パイプラインに戦いを挑むカナダ先住民族
2015年10月1日
マイケイロ・プライスツパ MychayloPrystupa in News, Energy
No. 44/46
9月31日、ヴァンクーヴァーで開かれたマスケアム領地大会にて、マニトバのデレク・ネピナク大酋長(左)。その右に、カネサタケ、モホーク評議会のセルジュ・サイモン大酋長。Photo by
Mychaylo Prystupa, National Observer
全カナダの先住民族リーダーたちが、トランスカナダ社のエナジーイースト・パイプラインに対する反対運動を支援するために新たな全国規模政治同盟を結成しようとしている。酋長連合は、カナダ大草原と東部を結ぶオイルサンド・パイプラインを阻止するために、ブリティッシュ・コロンビア(BC)の教訓を共有したいと願っている。
ケベック、オンタリオ、マニトバ先住民族の酋長たちは9月30日、ヴァンクーヴァーで開かれたBCインディアン酋長会合において、エナジーイーストが自分たちの土地と水系にとって受け入れられないリスクになると見て、これに反対するための戦略の策定に協力する決議案を全会一致で採択した。この種で最初の「先住民族協定」はまた、オイルサンドの拡散全般に対処するためにも有効である。
ケベック州カネサタケのモホーク評議会のセルジュ・サイモン大酋長は、カナダ保守党のパイプライン推進政策が多くの先住民族を無視しており、「瑕疵」のある国家エナージー委員会の公聴会手続きを弄(ろう)して、パイプラインの承認を急いでいると語った。
サイモンはパイプラインについて、「わたしはハーパー氏に、『わたしたちを脅すことはできない。わたしたちを踏み潰すことはできない』と言ってやるつもりです。石油産業、その背後の経済には、人びとに告げようとしない選択肢があります」といった。
「わたしに石油が答えだと言ってはなりません――とんでもないです。答えからほど遠いです。石油は問題です」
わたしはハーパー氏に、「わたしたちを脅すことはできない。わたしたちを踏み潰すことはできない」と言ってやるつもりです。石油産業、その背後の経済が終局的なすべてではありません。人びとに告げようとしない選択肢があります。ドイツをご覧なさい。ドイツは、環境志向と長期にわたって維持可能な雇用に方針転換しただけで、短期間のうちに400,000以上の雇用を創出しました。だから、わたしに石油が答えだと言ってはなりません――とんでもないです。答えからほど遠いです。石油は問題です。ハーパー氏は、わが国の経済に連邦ドルを導入しようとしていますが、これは米ドルです。OK。やがて、米ドルは暴落します。すると、どうなるでしょう。そうなれば、カナダ経済も道連れです。別の分野で多様化した経済に転換しなければ、全員が没落します。すべて、保守党の石油、石油、石油のせいです。
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サイモンは新協定について、カナダ中部と東部の部族がパイプライン会社に対処することにも役立つと述べた。
サイモンはマスケアム領地大会において、「わたしたちはこれをエンブリッジかトランスカナダに見せつけて、『われわれは孤立していない』と言おうではありませんか…これは戦いの素晴らしい武器になります」と酋長たちに語りかけた。
モニトバの大酋長「気候が変動していることはわかっている」
先住民族が巨大パイプラインの2プロジェクト――エナジーイーストおよびエンブリッジ社の3号線付替え――に直面しているカナダ大平原では、先住民たちが「気候混乱」と水汚染の心配からプロジェクトに反対していると、マニトバの大酋長はいう。
モニトバ酋長集会のネピナク大酋長は、「わたしたちは、気候が変動していることがわかっています。科学者に言われるまでもありません。外に出れば、感じることができます。そこら一帯、森林火災だらけです」といった。
「ハーパー氏の天然資源開発戦略に付いていけば、領地を横切ってパイプラインが敷設され、タールサンドが増産され、わたしたちの未来の世代になにもやってあげられません」
「じっさい、わたしたちが私達の子どもたちと孫たちに重大な悲劇を約束しているのだとわたしは信じています」と、ネピナク大酋長は述べた。
トランスカナダのティム・デュボイス広報担当は、エナジーイーストが先住民族に雇用ともたらすものの、同社自体が、影響を受ける180近くの先住民および混血の地域共同体に働きかけ、地域の懸念を聞き取ろうとしているといった。
「先住民族の指導層が提起する問題は、非先住民族の地域が提起する問題の多くと同じです。水の安全性、環境保護、そしてもちろん、地球温暖化ガスと気候変動の問題といったところですが、それで、パイプラインがどうだということです」
デュボイス広報担当は、エナジーイーストによる石油搬送がディーゼル動力列車による石油輸送よりも温室効果ガスの排出量が少ないと付け加えた。
求められる代替エネルギー
ネピナク大酋長は、連邦政府には再生可能エネルギー開発のためにもっとできることがあると述べた。
「すぐそこに代替エネルギー源が存在し、政府はわたしたちがそれを開発するのを助けることができます。技術はあります。政府には、化石燃料産業からの転換をめざして、税額控除、奨励金、研究体制を創設する能力があります。
「これは経済の問題ではありません。今後1,000世代先まで…この領域で生命が維持できるように責任ある決断をする問題です」
ブリティッシュ・コロンビア先住民族の8部族が総選挙たけなわの10月1日、一か八かの訴訟に訴えるためにヴァンクーヴァーの連邦裁判所に結集し、209項目の条件付きでノザーンゲートウエイ・パイプラインを認可したハーパー政権による2014年6月の決定を覆そうと試みることになっている。
これらの部族の多くは、インキ・デーン連合――ノザーンゲートウエイ・パイプラインに反対するブリティッシュ・コロンビア北部先住民6部族の連合――に加盟している。このグループは、エンブリッジと戦ったBCの経験を、エナジーイースト・パイプラインに直面している先住民族とわかちあうための"West meets East"「西が東に出会う」カナダ横断ツアを終えたばかりである。
2015年10月1日
【クレジット】
NATIONAL OVSERVER, “First
Nations inspired by B.C. in battle against Energy East [VIDEO]” http://www.nationalobserver.com/2015/10/01/news/first-nations-inspired-bc-battle-against-energy-east-video
本稿は、公益・教育目的の日本語訳
【付録】
新設パイプライン 既設パイプライン転用
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