福島核事故の初期段階における球状セシウム含有粒子の放出
Emission
of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima
nuclear accident
Scientific Reports 3, Article
number: 2554 | doi:10.1038/srep02554
受付日:2013年6月12日 承認日:2013年8月15日 公表日:2013年8月30日
(凡例:図S1~図S9は本稿末尾の「補足情報」の部に掲載)
福島核事故は2011年3月、北半球全域に向かって放射性物質を放出し、日本政府は汚染された居住地域と農地を除染するために高額の資金を費やしている。しかしながら、われわれには放射性物質の正確な物理的・化学的特性がわかっていない。本研究では、事故の比較的に初期の段階(3月14~15日)に放出された球状セシウム含有粒子を観察した。これらの粒子は一般に考えられているセシウム含有放射性物質とは対照的に、サイズが大きくて、鉄、亜鉛、セシウムを含有し、また非水溶性である。われわれの実施したシミュレーションによって、球状セシウム含有粒子が主として乾性沈着として地上に落ちたと考えられる。球状Cs(セシウム)粒子に関する知見は、事故の経過を理解し、健康への影響および環境中での滞留時間を正確に評価するための鍵となるであろう。
序論
2011年3月11日、日本はマグニチュード9.0の地震に見舞われた。地震そのものに加え、津波が本州の東岸に襲来し、福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」)を損壊した。福島第一原発はやがて核燃料冷却機能を喪失し、そのために水素爆発を起こし、環境中に放射性物質を放出した1, 2。地域が汚染されたため、いまだに多くの人びとが帰還できないでいる。目下、日本政府は汚染された居住地域と農地を除染するために高額の資金を費やしている。
大気中に放出された放射性物質は、北半球全域にわたって移動した3, 4, 5, 6, 7。たとえばヨーロッパで、マソンら3が2011年3月11日に採取した空気から放射性セシウムとヨウ素を検出し、その最大値レベルを3月28日から30日にかけて観測した。事故が世界規模の影響をもたらしたにも関わらず、事故の期間中、原子炉内でなにが起こったのか、われわれにはいまだに正確にはわからず、また放射性Cs放出量の推計値は9から36ペタベクレルまでと大きくばらついている6, 8, 9, 10。
環境中に放出された放射性物質の化学的・物理的特性(つまり化学的様態、粒子サイズ、形状、相〔気体またはエアロゾル〕、水溶特性、滞留時間)はよくわかっていない11。そのような知識は、(放射性物質の)地理的分布を推測し、事故期間中および以後の人間の被曝量を推計するための数値モデルを改善するのに必要である。放射性物質の放出量は、たとえば事故による137Csの場合、放出量は20kg以下と少量であり、地球規模に拡散されたので、放射能検出器を使わずに、化学的に検出することは極めて困難である。われわれは本研究において、電子顕微鏡検査によって最初に単一粒子中のCsを化学的に検出したのであり、その形状、組成、水溶特性、粒子サイズを報告し、もってその形成過程、環境中の存在、健康への潜在的な影響の意味合いを評価する。この知識は、さらなる事故を防止するとともに、環境から放射性物質を除去し、放射性物質の再浮揚を防止する効果的な方法を見つけるためにやはり重要である。
結果
2件のプルーム事象
主たる放射性物質放出は、2,011年3月12日から23日にかけて福島第一原発で起こった5。われわれは福島第一原発から170km南西に位置する茨城県つくば市の気象研究所において石英繊維フィルター(25 cm x 20 cm)を用いて試料を収集した(方法の項を参照のこと)。われわれはこれら試料により、3月14日から15日までの期間(プルーム1)および3月20日から22日までの期間(プルーム2)と2度にわたる放射能濃度の有意な最上昇点を見つけた(図1)。これら空気中の有意のプルームは東日本でも報告され、水と土壌を汚染した2,12, 13, 14, 15。降雨や風向きなどの気象条件および放射性物質放出が高レベル地表沈着事象の主原因であった14。われわれは2度のプルーム(3月14日21:10〔日本時間〕から3月15日09:10までのもの、および3月20日21:30から3月21日09:13までのもの)それぞれの最高レベルの放射能を有するフィルターを使い、放射性物質を直接に観察するためにイメージ板(IP)と走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、これらのフィルターの断片(1フィルターごとに10 cm2以下)を分析した。われわれはさらにまた、プルーム中のエアロゾル粒子のサイズを測定した(図S1、S2)。
図1:つくば市における福島第一原子力発電所事故後のエアロゾル粒子の放射能
赤ドットは各試料採取期間の中央値 |
第1期プルーム(3月14日~15日)
われわれは、3月14~15日に地表レベルでIPを用いて採取した放射性物質を測定した(図2)。放射性物質はまだらに分布し、放射性粒子の数は比較的に少ないものの、その活動レベルは比較的に強いことを示していた。このフィルター試料のなかに放射性物質がつくった斑点が約100個数えられ、m3あたり約10個の濃度で放射性粒子が存在することを示唆していた。参考のために書き留めておくと、3月15日の0.5 μmより大きい粒子の平均粒子個数濃度はm3あたり4.1 × 107 個であった(図S1)。3月15日の屋上フィルター試料のIP画像によって斑点分布もまた観測された(図S3)。
図2:IPを用いて観察されたフィルター試料の放射性物質分布
黒色斑点は放射性物質の存在を示す。外輪(点線の円)は人工的に付加されたもの。本研究は、3月14日21:10から3月14日09:10までの期間のフィルター試料(上左図)および3月20日21:30から3月21日09:13までの期間のフィルター試料(下中図)に焦点を絞る。 |
SEMを用いて放射性粒子を検出するには、フィルター上の非放射性粒子の個数を減らす必要がある。よって、われわれはフィルターを多くの細片に切断し、放射性の斑点を強調できるようにした(図S4)。次いでわれわれはIPおよび/またはゲルマニウム検出器を用いて放射性粒子を探すことによって、各細片の放射能を測定した。3箇所の放射性斑点から細片中の粒子の個数を減らしたあと、われわれはSEMを用いて、3個の放射性セシウム含有粒子を見つけた。
図3において、Csを含有する粒子を示す(Cs粒子1)。当粒子は直径2.6 μmの球体である。エネルギー分散型X線検出器(EDS)スペクトルはCs最高点を示している。元素分布画像のCs分布は、球状粒子がCsとともに相当量のFe(鉄)とZn(亜鉛)および少量のCl(塩素)、Mn(マンガン)、O(酸素)を含有していることを示す。Cs粒子1の(2011年3月における)崩壊補正された放射能量は、137Cs 、134Csがそれぞれ3.27 ± 0.04 Bq、3.31 ± 0.06 Bqであった(図S5)。粒子の密度を2.0 g/cm3と仮定すれば、粒子に占めるCsの比率は、その放射能量から5.5パーセントと推測される。同じフィルター上の別の斑点で示される別のCs含有粒子(Cs粒子2および3)は放射能が弱いものの、Cs粒子1と似通っている(図S6)。Fe、Zn、Csから成る粒子のサイズは、おおむね直径2.0 μmである。Cs粒子2の放射能量は、137Cs 、134Csがそれぞれ0.66 ± 0.02 Bq、0.78 ± 0.04 Bqであった。粒子2に占めるCsの比率は2.5パーセントであった。粒子2の放射能総量がCs含有球型粒子に由来すると仮定すれば、1粒子あたりの平均値が1.4 Bqとなり、粒子2のそれと見合っている。
図3:3月14日21:10から3月15日09:10までの期間に収集された試料における放射性Cs含有粒子のSEMおよびEDS分布画像
a)
炭素ペーストに部分的に埋もれたCs含有粒子
b)
a)と同じCs含有粒子であるが、翌日に観察。粒子は球型を示している
c)
粒子(a)の(Cs)分布画像
d)
粒子(a)のEDSスペクトル(黒色の線)。赤色の線はガラス基板由来のスペクトルを示す。粒子内のCsは複数の最高点を示している。
e)
地域における別の元素の元素分布。O、Si(シリコン)、Cl、Mn、Fe、Znは粒子内にCsと併存している可能性がある。われわれはCs粒子1の水溶性を、粒子の浸水前後の形状を比較することによって分析した(図S7)。その結果、少なくとも大気移動期間中の粒子は不溶物であることが示された。
第2期プルーム(3月20日~21日)
3月20日~21日に収集されたフィルターのIP画像は、放射性物質がフィルター内の約10箇所に散らばって分布していることを示唆している(図2)。われわれは散らばった斑点を含むようにフィルターを切断し、数層を重ねて、IP画像に捉えた(図S9)。放射脳はフィルター断片に沿って分布し、この結果はプルーム1の結果と異なっていた。われわれの解釈では、少量の放射性Csが他の優勢なエアロゾル粒子に付着し、またこのできごとは硫酸塩エアロゾルの137Cs担体としての役割に関するKaneyasu et al. 16 の研究結果と一致している。EDS元素分布に関するSEM分析は、エアロゾル試料中に一般的に見受けられる大量の硫酸塩および鉱物塵芥を示している(図S8)。屋上で採取したエアロゾル・フィルター試料もまた同様な放射性物質分布を示唆している(図S3)。
モデル
われわれは標識化学物質運搬モデルを用いて、プルーム1および2が運んできた放射性粒子の沈着をシミュレートした。われわれの考察は他のシミュレーション・モデル(たとえば、4, 6, 9, 12)と違って、エアロゾル力学作用を考慮し、3月14日~15日期間の放射性Csが2.3 μmの疎水性粒子を形成していたに対し、3月20日~21日期間のCsはミクロン未満の親水性粒子(たとえば、硫酸塩)に運ばれていたという、われわれの観察にもとづく粒子の物理的・化学的特性に関する測定値および推測値を用いている。
標識シミュレーション結果から、プルーム1に由来するフィルターのエアロゾル粒子が主として3月14日17:00(日本時間)から3月15日02:00までの期間中に福島第一原発から放出されたものであることがわかる。他方、プルーム2に由来するフィルター上のエアロゾル粒子は主として3月19日20:00から3月20日07:00までの期間中に放出されたものである。
図4に、137Cs(乾燥したものと湿潤なものを合計した)堆積総量のシミュレーションを示す。プルーム1の場合、福島第一原発から放出された137Csは、乾燥物堆積作用および湿潤物沈着作用によって、それぞれ17%および5.1 × 10−3%が地上に落下し、その残り(83%)は海に落ちるか、またはモデル領域の外に流出した。プルーム2の場合は対照的に、粒子の乾燥物堆積および湿潤物沈着による地上落下は、それぞれ1.9%および3.8%であった。
図4:プルーム1における(3月14日17:00〔日本時間〕から3月14日02:00までの期間中に)福島第一原発から放出された137Cs堆積総量のシミュレーション
すべてのCsが比較的に大きな水溶性の粒子であると仮定した。モデル計算に地域大気環境モデル2(RAQM217)を用いた。本図の作成に、ハワイ大学が開発した一般地図作成ツール(GMT)を使用した。本図中のモデル標高は、解像度が1 kmの米国地質調査所(USGS)Global 30 Arc-Second Elevation(GTOPO30)によって得た。 |
本研究は、事故から比較的に初期段階(3月14日~15日)において福島第一原発から放出されたCs含有球状粒子が存在することを初めて報告するものである。この粒子には鉄、亜鉛、そしておそらく他の元素が併存し、その直径は約2 μmである。粒子中にこれらの元素が均等に分布することから、われわれは、それらが内部的に混合し、合金を形成していると結論する。この結果は、2011年4月から5月までの期間中に収集された試料で測定したCsが約0.5 μmサイズの硫酸塩エアロゾル粒子に乗って運ばれたとするKaneyasu et al.16の報告とは違っている。球状の形態であること、またその構成を考えて、粒子は固体であるらしく、水溶性に富んでいる。飛灰など、球状エアロゾル粒子は、そのサイズによって、液化した物質から、または蒸発した物質の凝結によって一般に形成される17。
球状のCs含有粒子は、硫酸塩粒子よりも大きく、水溶性に乏しく、その結果、乾燥沈着をなし、福島第一原発から北西の地域の堆積量が少ない(図4および 図S9)。プルーム1のCsがすべて硫酸塩エアロゾル粒子によって運ばれたと仮定すれば、137Cs放出総量の5.6%および9.3%が、それぞれ乾燥沈着作用および湿潤沈着作用によって堆積したことになる。それ故、モデルにおける堆積総量の量的な放射能のレベルは、雲の微視的物理特性しだい、および、いまだに議論中である福島第一原発からの放出総量しだいであるものの、Cs堆積の地理的分布は物理および化学特性によって異なることになる(Fig.
S9)。われわれのモデル結果から、乾燥沈着作用および湿潤沈着作用がCs運搬媒体の化学的形態およびサイズに左右されやすいので、事故から初期段階においてCsが堆積した様相を再評価するためには、Cs含有粒子の正確な化学・物理特性にもとづく複数の数値シミュレーション・モデルが必要になることがわかる。
事故および注水作業の進展により、プルーム1とプルーム2では放出の様相が変化しているのは、ありうることである。もっとも、事故における放出の様相を解明するには、さらなる研究が必要になるであろう。
本研究は、球状放射性Cs含有粒子が存在することを示し、それをもって、さらなる研究を多くの学問分野にわたって促し、助長することにより、粒子効果の適正な理解と評価が可能になることを目的としている。われわれは、Cs含有粒子の発見が後続の研究に示唆するところがあると信じている。
- 福島第一原発事故により放出されたCs含有粒子の構成と球状の形態は、事故期間中における原子炉内部で起こった事態を理解するための鍵になるであろう。
- 球状Cs粒子は、水溶性Cs粒子よりも地表滞留時間が長くなりがちである。粒子の土壌中または他の環境中の滞留時間については、再考を要する。
- 粒子の健康にもたらす影響は、粒子サイズおよび水中での不溶性にもとづいて評価すべきである。
手法
試料採取
試料は、気象研究所(つくば市、36.05N,
140.13E)において、地上に設置した大容量エアロゾル試料捕集機(柴田科学株式会社、HV-1000F;
1000 m3/24 h)および6階建てビル屋上(地表より高さ約25 m)に設置したPM2.5エアロゾル試料捕集機(24 m3/24 h)を用いて収集した。両捕集機ともに石英繊維フィルターを用いた。大容量空気試料捕集機の試料捕集時間は6、12、24時間、PM2.5エアロゾル試料捕集機のそれは24時間であった。粒子サイズの分布は、エアロゾル粒子サイズ測定器(APS; TSI-3321)を用いて観測し、屋上で2.5 μm切断サイズでそれぞれ0.5 μm超と直径7~289 nmのものを測定するのに走査型携帯粒子サイズ測定器(SMPS;
TSI-3080、TSI-3775)を用いた。
分析
イメージ板(IP; GE CRx25P)が、50 μmの画素空間解像度でフィルター上の放射能を検出するために用いられた。ゲルマニウム内蔵検出器(SEIKO EG&G)が、複数チャンネル分析器を併用して、個別のCs含有粒子とフィルターのガンマー・スペクトルを得るために用いられた。走査型電子顕微鏡(SEM; Hitachi high-Technologies SU 3500)とエネルギー放散型X線分光計(EDS; Horiba ltd. X-max 50 mm)が粒子の形状と構成を観察し、分析するために用いられた。フィルター繊維に固着した粒子は炭素テープ内に装着された(図S4)。マニピュレーター(Micro Support Corp., AP-xy-01)が炭素テープを可能な限り小さく切断するために用いられた。
モデル
われわれは地域大気環境モデル2(RAQM218)を用いたが、これは、エアロゾル個数の対数正規サイズ分布を想定し、三重モーメント様式のエアロゾル力学モジュールを実施するものである。このモデルは、核生成、凝結、凝集、乾燥沈着、枠スケールの雲凝縮および氷核活性化、事後の雲微視的物理作用(降雨)および流出過程など、エアロゾル力学過程を表現する。非流体静力学モデル(NHM19)が、気象領域の生成に用いられた。NHMとRAQM2の両者とも、水平方向3 km枠解像度の215 × 259枠を備えている。NHMには50ヘクトパスカルまで垂直方向50層が備わり、RAQM2には10 kmまで20層が備わっていた。日本の気象庁(JMA)中間-地域対象分析データセット(3時間、5 km × 5 km)が、HTMの初期・境界条件の設定とスペクトル介入法のために用いられた。福島第一原発から放出された137Csには、1時間の時間解像度で標識付けをした。福島第一原発から放出された137Csの放射能総量を、Katata et al20の目録を用いて、0.43 PBq(プルーム1)および0.39 PBq(プルーム2)と仮定した。プルーム1について、数値等価幾何学法による乾燥直径Dg,n,dry = 2.3 μm(Cs含有粒子1および2の平均値)、幾何学標準偏差σg =
1.3、粒子密度ρp = 2.0 g/cm3、吸湿性κ = 0とした。プルーム2について、Dg,n,dry = 102 nm(SMPSにより測定)、σg = 1.6、 ρp= 1.83 g/cm3、κ =
0.4とした。プルーム1の粒子の乾燥沈着速度の計算値は、プルーム2の粒子のそれよりも約4ないし5倍大きかった。プルーム2の粒子の場合、降雨と流出過程の両方が考えられたが、他方、プルーム1の粒子の場合、雲凝結核活動が想定されないので(つまり、κ = 0)、流出だけが考えられた。
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献辞
本研究は、文部科学相科研費(「福島第一原発事故による放射性核種の環境内移動に関する学際的研究」A01-01、A01-02両研究チームのもと、革新的分野における科学研究に対する給付金。承認No.はそれぞれ24110002、24110003)および文科省の日本放射能調査に支えられた。Mr. H. Sako、Mr. T. Kimura(アトックス社)にIP、ガンマー分光分析、C. Takeda(東京ニュークリアサービス株式会社)、Ms. K. Inukai、Ms. K. KamiokaにHV試料採取、Mr. Y. Iizawa(東京理科大学)にCs含有粒子3の検出でご支援いただき、ここに感謝を表明する。Mr. K. Kuchiki、Dr. T. Aoki(MRI)には本論文の分析のためにPM2.5フィルター試料をご提供いただいた。
著者情報
所属
- 気象研究所 〒305-0052 茨城県つくば市長峰1-1
Kouji
Adachi, Mizuo Kajino, Yuji Zaizen & Yasuhito Igarashi
貢献
K.A.はCs含有粒子を発見、IPおよびSEM分析を実施、原稿の主筆著者。M.K.は数値モデル計算を実施。Y.Z.はSMPSおよびAPS分析を実施。Y.I.はフィルター試料捕集を実施、研究を監督。全著者が原稿執筆に参画した。
経済的利益の背反
著者らは経済的利益の背反が存在しないと宣言する。
連絡先著者
補足情報
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リンク先に補足図を掲載。
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図S1.0.5~1.0、1.0~2.0、>2.0 µmの粒子個数レベル。本図のデータはエアロゾル粒子サイズ測定器(APS)を用いて得られた。3月15日前後のデータは、地震に起因する地域の電力供給不安定のために得られなかった。APSは屋上に設置。
図S2.走査型携帯粒子サイズ測定器(SMPS)で測定した7~289 nmエアロゾル粒子のサイズ分布。プルーム2期間中(3月20日~21日)の1 m3あたり粒子集積数の平均値は1.9×109であった。3月15日17:18以前のデータは地震に起因する緊急停止のために失われた。SMPS設置場所は屋上施設。
図S3.屋上施設で3月15日(左)および3月21日(右)に採取されたPM2.5フィルター資料のIPイメージ。左側のフィルターに斑点が多くある一方、右側のフィルターは全面が暗色になっている。イメージの特徴は、施設の地表レベルで試料採取したものを示す図2のそれと似ている。炭素法計測のためにフィルターを小片に切断し、再配置している(その痕跡が右側のフィルターにはっきり残っている)。IP分析のための露出時間は2時間。
図S4.SEM分析のための放射性粒子の選別。
a)
フィルターのIPイメージを捉え、フィルターの放射性物質を含む部分(点線枠内)を切り取る。
b)
フィルターの断片を約10層に薄切りし、それをガラス基板に貼り付けた炭素テープの上に置く。
c)
放射性物質の位置を特定するために、IPイメージを捉える。
d)
放射性物質を含む炭素テープを小断片に切り分ける。
e)
ゲルマニウム検出器を用いて、フィルター断片から放射性物質を検出。
f)
d) とe) の作業を繰り返し、フィルターと粒子個数を可能な限り小さくする。
g)
炭素糊料に埋め込まれた放射性粒子をSEMを用いて分析する。
図S5.放射性Cs粒子1のガンマー・スペクトル。検出時間は50,000秒。*印をつけたピーク(上昇点)は背景またはガラス基板に由来する。この試料分析は事故から2年後に実施され、半減期の短い放射性核種は放出時に存在したとしても、もはや検出されない。
図S6.3月14日~15日期間試料における放射性Cs粒子2のSEM分析。
a)
Cs含有粒子のSEMイメージ。粒子は炭素糊料中に埋め込まれ、部分的に石英繊維で覆われている。
b)
粒子中のCs元素分布。
c)
粒子中Zn、Fe、O元素分布。粒子1と違って、酸素は不分明。
d)
粒子中の選ばれた元素の折れ線グラフ。図a)に分析ラインを”line profile”と表示。
e)
粒子(黒線)およびガラス基板(赤線)のEDSスペクトル。
図S7.Cs粒子の浸水前後のSEMイメージ。両イメージに違いはなく、粒子が多分に不水溶性であることを示唆している。スケール棒:1 µm。
図S8.3月20日~21日期間採取のフィルター試料のSEM分析。
a)
拡散した斑点を含むフィルター断片のSEMイメージ(図2)。フィルターは数層に薄切りされ(図S4-b)、この画像はその薄切り片の1つのもの。
b)
フィルターのIPイメージ。放射性物質がフィルター全面に分布している。
c)
それぞれアルミノ珪酸塩鉱物および硫酸塩粒子に相当するAlおよびSの元素分布イメージ。これらの粒子はフィルター全面に分布している。
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