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フクシマの井戸で放射線レベルが6500倍に
初出:2013年10月18日
フクシマ原発、貯蔵タンク近くの井戸で、放射能レベルが木曜日(17日)に大きく上昇したと原発運営会社が報告しました。
東京電力の担当者らは金曜日(18日)、水曜日(16日)に検知したレベルの6500倍にあたる1リッターあたり40万ベクレルのβ線を放出する――ストロンチウムを含む――放射性物質を検出したと語ったとNHKワールドが報道しました。
その貯蔵タンクは、8月に汚染水300トンの漏出を起こし、その一部が溝を流れて海に流出したと信じられています。
問題の井戸はタンクから10メートルばかりのところにあり、漏れを計測するために掘られていたものです。
東京電力は、この検出結果はストロンチウムのような放射性物質が地下水に達していることを示すといっています。ストロンチウムよりも水に入り込みやすいトリチウムは、すでに高レベルのものが検出されていました。
東京電力担当者らは、井戸の周辺の放射能レベルを監視する試みの一環として、貯蔵タンク周辺の汚染土壌をすべて除去するといっています。
このニュースは、日本全域に大雨をもたらした強力な台風のため、損壊した原発の近くの高レベル放射能汚染水が近くの排水溝に流れ込み、海に流出するリスクが高まったと報じられたあとに伝えられました。
東京電力は水曜日(16日)、太平洋につながる溝で高レベルの放射能を検出したといい、激しい雨が汚染土壌を浮き上がらせたのではないかと疑っています。
「フクシマが直面する数十年間にわたる問題」
広島市立大学平和研究所のロバート・ジェイコブズ准教授は、フクシマ第1の複合的な問題が、「だれにも、どうしてよいのか本当にわかっていない」というひとつの決定的な現実を浮き彫りにしているとRTに語りました。*
「フクシマの問題を解消するには、どうすればよいか、だれにも本当にはわかっていません。解決法は、だれにもありません。フクシマの問題は前例のないものであり、外部の専門技能を導入したとしても、できることは問題解決を試みてみることだけです。他の国々から来てもらっても、原子炉を安定化したり、いやむしろ汚染を封じこめたり、漏れを抑えこんだりする解決法はありません」
専門家らは、小さな地震でさえも地域に深刻な核被害をおよぼしかねないと信じています。
「1000基のタンクがあって、互いに合成樹脂パイプでつながっていますので、中規模程度の地震があれば、合成樹脂パイプがダメになって、あの物質すべてが地表を流れ下り、海に流出するでしょう」と、原子力専門家のアーニ―・ガンダーセン氏はRTに語りました。
「施設そのもの、最大の損傷をこうむった原子炉4基が、内部(訳注:建屋内)の爆発を連続して起こしていますので、潜在的に大規模で深刻な被害を起こすのに、2年半前の大きさほどの地震を要しないでしょう」
ガンダーセン氏は、健康リスクが甚大であり、年々、増大すると付け加えました。「これからの30年間にわたり、10万ないし100万あたり(の人びと)がこの事故による癌にかかるでしょう……太平洋産の魚を食べることによる追加的な発癌は、年間1000件になります」
ジェイコブズ教授は、安倍晋三首相が海外からの先進的な知見を求めたのは、危機が最初に勃発して以来、東京電力が見せてきたものよりも高度な専門知識を呼びこむことになるので、歓迎すべき一歩であるといいます。しかし、それでも専門家らは、フクシマで数十年にわたり向かい合うことになる巨大な問題を解決するのに、迷うことになるでしょう。
日本が惨事を抑えこむのを潜在的に支援できたという一分野においてさえ、当局者らはためらってきたと、モスクワのエネルギー安全保障ファンドのコンスタンチン・シモノフ氏はRTに語りました。
「フクシマは――チェルノブイリのように――閉鎖され、石棺のなかに封じこめられ、放射性廃棄物がゆっくりと完全に減衰するのを待つ残骸として扱われるべきです。フクシマで問題がつづくのは、なぜでしょう? 閉鎖するか、存続させるか、決めかねているからです」
じっさい、東京電力はフクシマを永久に閉鎖することを渋っているようです。東京電力はじっさい、柏崎刈羽原発――世界最大の原子力発電所――がそれ自体、2007年の地震の余波で放射能漏れが報じられたのにつづいて閉鎖されたにもかかわらず、それの再稼働を推進しています。
日本は9月には、同国で稼働していた唯一の原子炉が定期点検のために停止したと発表し、そのため、40年間でただ2度目のことですが、国内の原発電力の供給が皆無になりました。
フクシマ惨事以前には、原子力は日本の電力必要量の30パーセントを占めていましたので、同国は不足分を補うために、化石燃料輸入を増やすことを余儀なくされています。
その結果、日本は世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国となり、この世界第3位の経済大国は、31年前の第2次オイル・ショック以来、はじめての貿易赤字に追いやられました。
このような環境のもと、フクシマを捉えた危機は、この国の核産業の命運を決定する唯一の要因にはなっていません。
編集更新:2013年10月19日
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