2016年3月31日木曜日

☢#フクシマ5周年☢高レベル放射線がロボットを殺す

科学のびっくり箱





ロボットを相次いで「殺す」フクシマ廃炉作業

掲載:2週間前

津波の襲来によって引き起こされたフクシマ核惨事から5年たって、汚染物質除去は予想外に困難な課題であることがわかってきた。

放射線レベルがあまりにも高くて、人間が入って、高レベル放射性物質を除去し、状況の悪化を防止することができない。

東京電力と東芝は一連の特製ロボットを開発し、核燃料棒を回収するために、発電所内の損傷した冷却プールの水面下に投入できるようにした。

フクシマの立ち入り不能区域に送り込まれたロボットは帰ってこず、発電所内の放射線レベルがあまりにも高くて、回路基板が機能を保持できないことがわかった。

帰還したロボットは一体もない。

ロボットが核燃料棒に接近すると、高レベル放射線のために回路が焼き切れ、ロボットは木偶(でく)の坊になってしまった。

2011年に津波が海沿いの福島第一核発電所に殺到し、反応炉3基をメルトダウンさせてから、廃炉作業が5年ばかり続けられている。致死的に高レベルの放射線のため、放射性物質を除去するために、または封じ込めるために現場区域に立ち入ることは不可能である。しかも、ロボットもまた大した仕事ができないこともわかってきた。

東京電力廃炉カンパニーの増田尚宏プレジデントはReutersが報じたインタビューで、「単一機能のロボットの開発に、2年かかります」といい、次のようにつづけた――

「核施設内部に到達するのは極めて困難です。最大の障害は放射線です」


東芝が福島第一原発の使用済み燃料プールからの核燃料集合体の除去を可能にする装置の機能を実演した。

この装置は、プール内の瓦礫をつかみ、裁断することができるロボットアームを備えている。

このアームは、プールからの核燃料集合体除去に使われる。

3号炉建屋内の放射線レベルが高くて、人間が現場に留まり、作業することができないので、装置は別の建屋で遠隔操作される。

東京電力は、この装置を年内に設置しはじめ、2018年に除去作業をはじめる計画を立てている。

【クレジット】

Out of the Box Science, ‘Fukushima Clean Up is “Killing” These Robots,’ posted at:

【フクシマ5周年シリーズ】


その他、ハッシュタグ「#フクシマ5周年」を参照のこと。



2016年3月30日水曜日

【海外ニュース】カナダBC州沖合で生まれたシャチの子どもに極端な性比の偏り


ヴァンクーヴァー・オブザーヴァー紙

シャチの子どもの偏った性比の原因は毒性物質なのかもと研究者ら

カナダ通信 The Canadian Press 
2016328

ブリティッシュ・コロンビア州南部海岸の沖合で生まれたシャチのオスの比率が高くなっているのが懸念されると研究者らはいう。Photo by The Associated Press/Elaine Thompson

【ヴァンクーバー】研究者らによれば、ブリティッシュ・コロンビア州沿岸沖合に生息するシャチ群の子どものうち、オスが多くなっており、懸念されるという。

南部生息シャチ個体群で20141230日以降、8頭の幼体が生まれているが、そのうちメスと確認されたのは、1頭だけであり、このため、シャチの今後に懸念される事態が引き起こされるかもしれない。

ワシントン州の鯨類研究センターは最近、さらにもう1頭の幼体がオスであると確認する報告を受け取った。

「以前にも非常に確かな手がかりを得ていましたが、いま非常によい写真が何枚かありますので、オスだとわかります」と、科学者のケン・バルコムさんは述べた。

J54と名付けられた幼体は、オスと確認済みの5頭のうちの1頭である。もう1頭がオスではないかと推測されており、残る1頭の性別は、今のところわかっていない。

メスのシャチが出産するのは、ほぼ3年に一度に限られているので、この性差の偏りは、幼体が出産適齢期になったとき、このシャチ群の繁殖が困難になることを意味している。

バルコムさんは、オスのシャチが自分の群以外のメスと番うことはないとして、次のように語った――

「理想的には、性差はおおむね半々です。世界各地で研究されてきた個体群の場合もその通りですし、この群の場合でも、当研究所が40年前に研究をはじめたときにそうでした」

最近のベビー・ブームでオスの出産が多くなったのはなぜか、その理由を研究者たちは探っており、バルコムさんはこういう――

「なんらかの毒性環境要因が関連しており、それが胎児に影響しているのではないかとわたしたちは考えています」

アシカ・アザラシなど、他の動物種の場合でも、毒性物質にさらされると、同じような傾向を示すと彼はいう。

それら毒性物質の出所は、放水路、農地、下水など、さまざまであり、バルコムさんはこういう――

「わたしたちは遅かれ早かれ問題を抱えることになります。わたしたちはその問題を鯨類に見ているのです」

彼は、毒性物質が鯨類におよぼしている影響を究明するためには、さらに研究することが必要であり、それには何年もかかると述べた。

南部生息シャチ個体群は、ブリティッシュ・コロンビア州南部沿岸およびワシントン州北部沿岸、セイリッシュ海で3群に分かれて生息する84頭のシャチで構成されている。


【クレジット】

Vancouver Observer / the Canadian Press, “Toxins may have caused skewed sex ratio in killer whale calves: researcher,” posted on March 28, 2016 at;

【セイリッシュ海】

2016年3月29日火曜日

エコロジスト誌【世界の潮流】ジョン・ピルジャー「世界戦争が始まった。沈黙を破れ」







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世界戦争が始まった。沈黙を破れ

ジョン・ピルジャー John Pilger
2016323

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1954年、マーシャル諸島ビキニ環礁で米国の11メガトン核爆弾が炸裂。Photo: US Government via International Campaign to Abolish Nuclear Weapons on Flickr (Public Domain).
世界は軍国主義の大波に呑まれており、われわれの多くは知らぬが仏であると、ジョン・ピルジャーは書く。米国の1兆ドル核兵器更新事業について、大手メディアが読者諸氏に教えてくれたのはいつのことだったのだろう? ロシアの西部国境におけるNATOの膨大な軍事力増強については? 米国の核基地ネットワークによる中国の囲い込みについては? 世界は戦争中である。事実を拡散しよう!

わたしは、太平洋の真ん中、オーストラリアの北方に浮かぶマーシャル諸島で映画を撮影していた。

わたしがどこに行っていたか、人に告げると、いつも決まって「それはどこですか?」と聞かれる。ヒントのつもりで「ビキニ」と口に出すと、「水着だね」と答える。

ビキニの水着が、ビキニ島を破壊した核爆発を祝って名づけられたことを知っている人はほとんどいないようだ。

マーシャル諸島で1946年から1958年にかけて、66基の核爆発装置が米国によって起爆されており――これは、12年間にわたり広島型爆弾を毎日1.6発分ずつ爆発させたのに相当する。

ビキニは今日、沈黙しており、変異し、汚染されている。椰子の木樹は奇妙な格子形状に育っている。動くものはない。鳥はいない。古い墓地の墓石は放射能にまみれている。わたしの靴はガイガカウンターで「危険」と判定された。

わたしは浜辺に立って、太平洋のエメラルド・グリーンが巨大なブラック・ホールに落ち込むのを見つめた。それは「ブラヴォー」と呼ばれた水素爆弾が残したクレーターだった。爆発は、何百マイルもの圏内の人びととその環境に、おそらく永久に、毒を盛った。

あなたにも、ビキニの体を。あなたの願いに、ご注意

わたしは帰路、ホノルル空港に降り立ち、『女性の健康』というアメリカの雑誌に気づいた。表紙には、ビキニの水着で微笑んでいる女性と「あなたにも、ビキニの体を」の見出し。

わたしは数日前、マーシャル諸島で、非常に違った「ビキニの体」の女性たちにインタビューしていた。各人が、甲状腺癌、その他、命にかかわる癌を患っていた。雑誌の微笑んでいる女性と違って、女性たち全員が貧窮しており、今日、かつてないほど危険になっている強欲な超大国の犠牲者であり、モルモットだった。

わたしはこの経験を警告に関連付け、われわれのこれほど多くを消耗させている気晴らしを遮断することにする。近代プロパガンダの創始者、エドワード・バーネイズは、この現象を民主社会の「習癖と意見の意識的・知的操作」と表現した。彼はこれを「不可視の政府」と呼んだ。

世界大戦が始まっていると、どれほどの人たちが気づいているのだろう? それは現状では、プロパガンダの、嘘と不和の戦争であるが、これは、最初の間違った命令、一発目のミサイルで瞬時に変わりかねない。

オバマ大統領は2009年のこと、ヨーロッパの心臓部、プラハの中心で熱狂的な群衆に向き合って立っていた。彼は「核兵器のない世界」をつくると誓った。人びとは歓声をあげ、泣き出す人たちもいた。薄っぺらな報道の奔流がメディアから溢れでた。オバマはその結果、ノーベル平和賞を授かった。

すべてまやかしだった。嘘をついていた

オバマ政権は、もっと核兵器を、もっと核弾頭を、もっと核兵器運搬システムを、もっと核兵器工場を造った。核弾頭支出だけでも、オバマ政権のもとで、いかなるアメリカの大統領の時代よりも膨れあがった。30年間にわたる経費は、1兆ドルを超えている。

ミニ核兵器が計画されている。それはB61モデル12の名で知られている。これと同様のものは、かつてなかった。統合参謀本部の元副議長、ジェイムズ・カートライト将軍は、「小さくすれば(核兵器使用を)考えやすくなる」と述べた。

過去18か月間において、ロシアの西部国境沿いに第二次世界大戦以来で最大の軍事力集積が――米国主導で――実現しつつある。ヒットラーがソヴィエト連邦を侵略したわけではないが、外国軍部隊が目に見える脅威をロシアに突きつけている。

ウクライナ――かつてのソヴィエト連邦の構成国――は、CIAのテーマパークになった。米国政府はキエフのクーデターを調整・指揮し、ロシアに隣り合っており、敵対している体制、文字どおり、ナチスで腐った体制を実効支配している。

ウクライナ議会の大物たちは、悪名高いOUN[ウクライナ民族主義者組織]とUPA[ウクライナ蜂起軍]のファッシストたちの政治的後継者である。彼らはおおっぴらにヒットラーを賞賛し、ロシア語を話す少数派の迫害と排除を要求している。これは欧米で滅多なことではニュースにならないし、あるいは裏返されて、真実が抑制されている

米軍は――ロシアの隣接諸国――ラトヴィア、リトアニア、エストニアに、戦闘部隊、戦車、重火器を配備している。世界第二の核大国に対する極端な挑発行為は、欧米では沈黙で迎えられている。

オバマの「黄禍作戦」

核戦争の見通しをさらに危険にしているのが、中国に対する同様な軍事行動である。

中国が「脅威」の地位に取り立てられなくなってから、日数が浅い。米国太平洋軍司令官、ハリー・ハリス提督によれば、中国は「南シナ海に砂の万里の長城を築いている」という。

彼が言及しているのは、南沙諸島における中国の滑走路建設であり、同諸島はフィリピンとの紛争――米国政府が圧力をかけ、フィリピン政府を賄賂で操り、ペンタゴンが「航行の自由」というプロパガンダ作戦を打ち出すまで、優先度のなかった紛争――案件になっている。

航行の自由とは、ほんとうはなにを意味しているのだろう? これは、米軍艦が中国の沿岸海域を哨戒し、覇権を握る自由を意味している。中国の軍艦がカリフォルニア州沿岸の沖合で同じことをする場合の米国の反応を考えてみるとよい。

わたしは“The War You Don't See”“[あなたが見ない戦争]という映画を制作し、そのなかで、米英の卓越したジャーナリストたち、つまりCBSのダン・ラザー、BBCのラゲエ・オマー、オブザーヴァー紙のデイヴィッド・ローズなどの記者たちにインタビューした。

彼らは全員揃って、ジャーナリストと放送局が自分たちの仕事をし、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有しているというプロパガンダに疑問視していたなら、ジャーナリストがジョージ・W・ブッシュとトニー・ブレアの嘘を増幅し、拡散しないでいたら、2003年のイラク侵略は起こらなかったかもしれず、数十万人の男、女、子どもたちは今も生きていただろうといった。

ロシアおよび/または中国に対する戦争の根回しをするプロパガンダは、原理として違いがない。わたしが知るかぎり、欧米の「主流」メディアに、中国が南シナ海に滑走路を建設するのは何故かと質問する――あえて言えば、ダン・ラザー級の――ジャーナリストはいない。

答えは、火を見るよりも明らかであるはずだ。米国は、基地のネットワークで、弾道ミサイルで、戦闘艦隊で、核兵器搭載爆撃機で中国を囲い込んでいる。

この壊滅的な弧状帯は、オーストラリアから太平洋の島々、マリアナ諸島、マーシャル諸島、グアム、フィリピン、タイ、沖縄、朝鮮半島、ユーラシアを横切ってアフガニスタンとインドまで伸びている。アメリカは中国の首周りに締縄をかけているのだ。これはニュースにならない。メディアによる沈黙、メディアによる戦争である。

米国とオーストラリアは2015年、高度な秘密裏に、タリスマン・セーバー(Talisman Sabre:守り刀)として知られる、単一のものとしては近年最大規模の空・海軍合同演習を実施した。その目的は、マラッカ海峡、ロンボク海峡などの海上交通路を遮断し、中国による中東とアフリカからの石油、ガス、その他の必須原料資源の調達を阻止する空・海軍合同戦闘計画の習熟だった。

そして今、トランプは「暴力のダーク・フォースを解放している」のか?

ドナルド・トランプはアメリカ大統領選挙戦として知られるサーカスで、奇人、ファッシスト呼ばわりされている。彼は確かに胡散臭い。だが、彼もまた、メディアの憎まれ役なのだ。このことだけでも、われわれの懐疑心を呼び起こさずにおれない。

トランプの移民観はグロテスクではあるが、デイヴィッド・キャメロン英首相のそれ以上にグロテスクというわけではない。米国の国外追放執行者は、トランプではなく、ノーベル平和賞獲得者、バラク・オバマなのだ。

ある大物リベラル派コメンテーターによれば、トランプは米国における「暴力のダーク・フォースを開放している」そうである。ダーク・フォースを開放する?

これは、幼児が母親を銃撃し、警察が黒人系アメリカ人に対する殺人戦争に勤しむ国である。これは、50か国以上、それも多くは民主主義国の政府を攻撃し、打倒しようとしてきた、またアジアから中東にかけて爆撃し、何百万もの人びとの死と財産喪失を招いてきた国である。

この組織的暴力の記録に匹敵できる国はない。アメリカの戦争のおおかた(ほとんどすべて無防備な国に対する戦争)は、共和党の大統領によってではなく、トルーマン、ケネディ、ジョンソン、カーター、クリントン、オバマといったリベラル派の民主党員によって開戦された。

1947年のこと、一連の国家安全保障会議指令文書が、アメリカの対外政策の最重要目標を「(アメリカの)自国イメージに重ねて形成された持続可能な世界」と表現していた。そのイデオロギーは、救世主アメリカ主義だった。われわれはオール・アメリカ人だった。他になにがある。異教徒は改宗させられ、倒され、買収され、中傷され、あるいは粉砕された。

ドナルド・トランプはこの病気の一症状であるが、彼もまた異端者である。彼はイラク侵略が犯罪だったという。彼はロシアや中国と戦争したくない。

「ヒラリー」――その値打ちがあるから?

その他大勢のわれわれにとって、危険なのは、トランプではなく、ヒラリー・クリントンである。彼女は異端者ではない。彼女は体制の復元力と暴力を体現しており、彼女の自画自賛する「例外主義」は、時おり覗くリベラルな面をともなった全体主義である。

大統領選挙の投票日が近づくにつれ、クリントンは――正しく、バラク・オバマが初の黒人大統領と囃し立てられ、リベラル派が彼の「希望」にまつわるナンセンスを丸呑みしたのと同じように――彼女の犯罪とウソにもかかわりなく、初の女性大統領として賞賛されるだろう。そして、戯言〔たわごと〕がまかり通るのだ。

ガーディアン紙のコラムニスト、オーウェン・ジョーンズによって、「実質的に他のすべての政治家を受け流す冷静さを保ちながら、ユーモアと魅力に恵まれた」と形容されたオバマは、他日、ドローン部隊を派遣して、ソマリア人150名を虐殺した。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、彼は通常の場合、火曜日にドローンによる死亡者名簿を手渡され、人びとを殺害するという。これほどクール。

ヒラリー・クリントンは2008年の大統領選挙戦のさい、核兵器でイランを「完全撃破」すると脅した。彼女はオバマ政権の国務長官として、ホンジュラスの民主政府の転覆に関与した。

2011年のリビア破壊に果たした彼女の貢献について、彼女はほとんど有頂天だった。リビアの指導者、カダフィ大佐がナイフで公開処刑――アメリカの兵站で可能になって、殺害――されたとき、クリントンは「われわれは来た。われわれは見た。彼は死んだ」といって、彼の死にご満悦だった。

クリントンの最も緊密な同盟者のひとりが、マデレーン・オルブライト元国務長官であり、彼女は「ヒラリー」を支持しないと言って、若い女性たちを攻撃した。彼女は、不名誉なことにTVで、イラクの子どもたち50万人の死を「その値打ちがある」と言って祝したのと同じ、あのマデレーン・オルブライトである。

クリントンの最大の後ろ盾になっている仲間内に、中東で暴力を煽り立てているイスラエル・ロビーと軍需産業の連中がいる。彼女とその夫はウォール・ストリートから大金を受け取った。それなのに、彼女は女性たちの候補に叙任され、邪〔よこしま〕なトランプは、公的な悪魔として見限られる。彼女の支持者には、米国のグロリア・スタイネム、オーストラリアのアン・サマーズなど、著名なフェミニストがいる。

われわれはどれほど簡単にバカされるのか…

一世代前のこと、いま「アイデンティティ政治」として知られるポスト近代カルトが、多くの知的でリベラル派精神の人びとに支持する大義や個人――オバマやクリントンのインチキ、それにまた、自国の人民を裏切り、敵と同盟したギリシャの急進左派連合のようなエセ進歩主義運動など――を検証するのを止めさせた。

「ミーイズム(自己中心主義)」の一種、自己陶酔が特権的な欧米社会の新しいツワイトガイスト(時代精神)になり、戦争、社会的不公正、不平等、人種差別、性差別に対する大衆共同体運動の終焉を発信した。

今日、長かった睡眠期間が終わるようだ。若者たちが再び目覚めようとしている。しだいに。労働党の指導者にジェレミー・コービンを推した英国の数千人の人たちは――バーニー・サンダース上院議員を支持して集会に結集した人たちと同じく――この覚醒の一部である。

英国で先週のこと、ジェレミー・コーエンの最も緊密な同盟者、コーエンの影の内閣・財務大臣、ジョン・マクドネルは、労働党政権になれば、海賊的な銀行の負債を完済し、実質的に、いわゆる緊縮政策を継続すると公約した。

米国では、バーニー・サンダースが、クリントンが指名される場合、彼女を支持すると約束した。彼もまた、自分がそれは「正しい」と考える場合、諸国に対するアメリカの暴力使用に賛成票を投じてきた。彼は、オバマが「大した仕事」をしたという。

オーストラリアでは、一種の葬儀場政治がはびこり、難民と先住民が迫害され、不平等が拡大し、戦争の危険が迫っている一方、メディアで飽き飽きする議会ゲームが演じられている。マルコム・ターンブルの政権が、いわゆる防衛予算を1950億ドルに決定すると発表したばかりであり、これは戦争に向けた動きである。論争はなかった。沈黙。

政党に束縛されない大衆直接行動の偉大な伝統になにがおこったのだろう? より良い、公正で平和な世界に向かう長い旅を始めるのに要する勇気、想像力、献身はどこにあるのだろう? 芸術、映画、劇場、文学に見る反対派分子は、どこにいるのだろう?

沈黙を粉砕する意欲のある人たちは、どこにいるのだろう? あるいは、われわれは最初の核ミサイルが点火されるまで待っているのだろうか? 



John Pilger 
ジョン・ピルジャーは、作家、ドキュメンタリー映画作家、プロデューサー、監督、報道記者。「30年間にわたる不正暴露および人権擁護」によって、誉れ高い2003年ソフィー賞を授与。2009年シドニー平和賞を授与。

本稿は、シドニー大学におけるジョン・ピルジャー講演“A World War Has Begun”[世界戦争が始まった]の再編集版。初稿は、彼のウエブサイトで公開

Follow John Pilger on Twitter@ @johnpilger.

【クレジット】

The Ecologist, “A World War has begun. Break the silence,” by John Pilger, posted on 23rd March 2016 at;

【付録】


ジョン・ピルジャー監督「盗まれた島」ディエゴガ... 投稿者 gataro-clone