日本の政治家、女性に出産を呼びかけて性差別騒ぎ
日本政府の菅義偉官房長官が、出産を国益とみなして、戦時の発想に逆戻りでは、と問いつめられ、反論
先日のセレブ結婚について、コメントする日本の官房長官、菅義偉氏。Photograph: Eugene Hoshiko/AP
ジャスティン・マッカリー、東京駐在 Justin McCurry in Tokyo
2015年9月30日
日本政府の筆頭広報官が、女性たちに、もっと子どもを産んで、国益に貢献してほしいと呼びかけたことから、性差別のそしりを浴びている。
安倍晋三首相の親密な盟友、菅義偉官房長官の発言は、政治指導者たちが女性に、出産して、国家の軍事的野心のお役に立つように奨励していた戦争期に逆戻りしたような口ぶりだと非難を招いた。
菅氏は歌手の福山雅治さんと俳優の吹石一恵さんのセレブ結婚について、「ハハハ、本当、良かったですよね。結婚を機に、やはりママさんたちが、一緒に子供を産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれればいいなと思っています。たくさん産んでください」と発言した。
フジTVの29日の番組に出演したさいの菅氏の発言は、安部首相が、女性を労働力として活用し、官民両部門で女性が指導的地位に就く割合を2020年末までに30%に引き上げる政策を推進している折からのものである。
日本の国際男女同権比較に見る日本の実績は貧弱である。日本は世界経済フォーラムの2014年男女格差指数で、142か国中の104位にランク付けされている。就業率で見れば、男性の84%に対して、女性は64%であり、OECDに加盟する先進34か国のうち、日本は最低グループに入る。
菅氏は記者たちに問いつめられると、福山、吹石両氏の結婚で感じた喜びを伝えようとしただけであると答えた。朝日新聞によれば、「結婚について聞かれたので、大変人気の高いビッグカップルで、皆さんが幸せな気分になってくれればいいと思っている中での発言だった」と記者会見で説明した。
「結婚や出産は個人の自由だ。子どもを生みやすく育てやすい社会を作るのが政府の役割である」
戦時に逆戻りした発想ではないかという指摘に、菅氏は「それはまったく当たらない」と反論し、彼の発言は不妊治療を受ける女性を応援する政府の最近の取り組みと一致していると付け加えた。
菅氏は、女性の基本的な役割は生殖であると発言した日本で最初の大物ではない。安倍氏が首相を務めた第1期内閣のころの2007年、当時の厚生労働大臣、柳沢伯夫氏は女性を「産む機械」と表現し、国家の出生率低下を抑えるために「頑張ってもらう」とけしかけた。
今年上半期の新生児数こそ、少し上昇したものの、日本の出産率――つまり、妊娠可能年齢の女性が1人あたりで出産する子どもの数――は、平均1.4であり、日本の人口を安定して維持するのに必要だと専門家たちがあげる平均2.1より遥かに低い。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、出生率が現在とおおむね変わらない場合、現在で約1億2800万人の人口が、2060年には8670万人に縮小する。同年には、日本人の10人のうち、4人近くが65歳以上になると推計されている。
【クレジット】
The Guardian, “Japanese
politician in sexism row after call for women to have more babies”
本稿は、公益・教育目的の日本語訳
【記者会見】
【記者会見】
【ウィキペディア】
柳澤 伯夫氏「産む機械」発言
2007年1月27日、島根県松江市で開かれた自民党県議の集会で講演した際、少子化対策について、「機械って言っちゃ申し訳ないけど」「機械って言ってごめんなさいね」との言葉を挟みつつ、「15-50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と、女性を機械に例えて説明をおこなった。発言とその騒動は外国のメディアでも報道された。
柳澤は共同通信の取材に対し、「人口統計学の話をしていて、イメージを分かりやすくするために子供を産み出す装置という言葉を使った」と説明し、発言自体は直後に取り消したと述べた。
野党は大臣の辞任を要求し、2月1日の衆院予算委員会を欠席した。柳澤は結局辞任せず、2007年8月の安倍改造内閣発足に伴い退任するまで厚生労働大臣を務めたが、柳澤の発言は安倍政権に対する女性の支持率を低下させる一因となった。
政府は2月13日の閣議で、社会民主党衆議院議員・辻元清美の質問主意書に答える形で、柳沢発言について「女性の方々を傷付ける不適切なものであり、その発言が厚労相の真意、または政府の方針であるかのような誤解を国民に与えたと考える」との答弁書を決定した。
橋下徹は、この発言を「女性は子供を産む機械」と要約するのは歪曲であると主張した。
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