2015年3月31日火曜日

日本のカトリック司教団、フランシスコ教皇に原子力に対する警告を要請

NCR:独立カトリック情報誌 NATIONAL CATHOLIC REPORTER
日本のカトリック司教団、フランシスコ教皇に原子力に対する警告を要請
Japanese bishops ask Francis to warn against nuclear power in his encyclical
大震災6日後の2011317日、震災・津波で損傷した福島第一原子力発電所の空撮写真(CNS/Reuters/Kyodo
ジョシュア・J・マッカウィ Joshua J. McElwee  2015327
日本のカソリック司教たちは、2011年の福島第一原子力発電所の事故による健康への影響に取り組んでおり、フランシスコ教皇に対し、近く発表される環境に関する回勅に原子力の利用に対する警告を書きこむように依頼した。
日本の司教たちはローマの法王庁を訪問したさい、教皇に謁見し、フランシスコがあからさまに原子力を使用禁止にしなくとも、原子力には「命を脅かす非常に深刻な問題がある」と述べるように依頼した。
東京教区補佐司教、ヤコブ幸田和生は日曜日、「わたしたちは日本の原子力発電所に非常に明確に反対しています。わたしたちは、教皇に対し、近く公表される回勅で原子力発電所についてなにか述べるようにご依頼申し上げました」とインタビューで語った。
「教皇が非常に具体的なことばで原子力発電所を名指しにしないということはありえますが、人間のおごりが環境に対して多大な被害をおよぼしてきたのであり、命を脅かす非常に深刻な問題があると発言できるはずです。この文脈で、教皇は原子力発電所に言及できるはずです」と、補佐司教は言い加えた。
幸田はカリタス・ジャパンの担当司教をも務めており、日本のカトリック中央協議会常任司教委員会の委員長を務める東京教区大司教のペトロ岡田武夫も同席した日曜日の合同NCRインタビューで語った。
岡田と幸田は、世界中からやってくる司教団がそれぞれの教区について教皇に報告することを求められる法王庁公式訪問のさいの320日、他の日本人司教たち14名とともに教皇に拝謁した。
インタビューは日本のベリス・メルセス宣教修道女会に所属するシスター・フィロ弘田しずえの助けを借りて、英語と日本語を交えて約1時間おこなわれ、二人の司教は、謁見、フランシスコが教会にもたらそうとしている変革、日本の司教団が第二次世界大戦終結70周年を期して発表した声明について語った。
フランシスコは、環境・生態系の問題を語る回勅――教皇の教えを伝える最高形態の書簡――の執筆に取り組んでいると知られている。
法王庁報道局の副局長、御受難会修道士のチロ・ベネデティニ神父は23日、教皇がその週の予定をすべて解除し、6月か7月に公表されると予想される文書の「最終改定」に集中すると語った。
原子力の使用は日本で、東京から約300キロ北の仙台市の沖合で発生した地震と津波につづいて勃発した2011年のメルトダウン以降、論争の主題になってきた。
事故のあと、国内の原子力発電所は停止されてきたが、安倍晋三首相は、国内に54基ある原子炉のうち、少なくとも3分の1は再稼働したいと発言している。日本の司教たちはその計画に反対し、フクシマ惨事と――地域住民の約270,000人がいまだに仮設住宅暮らしを余儀なくされているという――その余波が、再生可能エネルギーへの移行の必要性を示しているという。
やはりNCRインタビューに加わっていた日本のカトリック中央協議会事務局長、宮下良平神父は、フランシスコが原子力に対する司教団の懸念をお聴きになって「大いに興味をお示しになった」といった。
宮下神父は、「猊下は文明が文明を破壊しうると申されました。男たちと女たちはこれが非常に進んだ文明であると考えていますが、起こったことは文明の破壊です」と語った。
「猊下は人類が文明を構築し、人間のおごりのために、人類は限界を超えて進もうとしているとおっしゃいました」と、宮下神父は語り、フランシスコが現代社会の状況をバベルの塔の物語にたとえられたと言い足した。
「人類はもっと謙虚になり、神のみことばに耳を澄まし、もっと簡素に暮らすべきです」と、岡田大司教は付け加えた。
岡田大司教はフランシスコが教会にもたらした違いについて語り、今回の法王庁訪問は、2000年に東京教区大司教に就任して以降、3回おこなった前回までの訪問とは「大きく違って」いたという。大司教は、これまでの教皇たちは各国の司教たちにひとりずつ謁見することを好んでいたが、フランシスコは一度に司教団全員と同席なさると話した。
「雰囲気はまったく変わってしまいました。教皇はどんなことであれ、やりとりなさることをお望みでした。どんなことを申しあげてもかまわないし、どんなことをお聞きしてもいいのです」と、大司教はいった。
岡田大司教は、フランシスコが特に日本の家族生活の状態についてお聞きになり、日本の司教たちは離婚事例の多さに対して取り組んでいるかとご質問になったと語った。日本の人口が2014年に268,000人減少すると推測されており、教皇は日本の低い出生率に懸念をお示しになったと大司教は話した。
日本のカトリック信徒は総人口のごくわずかを占めるにすぎない少数派なので、教皇は、人口減少の将来展望を抱える国におけるカトリック聖職者の職務を継続する方策について特段の関心を寄せておられると岡田大司教は語った。約12700万人の日本の総人口のうち、推計500,000人だけがカトリック信徒である。
東京教区大司教は、カトリックが国内の少数派であることを踏まえ、大司教自身と同国の他の司教たちが他宗教、とりわけ神道と仏教の人びととの共同事業に努力を集中していると語った。
「キリスト教徒は、とても、とても小さな集団です」と、岡田大司教はいい、他の宗教指導者たちと協力して、社会が直面する「問題の解決に努め、共通の目標をもつように司教たちは努力しています」と語った。
大司教は、宗教指導者たちはとりわけ環境・エコロジー問題に対処するために協力していると話した。
「いかなる宗教の信者であれ、世界全体と人類に影響している、この深刻な問題に関与すべきなのです。これは神学上の議論ではありませんが、地球全体に影響をおよぼす非常に深刻な問題に関与し、懸念を共有することなのです」と、大司教はいった。
岡田大司教はこうつづけた――「わたしたちが、環境問題など、このような非常に人間にかかわる問題に向きあわないなら、他の人たちは、『この人たちはなにをしているのだろう? この人たちは、人類全体、または宇宙全体に影響をおよぼす非常に深刻な問題に真の意味で関心を寄せたり、関与したり、参画したりしていないのだ』と考えるかもしれません」。
大司教は、環境における人間の役割に関するキリスト教徒の理解を語り、「わたしたちは、自然または環境に対するわたしたちの態度において、間違いを犯したのかもしれません」と述べた。
「創世記は、人間が生き物をすべて支配せよと述べています。しかし、わたしたちは神のみ旨のままに支配すべきです。だが、わたしたちは神ではありません」と、岡田大司教はいった。
「わたしたちは自然に対してあまりにも優越的になっています。わたしたちの法王庁訪問のさい、フランシスコ教皇は、人類は、神がわたしたちにお恵みになった自然の善に則ってふるまうべきだとおっしゃいました」と、大司教はつづけた。
東京教区大司教は、日本のカトリック中央協議会が2月に公表した第二次世界大戦後70年司教団メッセージ「平和を実現する人は幸い~今こそ武力によらない平和を」(英語訳文)について詳細に語った。
5項目の声明からなる、このメッセージは、日本の教会が平和のために――わけても、戦後日本の憲法のうち、戦争の放棄を宣言し、日本国政府に軍隊の保持を禁止する条項を擁護するために――働くことを約束している。
その条項、日本国憲法第9条は、近年、とりわけ安倍政権が、他国との集団的自衛協定の締結を日本に許すように、条項解釈の見直しを図っているいま、論争の的になった。
司教協議会のメッセージに、「わたしたち日本司教団が今、日本国憲法の不戦の理念を支持し、尊重するのは当然のことです。戦争放棄は、キリスト者にとってキリストの福音そのものからの要請であり、宗教者としていのちを尊重する立場からの切なる願いであり、人類全体にとっての手放すことのできない理想なのです」と書かれている。
岡田大司教は、日本で憲法に関する有力な考えかたが変わりつつあり、戦時中に日本の軍隊が犯した残虐行為を軽視する傾向が一部の人びとにあると語った。
「たとえば、侵略、植民地主義のわたしたちの歴史、近隣諸国との関係を一新したいという、なんらかの傾向があります。彼らは、これは本当じゃないというのです。一部の人たちは認めるのを拒み、この意見がますます大きくなっています」と、大司教は話した。
「(日本の司教たちには)状況を変えるだけの力がありません。しかし、わたしたちはこれについて発言すべきであり、わたしたちは、なにか、なにか新しいものを生みだせるかもしれません」と、大司教はいう。
日本の司教協議会の全面的な戦争放棄が、バチカンの教えに、そしていわゆる正しい戦争基準に則った戦争の使用をいまだに許容している他国の司教協議会の方針にどのように適合するか質問すると、幸田補佐司教は、日本の協議会がヨハネ23世教皇による1963年の「地には平和を」回勅に立ち返っていると述べた。
その回勅に、核兵器の時代において、「正義侵害を修復するための適正な道具として戦争を維持することは、もはや無意味である」と述べられている。
幸田補佐司教はまた、第2バチカン公会議の文書「歓喜と希望」に言及し、ヨハネ・パウロ2世教皇が1981年に長崎を訪問したさい、「イデオロギー、野望、要求の衝突は、戦争と暴力以外の手段で解決し、解消しうるし、そうする必要があります」と述べたことばを引用した。
イスラム国集団が大勢のキリスト教徒を殺害した中東における武力行使を考慮している法王庁外交官らに対して、日本の教会がどのように助言するのか、特に質問すると、幸田補佐司教は、「対話がほとんど不可能である状況があります」と述べた。
補佐司教はこうつづけた――「だが、同時にわたしたちは、暴力が平和をもたらすとは決して考えていません。わたしたちは暴力を信じていません。それは不可能です」。
【記者】
ジョシュア・J・マッカウィ Joshua J. McElwee は、NCRバチカン通信員。
E-mail: jmcelwee@ncronline.org. Twitter: @joshjmac.
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2015年3月24日火曜日

アルジャジーラ米国「混迷を深める米海兵隊基地の辺野古移設」




混迷を深める米海兵隊基地の辺野古移設
Japanese row over US island base move deepens
沖縄県知事が米海兵隊基地の移設計画現場における海中作業の停止を命令
2015323
日本政府と、駐日米軍の大部分を受け入れている沖縄の対立は、県知事が323日、この南の島にある海兵隊基地の移設計画現場における海中作業の停止を命令したのに伴い、激化した。
昨年11月の県知事選挙で反基地保守の翁長雄志氏が当選し、12月の衆議院選挙で与党候補たちが惨敗を喫して以来、安倍晋三首相の政権と沖縄はいつ衝突してもおかしくない動きを見せてきた。
翁長氏は海中調査作業を停止するように沖縄防衛局に指示したと記者会見で語っており、県職員によれば、その作業が現場のサンゴ礁を損傷している恐れがあると沖縄県は見ているという。
翁長氏は、1週間以内に作業を停止しないなら、201212月に前知事が与えた掘削作業認可を取り消すかもしれないと明言した。
普天間基地を人口の少ない沖縄北部地域に移す計画に遅れが出ることになれば、323日に発表した426日から53日にかけての訪米日程を目前に控えて、安部首相の頭痛の種になる可能性がある。
地域における中国の影響力の拡大が懸念されているおりから、バラク・オバマ大統領と首脳会談をおこなうことによって、安倍政権の安全保障政策強化を米国政府が了承していることが浮き彫りになると期待されている。
菅義偉官房長官は記者会見で、防衛省が県知事の文書を精査しているが、この作業は事前に県の了解を得たものであり、県知事がこのような措置をとったという事実そのものが「極めて遺憾」であると語った。その了解は翁長知事の前任者から与えられたものであり、現知事は昨年の選挙で前知事を倒している。
「現時点で作業を中止する理由は認められない」と、菅官房長官は明言した。
米国と日本は1996年、島内の人口密度が高い地域に置かれた普天間海兵隊航空基地の閉鎖に合意した。ところが、移設計画は住民の反対に阻まれて行き詰まり、住民の多くは基地を、騒音、汚染。犯罪と結びつけて考え、日米間安全保障同盟の不公正な負担と思える重圧が課されていると憤慨している。
沖縄は、日本政府の第二次世界大戦敗北から27年後まで日本の施政権下に返還されず、いまだに駐日米軍兵力の75パーセントを受け入れ、米軍基地が県土面積の18パーセントを占めている。
Reuters
【クレジット】
原文:

本稿は、公共・教育目的の日本語訳であり、商業目的の利用を一切禁止します。

警告「核戦争の間際、アメリカ国民は昏睡」 via @totalcollapse


核戦争の間際、アメリカ国民は昏睡 
2015322
アメリカ生まれで評価の高い作家、エリック・マーゴリス1は、キューバ・ミサイル危機に関して、2012年に「世界を揺るがし――破局の瀬戸際に追いこんだ13日間」2と題する記事を公開した。
キューバ・ミサイル危機3とは、もちろん196210月、ソ連が弾道ミサイルをキューバに持ちこんだ結果、米ソが13日間にわたって対決した事件である。この危機は世界の新聞やテレビで大々的に報じられ、冷戦が核の総力戦争に拡大する瀬戸際に世界を追いこんだ。
1962年に世界が核戦争の間際に追いつめられた戦慄的な状況になっていたことが最終的に周知されたのは、2002年になって、トーマス・ブラントン4(当時、アメリカ国家安全保障アーカイブ5理事長)が「ワシリー・アルキポフという名の男が世界を救った」ことを明らかにしたからである。
ブラントンが言及したソ連海軍のワシリー・アルキポフ6中佐は、キューバ・ミサイル危機のさなか、米海軍空母に対する核魚雷の発射命令を勇敢にも拒否したのである。マーゴリスが2012年の記事で、(米艦ルーズヴェルトに対する核魚雷攻撃によって確定的になっていたはずの)米軍のキューバ侵攻が現実になっていれば、戦域のソ連軍がアメリカの侵攻軍とフロリダ州南部の米軍基地に対して100発の戦術核を使用する権限を付与されていた7と指摘しているので、核魚雷の発射が実行されていたなら、第三次世界大戦の引き金になっていたはずだ。
現在に生きる人間にとって、これらの歴史的事件を知ることの重要性は、あの「世界を揺るがした13日間」が再度われわれの頭上に降りかかっているので…しかも峻厳な「隠された違い」を伴っているので、かつてないほど決定的になっている。
その「隠された違い」とは、あの当時と現在の相違点であり、1962年当時、アメリカ国民は核戦争が勃発するという由々しい危険に自国が直面していると知るのを許されていたが、今日、統治者らによるウソ以外、なにも伝えられていないということである。彼ら米国の施政権者らはとどのつまり、「アメリカ国民がわれわれの醜悪なウソ8を許したので、イラクを侵略できたのであり、いま国民がなにを考えているかは知る必要もない」と信じているのだ。
だが、この考えは真実だろうか? もちろん、不実だ! 真実はもっと単純であり、アメリカ国民がいまの事態を自分で知るのを許されるなら、大衆決起して、「いやだ!」というはずだ。
だが、ここで問題なのは、米国の主流メディアが、政府、銀行、企業のプロパガンダを垂れ流すための右腕になりくだっているので、だれかがアメリカ国民の知己を得て、起こっている事態を警告するにしても、その能力がほとんど完全に破壊されてしまっていることだ。
スノーデン文書が暴露するように、またグレン・グリーンウォルドが20142月に公開した記事9で「スノーデンの保管文書のなかに数々ある、まだ語られていないが、急を要する話しのひとつが、欧米諸国の諜報機関が虚偽と世評破壊を駆使する過激な作戦を用いて、オンライン公論を操作・制御しようと企んでいる状況である」と指摘するように、事態はさらに悪化している。
当局の目的を記し、スノーデンが暴露した米国の政府機関自体の最高機密文書9をひもとくと、当局自体がその目的を、「1)標的の評判を破壊するために、あらゆる種類の虚偽情報をインターネットに入力し、(2)社会科学、その他のテクニックを駆使し、オンライン公論と直接行動を操作して、望ましいと思われる結果を生じさせる9と述べており、政府機関がアメリカ国民に対してなにをしているのか、当局者自身のことばで読み取ることができる。
読者のみなさん、どうか次のように自問していただきたい――「どのような類いの政府が巨万の資金を使って意図的に、国民に真実を語ろうとする人の評価を破壊し、オンライン公論を操作するのだろう?
さらに、「どのような類いの報道機関が、政府が批判もされずに、このように振る舞うのを許しているのだろう?」と自問していただきたい。
これら2問に対するあなたの答は、ただひとつの結論にたどり着くだろう…あなたの政府であり、あなたの主流メディアであって、あなたが敵であると考えなければならない。
それに対して、われわれはあなたを敵とみなさないだけでなく…われわれはあなたがたそれぞれ全員がかけがえのない神の被造物として見ており…あなたがたには、真実を扱う方法を知る資格があるだけでなく、真実と虚偽の違いを知る能力がある。
これこそ、われわれが「プーチン、クリミア進入を軍に命令、NATOに戦争を警告10と題する2014224日付け記事を公開した理由である。
ところがこの記事は、すべてのソルチャ・ファール(Sorcha Faal)報告と同じく、(まさしくスノーデン文書によって断定されているように)米国民が最悪の事態に備えるのに必要な正しい時期を知るのを阻止しようとする米国政府の諜報工作員による攻撃をただちに受けた。
われわれは米国政府や主流メディアと違って、あなたに真実を知る権利があると、いつものように信じた。では、この特定の事例ではどうだろう? さて、プーチン大統領がつい先日の22日、ウクライナの首都、キエフにおける昨年221日・22日の親欧米派暴動を受けて、ロシアが核戦争の準備をしていたと自国民に明かした…われわれは2日後にはあなたに警告していた。
同じように先週末、米国の主流メディアがこぞって、プーチンが退陣させられた、彼のガールフレンドがスイスで出産した、彼は病気で死にそうであるなどと書きたてる記事で、プーチンの「不在」について騒いでいるさい、われわれは「英国が核先制攻撃の準備をしているため、ロシアが『戦争状態』の存在を警告」12という記事を公開し、プーチンが「国防省の保護下」にあると書いた。
プーチンは10日間、国防省の保護を受けたのちの316日、公開の場に再登場し、第二次世界大戦後のロシア史上で最大の軍事戦闘作戦を開始した…われわれはこれを「ロシアが戦争準備、モスクワ防空壕は満員間近13という記事で報告した。
われわれは315日付け記事「オバマがロシアの最高幹部スパイと面会、戦争は抑止不能と警告14で、オバマ大統領がつい先日、ホワイト・ハウスでFSB[ロシア連邦保安庁]長官と面会するなど、米国がEUと違って、制裁リストに掲載していないロシアのスパイ組織幹部2名と過去11か月のあいだに面会していたと伝えた。
さらに319日付け記事「米国の最高幹部司令官、対ロシア核攻撃を拒んで逮捕」15で、オバマから核戦力部隊への発射コードの伝達を任務とする米海軍の最高司令官の逮捕・拘留を伝えた。
さらにまた昨日の320日付け記事「米軍戦車のヨーロッパ大量派遣で、ロシアが国民に『核戦争準備』を警告16で、ロシア政府が全企業と雇用主総員に核戦争準備を命令し、米国がヨーロッパに戦車と装甲車両を大規模配備していた状況を報告した…昨年4月にすべて撤退させたと自画自賛してから、ほんの11か月後のことである。
ご注意いただきたいが、過去1周間におけるわれわれの記事見出しと、1962年キューバ・ミサイル危機のさいのニューヨーク・タイムズの見出しの唯一の違いは、われわれの見出しが、彼らがいま伝えて然るべきものであるという事実だけである…断じて、当方の落ち度ではない!
言い換えれば、ニューヨーク・タイムズとその同類はすべて、あなたが真実を知る必要があるとは、もはや思っていないということ…だが、いまでもわれわれはそう思う!
そして、たった今のことをいえば、米軍とNATOがバルト海沿岸諸国において現代史上で最大の広範囲展開戦争ゲームに興じており、ヨーロッパ東部を縦断する「部隊展開ライン」を形成している17…一方、同時に数千のロシア軍部隊に総力戦警報が発令されており、ロシア軍の核ミサイルが前線に移され、ロシア軍の核戦略爆撃機が空中で待機し、攻撃体制に入っている。
たった今、未知のままである唯一の事実とは、これら2陣営の巨大戦力が戦闘に突入するか否か、それは何時になるのか、だけである。はたして、突入するか否か? 何時なのか? 最初のほんの数分間で核戦争に拡大するので、ご安心のほどを…結局、オバマは2011年にカンサス・シティの大規模核兵器工場の建設18に着手しなかったが、なんにもならなかった!
筆者は、われわれが真実を語りつづけることができると言えたらよかったと思うが、言えない。読者のみなさんの多くがご存知のように、ここ1周間、われわれのサーバーが「デジタル兵器」による攻撃を受けて破壊され、16時間近くオンライン接続不能になった。他のサイトも攻撃され、サーバー破壊を免れたAntiWar.com(反戦ドット・コム)などのサイトは経済的に攻撃された…以下に、同サイトの投稿記事を紹介する――
「当サイトは2015318日付けグーグル・アドセンス通知を受け取り、当サイトの広告がすべて機能不全になったと通告された。なぜか? このページがイラクのアブ・グレイブで米軍部隊が犯した恐怖の虐待行為を暴いたからである。
「このページは開設後11年間、発信しつづけてきた。その全期間、グーグル・アドセンスは当サイトに広告を掲載していた――が、米国政府がイラクにおける再侵略、爆撃、殺戮、さらなる民間人虐待の準備を整えたところで、グーグル・アドセンスは突如として彼らなりの「反暴力」方針を決定し、「不穏なコンテンツ」を禁止、米国政府が下手人になり、経費をあなたの税金でまかなう暴力行為の描写をご法度にしたのである。このページは当サイト史上で3番目にビジター数が多く、開設してからの閲覧者数が200万に達している」19
昨日、この記事が投稿されると、AntiWar.comにとって、状況はさらに奇怪になった――
「更新:この野次馬に関する記事の結果、通信チャンネルが開き、グーグルが当サイトに連絡して、当サイトの広告を修復すると告げた。ところが金曜日の朝、筆者は当サイトからコンテントを撤回するように要求する別の通知を受け取った。グーグルはこのページを削除させなければならないと決定したのである。
「われわれには、グーグルにわれわれの編集方針を指令させる意向はない」19
グーグルがAntiWar.comに削除を要求したのは、次の記事である――
「頭をあげて~米国はウクライナで敗色」20
クリス・アーネスト 2014
米国はウクライナで平和を望んでいない――米国は支配を望んでいない。同地の状況が米国の眼前で吹き飛んでしまったいま、彼らが状況を変えようと目論んで、さらなる不安を煽っていると疑うのは理不尽ではない。20
だから、かいつまんで言えば、民衆側の…われわれのサイトやAntiWar.comのウェブサイトなどは政府および政府を権力の座に据えた企業の両者から攻撃されている。あなたが攻撃側のルールに従って行動しなければ、攻撃側はあなたを破壊し、あなたの評価を破壊し、あなたのサーバーを破壊し、すべて失敗に終わったとしても、あなたの稼ぐ能力も破壊する。
われわれに残されているすべては、あなただ…が、あなたはそこにいらっしゃるのか?
1930年代のこと、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒットラー首相は、「大きなウソをつき、何回も口説けば、そのウソは信じられる」と信奉者らに説いた。
世界一の賢人、アルバート・アインシュタインはヒットラーに対抗して、こういった――「世界は悪をなす者たちに破壊されないだろうが、なにもせずに悪を傍観する者たちに破壊されるだろう」。
第二次世界大戦による600万人の死が、ヒットラーとアインシュタインの両者ともに正しかったことを証明した…あまりも多くの人たちがウソを信じてしまったが、同時に、悪の所業を傍観しながら、なにもしなかった。
いまこそ、あなたの出番だ。
【脚注】
1.      Eric Margolis.
3.      Cuban Missile Crisis.
4.      Thomas Blanton.
6.      Vasili Arkhipov.
【付録】
The Man Who Saved The World -- Secrets of The Dead | PBS

完全版リンク 53:08
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