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福島第一原子力発電所の近くに住む小児と若年者の甲状腺癌症例が過剰になっていることを新しい研究が認めた。その発電所は、2011年3月の大震災と津波のあと、機能を喪失し、放射性物質を放出していた。
世界保健機関はすでに、福島の異常事態に引き続いて、甲状腺癌症例が急増するだろうと予測していた。福島県は、2011年の放射性物質放出から間もなく、18歳以下の全県民を対象に甲状腺癌の一斉検査事業を開始した。二巡目検査は2014年4月に始められた。
2014年末までに超音波検査で陽性症例と診断された2,251人のうち、2,067人がさらに検査を受け、110症例の甲状腺癌が検出された。そのうち、86症例が組織学的な観点で確定し、1症例が良性腫瘍と診断された。
岡山大学の津田敏秀医学博士が主導する研究者らは、一斉検査対象者を地域別に分けた。最も高い甲状腺癌罹患率比(IRR)は、日本の年間発症率に比べて、県内の中通り地方中部の50だった。この地域(の住民)は、震災・津波後に避難していなかった。
分析の結果、症例が見つからなかった「最低レベル汚染地域」だけを例外として、研究対象の全地域に過剰リスクが認められた。フクシマの「直近地域」におけるIRRは30だった。その地域では、甲状腺癌の甲状腺癌の有病率は100万人に356症例だった。IRRが最も高い中通り地方中部の有病率は100万人に605症例だった。
研究者らは、30倍程度の全体的な増加は、スクリーニング効果の結果であり、つまり日本の一斉検査の対象でない地域の子どもたちに症状のない甲状腺癌が潜んでいる可能性があるということで説明できるかもしれないと指摘した。だが、彼らは、IRRの規模が大きくて、そのような効果では説明できないと結論づけた。
研究者らはまた、これを核エネルギー史上における直近の類似事象と比較した。「チェルノブイリでは、ベラルーシとウクライナにおける甲状腺癌の過剰が事故から4年後または5年後にさらに顕著になったので、数年以内にさらに発症する潜在的症例に備えるよう、観測された過剰がわれわれに警告している」と彼らは書いた。
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【出処】
Cancer Network, “Elevated
Thyroid Cancer Incidence Seen in Children Near Fukushima Nuclear Plant”
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