長瀧重信医学博士「わたしたちは、福島県内の甲状腺癌の有病率について、地域的な差異を認めませんでした…日本では、放射線による健康への影響に比べて、災害による精神的・社会的影響が大きいのです」…記事中になんの根拠も示されていない! https://t.co/86xunqW5Kg
— inoue toshio 子どもを守れ! (@yuima21c) 2015, 10月 27
小児甲状腺癌発症に果たすフクシマ放射能の役割は不明確?
凡例:(原注)、[訳注]、〈ルビ〉
10月18日から23日にかけて、フロリダ州レイク・ビエナ・ヴィスタで開催された国際甲状腺学会の第15回総会およびアメリカ甲状腺学会の第85回年次総会で発表された研究報告の主筆著者によれば、2011年に日本で起こった福島第一原子力発電所事故で被曝した小児と若年者の甲状腺癌に対する放射線被曝の影響を断定するのは時期尚早とのことである。
この報告が発表されたのは、主として同じデータセットを用いながら、大きく違った結論を引き出している研究[日本語訳]が『エピデミオロジカル』(疫学誌)に公開された直後のことである。その論文の著者らは、フクシマの小児および若年者の甲状腺癌発症率に全体の約30倍の増加が認められると報告していた。
だが、甲状腺の手術を受けた福島地域の小児および若年者の組織学的に確定された症例は、どれほど多くの症例が放射線被曝を原因とするものなのか、「明確な知見をわれわれにもたらすものでない」と、共著者である福島県立医科大学・甲状腺内分泌学講座の鈴木眞一医学博士は主張した。
他の者たちも同じ考えであると、長瀧重信医学博士は21日午前の本会議講演で述べた。
「甲状腺癌の子どもがこれほど多いのを見て、わたしたちは驚いています」と、長崎大学、放射線影響研究所、東京の放射線影響協会の長瀧博士はいった。だが、「わたしたちは、福島県内の甲状腺癌の有病率について、地域的な差異を認めませんでした」。
福島県民の健康に対する影響に関する最近の有識者会議は、いまだに「これらの症例が核事故によるものと認めるだけの実体的な根拠がない」と結論づけたと長瀧博士は指摘した。
事故後のスクリーニング[一斉検査]で特定された甲状腺癌の確定症例は、目下のところ、「被曝以前にすでに生じていたように思われる」と、鈴木博士は論じた。福島事故後に確定された甲状腺癌の平均サイズとして、事故前の日本で見られたものに比べて、概して小ぶりな腫瘍であったと博士は報告した。
福島の原発事故の以前の割合[ママ]に比べて、小児および若年者の平均腫瘍サイズは有意に小さく(4.1 cm対1.4 cm)、患者の男女比率は低かった(1:4.3対1:1.8)と、鈴木博士は報告した。甲状腺癌患者の手術時の年齢もまた、福島事故後の患者のほうが高かった(17.4歳対11.9歳)。
「わたしたちは大変な数の(甲状腺癌の)子どもたちをスクリーニングで見つけたわけですが、(患者の)年齢はまったく違っていました」と、長瀧博士は福島とチェルノブイリの原子力発電所事故に関する本会議講演で指摘した。
「日本では、放射線による健康への影響に比べて、災害による精神的・社会的影響が大きいのです。社会福祉、抑鬱〈よくうつ〉――そして電力会社と政府に対する怒り、それに賠償の要求――が、大きな、大きな社会問題になっています」と、長瀧博士は話した。
福島事故の直後に確立されたスクリーニング事業は「究極の判断基準」をもたらすであろうし、外科データは――今後、福島地域住民の甲状腺癌の割合が上昇するか否かを判断するうえで決定的な事柄である――超音波スクリーニングによる過剰診断症例および過剰治療を監視するうえで重要になると、鈴木教授は語った。
鈴木博士は、スクリーニング事業について、また福島事故後に小児甲状腺癌の診断を受けた患者の治療について、次のように説明した――
「2011年3月11日の東日本大震災と津波につづいた福島第一原子力発電所事故のあと、福島県の住民は低線量放射線被曝が健康にもたらす影響に問題に直面しました。したがって、事故時に18歳以下だった人たちを対象に甲状腺超音波検査(TUE)が同じ年に始められました」
3回の予備的基本調査によって、2011年10月から2014年3月までに36,800人が一斉検査を受診し、それにつづいて、2014年4月から2015年3月にかけて、380,000人を対象とした本格調査が実施された。一次検査と本格調査の受診率は、それぞれ81.7%と44.7%だった。
この「大規模で先進的な」TUEスクリーニング事業によって、福島の小児と若年者の甲状腺癌が識別されたと鈴木教授は報告した。直径5.1 mm以上の結節および/または20.1 mm以上の嚢胞〈のうほう〉が認められた場合、確認検査が実施された。甲状腺癌の症例は穿刺吸引細胞診法によって診断されたと鈴木博士はいった。
悪性の疑い例が基本調査で113人、本格調査でさらに25人で診断された。このうち、それぞれ99人と6人の患者が手術を受け、基礎調査の1人を除く患者の全員が組織学的に甲状腺癌であると確認されたと鈴木博士は述べた。
94人の患者が乳頭癌(86典型的症例、4篩状〈ふるいじょう〉-桑実胚変種症例、3小胞症例、1拡散硬化性変種症例)だったと鈴木博士は報告した。3人は低分化甲状腺腫瘍と診断された。
「これらの症例は症状がないままに見つけられたものの、一部の症例は侵攻性であり、甲状腺外浸潤、リンパ節転移、あるいは遠隔転移を伴っていました」と、鈴木博士は指摘した。
2人の患者は両側性甲状腺腫瘍だった。残りの患者は同側甲状腺腫瘍だった。80%の患者はcT1腫瘍(30%:cT1a [< 10 mm] N0, M0; 50%:cT1b)、11%がcT2疾患であり、9%はcT3腫瘍だったと博士は報告した。7人の患者が気管腫瘍浸潤を起こし、2人が局所的リンパ節関与を伴っていた。2人の患者が診断時に転移性疾患を伴っていた。
甲状腺癌が確定した患者の福島事故時における平均年齢は24.8歳(±2.7歳)、診断時の平均年齢は17.4歳(±2.8歳)だった。甲状腺の全摘出は6症例に実施されただけであると鈴木博士は指摘した。他の患者は、片側甲状腺摘出(甲状腺片葉切除)を受けた。
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【クレジット】
Cancer Network, “Role of Fukushima Radiation
Unclear in Pediatric Thyroid Cancers?” by Bryant Furlow;
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