2013年10月23日水曜日

フェアウィンズ・エネルギー教育「核惨事の系譜~スリーマイル・アイランド、チェルノブイリ、フクシマ」

FAIREWINDS ENERGY EDUCATION






DEMYSTIFYING NUCLEAR POWER











原子炉の計器は、どれほど正確だろうか?

掲載日:20131017

How Accurate Are The Instruments in Nuclear Reactors? from Fairewinds Energy Education on Vimeo.
Accurately measuring the reactor water level in a nuclear power plant is critical to safe operation, yet nuclear power reactor water monitoring systems do not work correctly. What would happen today if your car’s speedometer read 60 miles per hour, but in actuality, you might be driving at 40-mph or even 95-mph? Listen to today’s Fairewinds Energy Education podcast as Dave Lochbaum from the Union of Concerned Scientists and researcher Lucas Hixson discuss the dangerous dilemma reactor operators face when a reactor has an emergency shutdown and operators simply do not know if the reactor has enough water to keep it cool!

このポッドキャストについて
原子炉水位の正確な測定は、原発の安全操業のため決定的に重要ですが、原子炉の水監視システムは正確に作動していません。あなたの車のスピードメーターが時速60マイルを示していて、実は時速40マイル、またはなんと95マイルで走っているとしたら、今日、なにが起こるでしょうか? 本日のフェアウィンズ・エネルギー教育ポッドキャストでは、原子炉が緊急停止する事態で、冷却を維持しうる水量が確保されているか否か、知りえない場合に原子炉オペレータらが直面するジレンマについて、憂慮する科学者同盟のデイヴ・ロックバーム氏とルーカス・ヒクソン研究員がお話します。
ポッドキャスト・テキスト
マギー・ガンダーセンMG):
ようこそ。こちらはフェアウィンズ・エネルギー教育のマギー・ガンダーセンです。今日は原子炉水位モニタリングについての特別番組をお送りします。今日のゲストは、核担当研究員のルーカス・ヒクソンさん、そして憂慮する科学者同盟の核専門家、デイヴ・ロックバームさんです。今日のポッドキャストは、わたしどもの典型例から外れ、非常に技術的な内容になっていますが、それでもあなたのようなオタクのためのものになっています。たくさんのみなさんから書き込みをいただき、この種の教材をお求めになっていますが、たとえ、あなたが素人でいらっしゃっても、このポッドキャストが、とても、とても興味深いとお判りになるとわたしは思いますし、原子炉の運転がいかにむつかしいものであるか、ご理解いただけるはずです。ご一緒していただき、ありがとうございます。

ルーカス・ヒクソンLH):
こんにちは。ルーカス・ヒクソンです。憂慮する科学者同盟のデイヴ・ロックバームと、原子炉水位監視システムについて、お話します。原子炉内の水は、臨界中性子減速材および冷却材として用いられます。原子炉の水位は直接モニターされているのではなく、予備タンクを組み込んだ非直接的な監視システムによってモニターされ、これを「基準レッグ」(Reference leg)といいます。この冷却システムについて、何年にもわたり、いくつか欠陥が報告されており、なかでも最も注目に値するものは1990年代初期にポール・ブランシュが報告したものです。デイヴ、ポールの研究結果の本質について、いくつか話していただけますか?

デイヴ・ロックバームDL):
はい。ポールは、日本のフクシマや、アメリカのピルグリムやブラウンズ・フェリーのような沸騰水型原子炉に使われているレベル計測の問題点をいくつか見つけました。君がいったように、このタイプの原子炉では、水は原子炉容器のなかでそのまま沸騰します。激しく沸騰している水のレベルを測るのは困難です。コンロで水が沸騰している深鍋を思い描けば、表面は泡ばかりで、鍋のなかの水位はどこに「ある」でしょう。そこで沸騰水型原子炉で基準レッグを使うのですが、これは単なる沸騰していない水の柱であり、この水の圧力または重さと、炉内の水の重さとを比較するのです。そうすれば、原子炉容器内の水の密度を、じっさいの水位の高さを判断するよりも容易に決定できます。そこで、その基準になる水柱の重さに対する炉内の水の重さの圧力差を用いて、原子炉容器内の水位を決定できます。炭酸水のビンを振って、蓋を開けて、観ていると、水位――飲料の表面レベル――は、都合のよい、低いレベルから跳ね上がり、開いた口から噴き出します。炭酸水に含まれる非凝縮性のガスが動揺によって遊離するからです。ポールが指摘したことも同じようなもので、事故のさいにありがちですが、原子炉容器内の圧力が突発的に低下すると、水のなかの非凝縮性ガスは、基準水柱のなかの水に突発的で劇的な変化をもたらし、圧力低下によって水から泡を噴出させるのですが、これは炭酸水の蓋を開けるのと似ています。圧力が下がると、泡ができます。水位計測に、そのことを計算に入れてなかったのです。そのような状況で、泡が形成されると、操作員が検知する水位表示は、大幅に狂う――数フィート、数十フィートも狂う――ことになります。炉心の高さは12フィートしかありませんので、水位計測が20フィート狂えば、大問題になります。

LH:原子炉水位監視システムが正確なデータを示さない場合、操作員らが水位を判断する方法は、他にもありますか?
DL:沸騰水型原子炉の場合、操作員らが用いる水位計測法は約5通りあります。熱い状態、高圧、高温の場合と、原子炉が停止し、原子炉容器の上蓋が開けられ、水の温度が沸点以下である場合があります。問題になるのは、事故のさい、配管が破裂して、水が流出し、高温・高圧状態から高温・低圧状態に変化するときです。操作員らは、これら5通りの計測法から、最も正確に状態をモニターしているのはどれか、瞬時に選ばなければなりません。機器ごとに表示がバラバラであり、どれが最も正確な表示なのか、決めるのは操作員の推量にかかっているのです。扱っているのが100トンの炉心であり、当て推量のゲームをして、間違えば、高くつきます。

LH:わたしの記憶が正しければ、NRC(原子力規制委員会)は、その基準レッグ計測に30インチの誤差を許容しました。そして時には、計測は20フィートとか25フィート、それ以上も外れている。そのとおりでしょうか?
DL:たとえば、ブラウンズ・フェリーでは、3通りの水位計測器が備わり、すべて基準レッグによるものでしたが、そのひとつひとつが互いに1フィートかそれ以上も違っていて、それでもすべて同じものをモニターしているとされていました。

LH:基準レッグ内に非凝結性ガスが充満するために、操作員らが原子炉内の水位を正確に見極めることができなくなる可能性について、お話いただきましたが、ここで、もうひとつ別にあってもおかしくないシステム欠陥について提起させてください。核事故に共通して観測される現象がありますが、わたしが思うに、これはじゅうぶん注目されていません。原子炉操作員らが、原子炉の内部で起こっていることを知るために頼っている機器そのものを信頼することができない羽目になり、その信頼できないデータにもとづき、正しかったり間違っていたりする対応をするといった状況が繰り返されてきました。後になって、その原子炉操作員らは、なんらかの人的ミスがあったとして、事故の責任を問われたりします。デイヴ、この一例として、スリーマイル・アイランドで操作員らが経験した計測困難について、いくつか挙げていただけますか?
DL:わかりました。19793月のこと、スリーマイル・アイランド原子炉は、97パーセント出力で運転中、計画外の停止――数秒のうちに臨界未満停止状態にいたる原子炉の自動停止――という事態に遭遇しました。このような事態は、前年の操業開始以来、13回起こっておりましたが、13度目――今回――は非常に不運なことになりました。施設が97パーセント出力で稼働していたときには、ものごとは順調でバランスも取れていましたが、それでも原子炉が停止すると、原子炉の出力と支援システムが運び去る出力のバランスを回復する試みのさいに、大きな揺らぎが生じました。過渡時に、原子炉容器に備わったバルブが開口し、それを通して、液体をタンクに排出することによって、圧力を緩和します。今回――それで正常なのですが――そのように設計されており、設備はそのように作動し――バランスが回復するまで、数秒かかりました。だが、この状況のもと、そのバルブが開口状態で固着しました。圧力が元まで低下すると、元のように閉まるようになっていたのですが、機械的な作動不良のため、バルブは開いたままになりました。操作員らは教育され、訓練されていました――手順、マニュアル全体が、最頂部に例のバルブが備えられているタンクに水が充満するのを防ぐように仕組まれていたのです。タンクには、原子炉の加熱と冷却による水の膨張と収縮に対応するように、水が部分的に満たされていました。車のエンジンのオーバーフロー・タンクみたいなものです。あのバルブが開いたままなので、タンク内の水位が上限超え、完全に満水と示されました。それは、じっさいの水位ではなく、バルブが開いていますので、前にいった炭酸水ボトルのように、タンク内の水が上限超えであっても、事実としては、開口バルブによる圧力低下のため、水のなかに大量の泡が発生したからであり、炭酸水ボトルの口を開けるようなものです。操作員らは、その間違った表示に反応し、原子炉を冷却するための補給水を送るために始動していたポンプを停めました。彼らがポンプを止めたのは、原子炉内に水が多すぎると、じっさいの現象とは正反対に勘違いしたからです。作業員らは次の2時間にわたり、あのタンク内の水位を元の正常値に戻そうとして、原子炉容器からの排水を継続しました。誤った表示が2時間近く続いたため、彼らは原子炉容器の排水を続け、ついには炉心の一部が露出して、メルトダウンにいたったのです。炉心は過熱し、メルトダウンしました。だが、彼ら操作員たちは、まさしく訓練されたとおり、まさしくマニュアルが告げているとおりに手順を遂行していたのです。しかし、誤った表示に頼り、非常に間違った道筋に誘いこまれました。
LH:では、スリーマイル・アイランドに先立って、公開された構成のなかで、似たようなバルブ誤作動の徴候はありましたか?
DL:スリーマイル・アイランドの双子姉妹、オハイオ州のデイヴィス・ベッシーで1年より少し前に非常に似通った事象がありました。シャットダウンです。だが、そのとき、原子炉は約90パーセント出力で稼働していました。例のバルブがやはり開いて、バランスが修復するまでの数秒間、圧力が転移しました。そのバルブもやはり開口のままになりました。だが、その事例では、操作員らがバルブの開口固着に気づき、同じパイプに備わった別のバルブを閉じて、有効に流れを止めました。タンク内の圧力は、高レベルに間違って表示されることなく、じっさいのレベルまで低下し、すべて事なきを得ました。問題だったことのひとつは、そうした事象が発生し、首尾よく対処されたにもかかわらず、所有会社、原子炉メーカー、原子力規制委員会が他のだれとも経験を共有しなかったため、スリーマイル・アイランド、その他の原発の操作員らが、ありうる状況について事前警告を受けていなかった、ということです。そのため、操作員らはそのような事態に盲目のまま遭遇し、誤った判断を下して、その結果、惨事を招きました。
LH:チェルノブイリでもやはり、操作員らは、的確だと考えた方法で対応していましたが、現場にある別の設備構成のため、じっさいには事故を小さく抑えるはずだった手順に従っていなかったのですが、お話は、その失敗のタイプを暗示していると、わたしには思えます。
DL:それは共通するテーマです。何度も何度も、操作員らは罠にはまります。広範囲におよぶシナリオを扱うように意図された指示を与えられながら、自然が定めた同じ台本に従って、間違った道に導かれるのです。あなたの仰るとおり、チェルノブイリでそうなり、スリーマイル・アイランドでそうなりました。ある程度まで、フクシマでそうなりました。わたしたちは、それらの惨事から正しい教訓を学んでいるとは思えないようです。

LH:これにまつわる、わたしの懸念は明らかに、原子炉操作員らについて、成功のために仕込まれているというより、不可避的に正しいことをしないような状況に置かれ、失敗するように仕込まれているということです。東京電力によれば、損壊したフクシマ第1原発の操作員らもまた、311日の地震と津波に対して反応したおり、その原子炉の炉心水位監視システムにかかわる問題を経験していました。特に1号機において、電源喪失のあと、操作員らは原子炉内で起こっていることを判断できるようになるために、制御室の監視システムに電力を供給する電源を見つけようと全力をあげていました。予備バッテリーを用いて原子炉水位監視システムの電力を一時的に回復したとき、表示器は水位が活性化していた核燃料の頂上部より上であることを示していました。だが、じっさいには、さらなる分析によって後になってわかったことですが、炉心全体が露出しており、予備電源が復旧する前の90分間以上にわたって露出していたのです。さて、東電によれば、炉心の温度は燃料損傷がはじまる融点に達し、また例の基準レッグのなかの水を沸騰させるほど熱くなっていました。原子炉圧力容器内の圧力のため、電源が一時的に回復したとき、間違った数値が表示器に示されたのです。さて、わたしにとって、これは、正常な運転時には、原子炉水位監視システムが操作員たちにとって信頼できるデータをもたらすことができることを意味します。だが、一度、不運な日になると、そのシステムがまた、炉心損傷時点のあと、間違うこともできます。このことについて、なにかコメントをいただけますか?
DL:ある程度、同意します。原発にある別系統の水位計測設備は、正常運転時と想定事故時のために設計されています。しかし、事故が筋書きどおりに進行しない場合、操作員らが得る表示や与えられた手引きが、有益であるよりも、有害になりえます。これはほんとうに、彼らが置かれるべき状況ではありません。

LH:さて、フクシマ第1の場合で、わたしたちはいま明瞭に目撃しましたが、将来において、原子炉操作員らが、燃料損傷が発生し、原子炉本体内の温度が基準レッグ内の水を蒸発させるほどのレベルまでに達した可能性があると想定するような状況に遭遇するとき、業界自体がそれ自身のデータを信頼できないのにもかかわらず、一般社会は業界のことばに頼るように強いられる立場に置かれます。これで、正しいでしょうか?
DL:残念ながら、イエスです。現状において、および予見しうる将来の状況において水位表示が正しいか否かを知るための最善の徴候は、原発から放射性の雲が飛んでくるのを見ることであり、そうなれば、表示が間違っていることになります。水位がわかっているかどうかを知るために、放射能の雲よりましな兆候が必要です。自分たちが間違っていたと知るにしては、値札が高すぎます。
LH:デイヴ、PWR(加圧水型原子炉)とBWR(沸騰水型原子炉)の両者に共通して、これと同じような水位監視方法が使われているのでしょうか?
DL:これは沸騰水型炉で使われています。加圧水型炉では、似ていても、少し異なったシステムを使っています。加圧水型炉では、われわれの事故シナリオによれば、一次系から排水されることがありませんので、じっさいには原子炉容器の水位計測装置はありません。加圧水型炉の水位計測器が付いているのは、蒸気発生器であり、これは原子炉容器の外にある二次循環系にあたります。蒸気発生器は、その内部の水位を監視するために、沸騰水型炉で用いられているものと同じようなシステムを用いています。加圧水型原子炉の場合、停止時を除いて、原子炉容器内の水位を監視するシステムはほんとうにないのです。

LH:このような問題は、問われていますか? どうすれば、問うことができるのでしょう? このような問題に、だれが答えようとするべきなのでしょう?
DL:わたしたちはいつも、遂行すべき昨日の戦闘を戦っているようです。しかし、さまざまな事故および過酷事故のシナリオに操作員らが直面するとき、彼らが監視する必要のある決定的なパラメータ(変数、指標)類を見るため、そしてそれらパラメータ類が正確か否かを判断するための視野を拡大する必要があります。操作員らが正しく推測するだろうからといって、なにが起こっているか、推測しなければならなくなるような立場に彼らを置いてはなりません。だから、連邦政府や国立研究団体、業界が、圧力であれ、水位であれ、温度であれ、水素濃度であれ、およそ事故のさいに制御しなければならなくなるあらゆる事象の決定的なパラメータを見ていて、操作員らが正しいときに正しく行動できるように、パラメータに関する信頼できる情報が得られるように保証しなければなりません。たとえば、フクシマの操作員たちは可哀想なことに、機器類の電源復旧に奮闘したあげく、間違った表示を得ただけでした――そもそも彼らはそのような苦境に置かれるべきではなかったのですが、このようなことを他の人たちに再び押し付けるなら、わたしたちの恥になります。

LH:一般市民には、みずから情報に通じていて、規制当局者らがこのような問題に取り組む仕事をしているのを確実にする義務が明らかにあります。しかし、原発運営会社もまた、核産業界がこのような問題に取り組むのを助けるのと同時に、どのように規制委員会を助けることができるのでしょう?
DL:原発運営会社――原発オーナー会社――は、失いたくはない巨額の資産を保有しています。ですから、原発の操作員らが信頼できる情報を与えられていることを是が非でも確実にしておく理由があります。昨日の問題を片付けておくだけではすみません。運営会社は、ものごとの改善を図るために、もっと広い視野で計測問題を見つめねばなりません。たとえば、多くの原発で、もう部品が見つからないという理由で、アナログ装置がデジタル装置に替えられています。デジタル装置を取り入れるなら、この計測装置の一部を取り替えるなら、よりいいものにし、より信頼できるものにするべきです。事故のために用意した非常に視野の狭い台本ではなく、視野の広いシナリオを処理できるようにすることです。これをやらないでいれば、次のフクシマ、次のチェルノブイリ、次のスリーマイル・アイランドを防ぐのに、運に頼ることになります。このリストが長くなりつづけるのは、運がお粗末な防護策であるからです。
LH:アナログ機器をデジタル機器にアップグレイドするといえば、2012年、ノース・アナのできごとを思い出しますが、そこでは、地震計の一部をデジタル機器にアップグレイドしたのはいいのですが、敷地のじっさいの地震動を記録することができなかったのです。スクラッチ記録版に頼るしかありませでした。正常運転状態を逸脱した状況で、データを正しく伝えることを確実にするために、どのような種類の検査をこれらデジタル機器に施していますか?

DL:さて、機器メーカーは実に良好な検査結果を得たというでしょうが、機器のユーザーは、そういう販売促進用の能書きが現実通りにならないと知ることになります。ブラウンズ・フェリー原発でも、デジタル機器にまつわる問題があって、インターネット情報流通が混みあいすぎて、炉心に冷却水を送るパンプ2台の制御が干渉を受け、オフラインで処理する羽目になりました。ですから、事故状況対応はいうまでもなく、日常的な稼働においても、デジタル機器が信頼できることを確実にするために、残された宿題が明らかにあります。
LH:原子力規制委員会は、フクシマ第1事故に対応して、原子力発電所、特に使用済燃料プールに関連する安全確保機器類の規制をいくつか拡大しました。これについて、少しお話しいただけますか?
DL:フクシマの問題のひとつは、7か所の使用済燃料プールがあったことです。事故のあいだ、制御室にいる操作員らは、使用済燃料プールの水位と水温がわかりませんでしたが、それは、たとえ電力が利用できたとしても、計測機器が装備されていなかったからです。そこで、操作員らは、水位を目測させたり水温を見積もらせたりするために、だれかを物理的に行かせるのに気を取られてしまいました。そのような状況を避けるため、20123月、アメリカの原子力規制委員会は原発保有会社に信頼できる水位計測器の設置を義務づけました。よい考えです。しかし、保有会社に伝えられた命令は、プール内の使用済み燃料集合体が収納されている位置より上、1フィート範囲内の水位を測る機器を設置せよというものだったので、問題があり、水位が下がった場合、操作員らには、水位が燃料の頂上部より下になっており、燃料損傷が切迫していても、わからないかもしれません。作業員らにわかるのは、1フィート以内の水位低下だけであり、それより下がってもわかりません。プールの一部分でなく、プール全体を計測できるようになるチャンスはありました。今回もまた、事故はわれわれのシナリオ通りに進行するだろう、水位がそれほど下がる前に首尾よく水位を回復できるだろう、それ以下に下がっても、操作員たちを送りこんで、バルブを閉じることができるだろう、などと想定しているのです。だから、今回もまた、昨日のミスをそっくり繰り返し、これまでの惨事から解決策を学んでいないのです。
LH:どうもありがとうございました、デイヴ。ルーカス・ヒクソンが、憂慮する科学者同盟のデイヴ・ロックバームさんにお話をうかがいました。この会話をご視聴いただき、ありがとうございました。
DL:ありがとう、ルーカス。それに、このような問題に光を当てる、みなさんのお仕事にも、ありがとう。これは、これらの問題の一部なりとも、机上から持ち出し、わたしたちの背後を振り返るために、バック・ミラーに映してみる最良の方法のひとつです。
NWJ:フェアウィンズ・エネルギー教育ポッドキャストのご視聴、ありがとうございました。公正な核問題ニュースの情報源として、フェアウィンズが頼りになるとお考えでしたら、わたしどもがこのような高品質のエネルギー教育プログラムの制作を続けられるように、ご支援を考慮なさるようにお願いします。

マギー・ガンダーセンMaggie Gundersen
創始・代表者
マギー・ガンダーセンは、2008年、501(c)3準拠の非営利団体、フェアウィンズ・エネルギー教育を創設。その一貫した任務は、原子力生産、エンジニアリング、信頼性、安全問題に関する社会教育である。マギーはまた2003年に、法律補助・専門家証言企業、フェアウィンズ・アソシエイツ株式会社を創立。マギーはまた、原子力産業界の専門技能職としての経歴も保有している。マギーの職歴のスタートは、コンバスション・エンジニアリング(燃焼工学)社の炉心再充填設計グループに在籍したことであり、その後、ニューヨーク州辺地における原子力発電所計画の広報専門家になった。原子力産業界の最終経歴として、アメリカン・ニュークリア保険社の管理職採用担当者だったマギーは、経営担当副社長に就任。
ルーカス・ヒクソンLucas Hixson
ウェブ開発者
調査員
ルーカスはシカゴ出身、その地で、執筆と多くの調査をこなす。Enformableの創始者であり、卓越した核調査者である。ルーカスは最近、ファアウィンズのウェブサイトを全面的に刷新し、フェアウィンズの新しいオンライン機能を開発中である。


デイヴ・ロックバームDave Lochbaum
憂慮する科学者同盟(UCS
核安全性プロジェクト部門長
デイヴ・ロックバームは、全米トップの独立系原子力専門家のひとり。UCS核安全性プロジェクト部門長として、米国内の原子炉で進行中の安全問題を監視、連邦議会と原子力規制委員会(NRC)で証言、フクシマ第1施設の20113月危機など、原発の状態と事象について、情報にもとづく分析を提供。
ロックバーム氏は訓練された核エンジニアとして、17年間、原子力発電所で勤務、その多くはフクシマ原発のゼネラル・エレクトリック社製原子炉に似ている。1990年代初期、危険な業務を内部告発したあと、業界を離れ、96年、USCに参加。2009年、NRCで核テクノロジー指導員として勤務するためにUSCを去り、1年後、UCSの元職に復帰。

ロックバーム氏は、年刊シリーズとして制作予定の報告書の第1作、“The NRC and Nuclear Power Plant Safety in 2010”(『NRCと原子力発電所の安全性:2010年版』)など、おびただしい数の報告書を執筆。長年にわたり、彼の著作は広範な報道機関に何千回も引用されており、それには、ボストン・グローブ、ビジネス・ウィーク、シカゴ・トリビューン、ロサンジェルス・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト、CBSCNBCCNNC-SPANFoxFoxビジネス、MSNBCNBCNPRなどがある。

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