FAIREWINDS ENERGY EDUCATION |
DEMYSTIFYING NUCLEAR POWER |
東京2020年オリンピック:
アーニー・ガンダーセンが答えるQ&A
アーニー・ガンダーセンが答えるQ&A
掲載日:2013年9月12日
――サマンサ・ドナルズ、フェアウィンズ役員
土曜日(9月7日)、東京が2020年オリンピック夏季大会開催を勝ち取ったと発表されたのを受けて、わたしたちは、東京の放射能レベルに関する古いビデオをFacebookに掲載すれば、タイムリーだと考えました――
ビデオ「東京の土壌サンプルは、アメリカでは放射性廃棄物」は、当初、フェアウィンズによる2012年2月の日本旅行のあとに掲載されたものです。オリンピック開催地決定の発表を受けて、月曜日(9月9日)にこのビデオをFacebookに再掲したところ、視聴者は1万人を超え、シェアする人も200人に達し、わたしたちのFacebookページ上で、(みごとな“視力20-20*”ジョークもいくつかありましたが)、有意義な議論を巻き起こしましたし、上質な質問もいくつか寄せられました。わたしは、フェアウィンズの主任エンジニア、アーニー・ガンダーセンと座り込み、この数日間、わたしたちの閲覧者たちとフォロワーのみなさんから寄せられた問題や質問について議論しました。その結果、土曜日のオリンピック委員会発表がフクシマ第1についての会話を公的に変えてしまったことがわたしたちに明確になりました。
* “20-20 vision”=正常視力の、洞察力がある
Q: フクシマ第1の三重メルトダウンは2011年のことであり、あなたの東京の土壌サンプルは2012年のものです。東京地域はいまも安全でない、2020年になっても安全にならないとお考えですか?
A: わたし、その他の科学者たちにとって、2011年のフクシマ第1事故につづく数か月間、東京や日本中の人びとが高レベル放射線量の被曝をしたことは水晶のように明白です。満1年後のデータは、わたしたちの2012年ビデオで見るように、あの放射能の多くが東京全域の予想もつかなかった場所に降り注ぎ、残留していたことを明確に示していました。時とともに、放射能は雨水によって直接、東京湾へと運ばれました。じっさい、東京湾の放射能レベルは上昇しつづけています。日本のエア・フィルターを検査したデータは、バックグラウンド・レベルを優に超える追加的な放射能がいまだ空気中に残留していることを示していますが、7年間のうちに状況がどうなるかは、明確でありません。
Q: 2020年オリンピックを日本で開催するという、この決定は、フクシマ第1の浄化にとって、また日本にとってよいことなのでしょうか? 現状では、日本政府はフクシマの放射能のリスクを軽んじてきましたし、浄化をまともな真剣さでは受け止めてきませんでした。日本が国際的なイベントを近い将来に開催することになった今、日本の政治家たちが浄化を真剣に受け止めるようになるとお考えでしょうか?
A: わたしの考えでは、2020年のオリンピック開催は、話の種を変えたい日本人の企てです。わたしは、2020年が近くなるまで世界の人びとが気にするとは思いません。東京を世界の人びとに観てもらうショーケースに改造するために、日本政府が仕事する時間は、7年あります。日本政府がオリンピック開催を願ったのは、フクシマ第1事故後の日本人の士気を向上させるためだったとわたしは考えます。残念なことに、オリンピック開催は、金と国民の健康の両面で、事故による真のコストから国民の注意をそらしています。東京と日本全国の放射性フォールアウトは、安倍政権によって政治化されました。その結果、良心的な日本の科学者たちが、環境の状態を評価することを単純に怖れるようになりました。“Demystifying Nuclear Power”(「原子力の謎を解く」)ブログのアート・ケラー投稿記事*をご覧ください。ケラーは、浄化の不手際、法外に低い放射線値を読み取る、校正なしの計測器、除染と放射線モニタリング作業に従事する日本の人員に対する放射能の除染とモニタリングの訓練の深刻な不足といった例を列挙しています。大事なのは、単に東京だけではなく、日本全域の状況を評価する良心的な科学を確立することであり、良心的な科学研究は、政治的影響を排して、前に進むべきです。
フェアウィンズ閲覧者からの質問:
いまから7年後にものごとがどうなっているのか、いうのは不可能ですが、まもなく東京2020年大会に参加することを表明しなければならなくなる人たち(選手、報道関係者、建築関係者、商人など)に対して、アーニーさんがアドバイスするとすれば、どのようなものになりますか?
いまから7年後にものごとがどうなっているのか、いうのは不可能ですが、まもなく東京2020年大会に参加することを表明しなければならなくなる人たち(選手、報道関係者、建築関係者、商人など)に対して、アーニーさんがアドバイスするとすれば、どのようなものになりますか?
A: 7年先の将来のことですので、単純にいって、予言するのは厳しいですから、だれにもいえません。7年たっても、環境はまだ汚染されているでしょうが、それがどの程度のものなのか、あるいは汚染が、2週間、東京に滞在するだけの訪問者に害をおよぼすほどのものなのか、現時点で判断するのは不可能です。わたしが2012年に東京に滞在したとき、南の島やオーストラリアの産品を食べることだけに注意していた、といっておきましょう。これから7年のあいだ、良心的な科学が、この判断を決定するための鍵になるでしょう。
また、2週間の東京滞在とそこに住みつづけることのあいだには、大きな違いがあります。日本に住む多くの人たちは、長年のあいだ明けても暮れても有害なレベルの放射線に被曝しておりますので、わたしたちは、短期訪問者にありうる被曝よりむしろ、長期間にわたり日本に住んでいる人びとの健康を気にかけなければなりません。
また、2週間の東京滞在とそこに住みつづけることのあいだには、大きな違いがあります。日本に住む多くの人たちは、長年のあいだ明けても暮れても有害なレベルの放射線に被曝しておりますので、わたしたちは、短期訪問者にありうる被曝よりむしろ、長期間にわたり日本に住んでいる人びとの健康を気にかけなければなりません。
Q: Facebookページで、2020年東京オリンピックは、結局のところ、開催されないといった人がいました。「その時までに東京はゴーストタウンになっている」とコメントした人もいます。あなたのお考えはいかがでしょう?
A: フクシマ第1は数多くの問題を投げかけており、それらの問題が終結したとは聞きません。将来のできごとが日本全体にどのような影響をもたらすのか、明確ではありません。フクシマ第1の三重メルトダウンは、世界史上で最大の産業災害であり、放射能の放出も進行しています。現時点において、このような放出を減少させるのに有効な手法は適用されておりませんし、2年半先に完成するという、提案中の「氷結壁」も有効な技術ではありません。
フェアウィンズ閲覧者からの質問:
放射性核種の減衰を考えて、放射能ちりの吸引など、ホット・パーティクルによるリスクはどれほどのものでしょうか? また、競技の絶頂期における選手の激しい運動は、放射性核種による内部被曝の可能性に対して、どのように影響するのでしょうか?
放射性核種の減衰を考えて、放射能ちりの吸引など、ホット・パーティクルによるリスクはどれほどのものでしょうか? また、競技の絶頂期における選手の激しい運動は、放射性核種による内部被曝の可能性に対して、どのように影響するのでしょうか?
A: セシウムの半減期は30年であり、これは環境中に300年のあいだ残留することを意味します。もっと重要なのは、どれほどのセシウムが雨によって東京湾に洗い流されるのかであり、それを評価する良心的な科学が必要です。
フェアウィンズ閲覧者からの質問:
東京の空気はロンドンの空気よりも危険なのでしょうか? 特に、放射性の花粉、放射性の黒色塵芥などといった形で、放射性のものが空中を再伝播すると知れば、気がかりです。
東京の空気はロンドンの空気よりも危険なのでしょうか? 特に、放射性の花粉、放射性の黒色塵芥などといった形で、放射性のものが空中を再伝播すると知れば、気がかりです。
A: 信じるか信じないかは別にして、これはしばしば受けている質問です。ロンドンと東京の比較はともかく、どこに住めば安全かという質問です。わたしたちは当方サイト上の FAQ(よくある質問)ページで答えていますので、ここに当方の回答を再掲しておきます――
「どこに住めば」、あるいは「どこに旅行すれば、安全か」という質問に対して、わたしたちは法的に責任のもてる助言をいたしかねます。すべての地域には、核問題にとどまらず、その地域独自の健康・安全問題があり、特定の地理的リスクを評価するのは、わたしたちの専門領域外のことです。詳しい情報を得るには、スティーヴ・ウィング博士が地理的リスクと移住問題を論じた当方の2011年インタビュー*をご閲覧ください。当方のフェアウィンズ書籍リスト*2から、ジェイ・グールドの『内なる敵――原子炉の近くに住むことの高価な代償』*3(仮題)、サンドラ・スタイングレイバーの『下流域に住む――一科学者の個人的な癌・環境調査』*4(仮題)をお薦めします。
「どこに住めば」、あるいは「どこに旅行すれば、安全か」という質問に対して、わたしたちは法的に責任のもてる助言をいたしかねます。すべての地域には、核問題にとどまらず、その地域独自の健康・安全問題があり、特定の地理的リスクを評価するのは、わたしたちの専門領域外のことです。詳しい情報を得るには、スティーヴ・ウィング博士が地理的リスクと移住問題を論じた当方の2011年インタビュー*をご閲覧ください。当方のフェアウィンズ書籍リスト*2から、ジェイ・グールドの『内なる敵――原子炉の近くに住むことの高価な代償』*3(仮題)、サンドラ・スタイングレイバーの『下流域に住む――一科学者の個人的な癌・環境調査』*4(仮題)をお薦めします。
キャスト
東京の土壌サンプルは、アメリカでは放射性廃棄物
東京の土壌サンプルは、アメリカでは放射性廃棄物
掲載日:2012年3月25日
Tokyo Soil Samples Would Be Considered Nuclear Waste In The US from Fairewinds Energy Education on Vimeo.
While traveling in Japan several weeks ago, Fairewinds’ Arnie Gundersen took soil samples in Tokyo public parks, playgrounds, and rooftop gardens. All the samples would be considered nuclear waste if found here in the US. This level of contamination is currently being discovered throughout Japan. At the US NRC Regulatory Information Conference in Washington, D.C. March 13 to March 15, the NRC's Chairman, Dr. Gregory Jaczko emphasized his concern that the NRC and the nuclear industry presently do not consider the costs of mass evacuations and radioactive contamination in their cost benefit analysis used to license nuclear power plants. Furthermore, Fairewinds believes that evacuation costs near a US nuclear plant could easily exceed one trillion dollars anD.C.ontaminated land would be uninhabitable for generations.
このビデオについて
フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンは、数週間前に日本を旅行したさい、東京の公園、遊び場、屋上庭園で土壌サンプルを採取した。すべてのサンプルは、ここアメリカ国内で見つかったものであれば、放射性廃棄物とみなされていただろう。現時点において、このレベルの汚染は日本国中で見つかっている。(2012年)3月13日から15日にかけてワシントンD.C.で開催されたアメリカNRC(原子力規制委員会)の規制情報会議において、NRC委員長、グレゴリー・ヤツコ博士は、NRCと核産業が、原子力発電所を認可するさいに用いるコスト・便益分析において、大規模な避難と放射能汚染のコストを現時点で考慮していないと彼の懸念を強調して語った。さらにいえば、フェアウィンズは、アメリカの原子力発電所の近隣地域における避難経費が1兆ドルを優に超え、汚染された土地が幾世代にもわたり居住不能になると信じている。
検査報告書:東京土壌サンプル DOCUMENTS
ビデオ・テキスト VIDEO TRANSCRIPT
(NRC規制情報会議の映像はじまり)
ヤツコNRC委員長:
フクシマで起こったことにより、あれほど大規模な、公衆の健康および安全への影響、あるいは環境への影響をともなう、どのような核事故も受け入れられないという思いがますます強くなります。だが、わたしたちはこの事象の放射線学的影響に焦点を集めています。このような危機に関連する核施設を保有する、いかなる国であっても、このような事象がもたらす大規模な社会的・経済的影響を無視することはできないとわたしは信じます。
日本では、9万を超える人びとが自宅や土地から避難させられたままであり、予見しうる将来、元の暮らし方に復帰する見込みのない人たちもいます。安易に特徴づけてはいけないですが、このようなことがこの人びとに課せられた苦難であり、これは本質的に受け容れられないものです。未来を見つめ、また先見性のある目で見れば、わたしたちは、重大な土地の汚染につながる核事象にどのように対処するのかという問題に取り組まなければならなくなるでしょう。そして、これは、人びとのわが家、暮らし、地域社会からの疎開、おそらくは永遠の避難の問題なのです。
(NRC規制情報会議の映像おわり)
アーニー・ガンダーセン:
いまお聴きいただいたのは、原子力規制委員会、グレゴリー・ヤツコ委員長のスピーチでしたが、NRCが原子力発電所を認可するか否かを決定するさい、大規模避難、そして人びとが何世紀にもわたり自分たちの土地に帰還できなくなる事態をコスト・便益分析の検討項目に入れていないと彼は話していました。
フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。今日、わたしはNRCがワシントンD.C.で開催している規制情報会議に来ています。
ですから、今日、わたしはワシントンD.C.にいます。でも、わたしは東京にいて、東京滞在中、試料をいくつか採取しました。さて、わたしは最高レベルの放射線スポットを探したのではありません。5枚のビニール袋を持って、動きまわり、地面を見つけ、土をすくいあげ、袋に入れただけです。そうした試料のひとつは、歩道の割れ目から取りました。もうひとつの試料は、以前に除染されていた児童公園のものでした。もうひとつの試料は、道路脇のコケをいくらか取ったもの。もうひとつの試料は、わたしがいたオフィスビルの屋上からです。最後の試料は、東京の中心街にある中枢司法官庁*の向かい側で採取したものでした。わたしはそうした試料を持ち帰り、税関で申告して、試験機関に送付しました。すると、試験機関は、試料のすべてについて、ここアメリカでは放射性廃棄物と認定され、テキサスに送られ、廃棄処分になるはずだと断定しました。
* the main judicial center=最高裁ビル、または法務省ビル
さて、東京であれ、アメリカであれ、一国の首都でこのような派生的影響があるとは、考えてもみてください。花々を手折りにいって、放射性廃棄物のなかでひざまずいているとしたら、どう感じるでしょうか? それこそ、いま東京で起こっていることなのです。そして、わたしは、これこそ、ヤツコ委員長が言い表そうとしていた肝心な点なのだと思います。いま原子力規制委員会がコスト・便益分析を実施するさい、みなさんが数世代にもわたって避難しなければならなかったり、10万人もの人びとを、おそらく永久に移転させなければならなかったりする、その社会的コストを勘定に入れていないのです。
ここワシントンD.C.では、わたしたちから100マイル離れたところに12基の原発があります。フクシマは東京から200マイル近く離れていますが、それでも、東京のいくつかの場所の土は、つまり、わたしがたまたま見つけたものは、ここアメリカでは、放射性廃棄物と認定されるのです。
わが国の首都がそれほどの程度まで汚染されているとしたら、どう感じるでしょうか? だから、わたしは、新しい核やら、古い核やら、再認定されるものは、東京で、そして日本でわたしたちが学んだ教訓を、彼らの分析にコスト分として算入するべきだという点で、ヤツコ委員長に同意します。
ありがとうございました。これからも情報をお伝えします。
キャスト
サマンサはフェアウィンズでさまざまな仕事をこなしている。寄付金管理からブログ記事執筆まで、何でも屋である。マサチューセッツ出身、マウントホリオーク・カレッジ環境研究・仏文学位を取得。フェアウィンズ就労前に、ブラウン大学で環境調査に従事。
アーニー・ガンダーセンは、40年を超える原子力工学経歴を保持。レンセラー工科大学で就学、優等成績で学士号取得のかたわら、核工学修士号取得のため、原子力委員会の誉れ高い特別研究員奨学金を受給。アーニーは、核安全特許保持者、元・認定原子炉操作員、核産業の元副社長。原子力業界に在職中、アーニーは米国内70か所の核施設でプロジェクトを管理・調整していた。
グレゴリー・ヤツコ Gregory
B. Jaczko
(以下、ウィキペディアから引用)
アメリカ原子力規制委員会(NRC)の前委員長。物理学者であり、米議会の科学フェローなどを経て、2005年からアメリカ合衆国原子力規制委員会(以下、NRC)の委員、2009年、同委員会委員長に就任。2012年5月21日、辞職。
ニューヨーク州イサカのコーネル大学に進学して物理と哲学を専攻し、1993年、両分野で学士号を取得。1999年にはウィスコンシン大学マディソン校で素粒子物理学(素粒子論)の博士号を取得。
0 件のコメント:
コメントを投稿