人初の経験。先入観や政治的影響を受けず、白紙から研究していくのが科学的姿勢だ」と指摘している。(木村信行)


(本稿は公益・教育目的のための転載記事)
第56回 日本社会医学会総会
総会プログラム  (久留米大学医学部 教育1号館) 
第1日目 7月25日(土)午後
セッション B-2
15:00~16:00
座 長 星 旦二(首都大学東京 都市環境学部 大学院・都市システム科学専攻)

B-2-1
被爆体験者に生じた、原爆被爆急性症状をはじめとする健康被害の実態
松延栄治、菅 政和(長崎県民主医療機関連合会)


B-2-2
福島・甲状腺癌の放射線無関係論に不都合な5つの事実の考察
郷地秀夫(兵庫民医連・東神戸診療所)
橘 真矢(兵庫民医連・東神戸病院・放射線科)


B-2-3
玄海原発と白血病の関連の検討
○森永 徹(元純真短期大学・健康科学)


B-2-4
原発事故の避難指示解除に伴う帰還者と「新たな自主避難者」の課題
岩垣穂大(早稲田大・社会医学)辻内琢也(早稲田大・医療人類学)
小牧久美子(早稲田大・医療人類学)福田千加子(早稲田大・生命倫理学)
赤野大和(早稲田大・医療 人類学)持田隆平(早稲田大・発達行動学)
石川則子(早稲田大・環境心理学)桂川泰 典(早稲田大・臨床心理学)
増田和高(鹿児島国際大・社会福祉学)根ヶ山光一(早稲田大・発達行動学)小島隆也(早稲田大・環境心理学)熊野宏昭(早稲田大・行動医学)
扇原 淳(早稲田大・社会医学)
放射線医学県民健康管理センター



Q
A
今回の福島の原発事故は、よくチェルノブイリの原発事故と比較されますが、放出された放射線量はかなり少ない(およそ7分の1)とされています。
また、実際の甲状腺被ばく線量はチェルノブイリと比較し、極めて低いと見られています。これは、福島県では、放射性ヨウ素の影響が考えられる食物等の出荷規制や摂取制限が早い段階で実施され、甲状腺の内部被ばくが低く抑えられたため、と考えられています。また原発周辺の線量の高い地域から速やかに避難がなされたことも内部被ばくが低く抑えられた要因です。
甲状腺は体の表面に近いところにありますので、外部被ばくの影響を受けやすいと言われていますが、広島、長崎の原爆被害者や小児期に頸部へ放射線を照射する治療の経験がある方の場合には、現在の福島で知られているような外部被ばく線量よりもかなり高い線量で甲状腺がんの発症増加を認めているようです。一方、チェルノブイリでは、放射性ヨウ素汚染ミルクによる内部被ばくによって小児甲状腺がんが増加したといわれています。福島県でも現在知られている外部被ばくの線量では甲状腺に健康被害を及ぼすとは考えにくい状況ですが、放射性ヨウ素の内部被ばくについてはすべての個人について正確に分かっているわけではありませんので、被ばく線量からだけでは甲状腺がん発症のリスクは否定できません。
しかし、福島県での甲状腺がんの発生は被ばくリスクが高いといわれる年齢の低い方の発症が少ないことや、「県民健康調査」の基本調査の結果から、空間線量がやや異なっているにもかかわらず、浜通り、中通り、会津間の甲状腺がんの割合に地域差があまり見られていないなどの理由から、現時点においては、放射線による甲状腺の健康被害とは考えにくい、としております

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