2012年8月26日日曜日

20mSv/年被曝を強いる国際的陰謀の連鎖:ICRP・文部科学省・山下俊一


……委員会は、緊急時被曝状況および現存被曝状況における電離放射線被曝に対して適切な程度の防護を保証するための最適化および参照レベル使用を勧告しつづけている。
委員会は、緊急時期間中の公衆の防護のために、20ないし100ミリシーベルトの線量帯において最高限度計画残存線量としての参照レベルを設定することを国家当局に勧告しつづけている(ICRP2007、表8)。
放射線源が制御下にある場合、汚染地域が残っているかもしれない。当局は多くの場合、そうした地域を放棄するよりも、人びとが居住しつづるのを許容するためにあらゆる必要な防護手段を提供するであろう。委員会はこの場合、年間1ないし20ミリシーベルト帯域内の参照レベルを選定し、年間1ミリシーベルトへの参照レベル引き下げを長期目標とすることを勧告する(ICRP2009b、第48~50項)……
クレア・カズンズ ICRP委員長
クリストファー・クレメント ICRP科学事務局長
(参照)2011年11月28日「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」
クリストファー・クレメントによるプレゼンテーション
スライド9
参照レベル
l         最適化は参照レベルが指標となる
(福島に関連した時間枠を示す)
l         公衆防護
・緊急時被曝状況(月単位):20~100ミリシーベルト
・現存被曝状況(数年):1~20ミリシーベルトの最低限
・長期(10年またはそれ以上):年間1ミリシーベルト
l         参照レベル値と時間枠は、地域条件によって場所ごとに異なる
文部科学省生涯学習政策局長   板東久美子
                                                 初等中等教育局長  山中伸一
                                           科学技術・学術政策局長   合田隆史
                                                 スポーツ・青少年局長  布村幸彦
……国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)によれば,事故継続等の緊急時の状況における基準である20~100mSv/年を適用する地域と,事故収束後の基準である1~20mSv/年を適用する地域の併存を認めている。また,ICRPは,2007年勧告を踏まえ,本年3月21日に改めて「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル(※1)として,1~20mSv/年の範囲で考えることも可能」とする内容の声明を出している。
このようなことから,幼児,児童及び生徒(以下,「児童生徒等」という。)が学校に通える地域においては,非常事態収束後の参考レベルの1-20mSv/年を学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安とし,今後できる限り,児童生徒等の受ける線量を減らしていくことが適切であると考えられる。
……また,児童生徒等の受ける線量を考慮する上で,16時間の屋内(木造),8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると,20mSv/年に到達する空間線量率は,屋外3.8μSv/時間,屋内(木造)1.52μSv/時間である。したがって,これを下回る学校では,児童生徒等が平常どおりの活動によって受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる。さらに,学校での生活は校舎・園舎内で過ごす割合が相当を占めるため,学校の校庭・園庭において3.8μSv/時間以上を示した場合においても,校舎・園舎内での活動を中心とする生活を確保することなどにより,児童生徒等の受ける線量が20mSv/年を超えることはないと考えられる……
(1)    文部科学省による再調査により,校庭・園庭で3.8μSv/時間(幼稚園,小学校,特別支援学校については50cm高さ,中学校については1m高さの数値:以下同じ)以上の空間線量率が測定された学校については,別添に示す生活上の留意事項に配慮するとともに,当面,校庭・園庭での活動を1日あたり1時間程度にするなど,学校内外での屋外活動をなるべく制限することが適当である……
(2)    文部科学省による再調査により校庭・園庭で3.8μSv/時間未満の空間線量率が測定された学校については,校舎・校庭等を平常どおり利用して差し支えない……
2011年5月23日、文部科学省中庭に座らせられた福島の父母たち

国会事故調「学校再開問題」

……文科省が校庭利用制限の目安値として定めた空間線量3.8μSv/hという値は、ICRP 2007年勧告の非常事態収束後の一般公衆の受ける線量の参考レベルとして定められた1~20 mSv/年の上限値を採用して算出されたものである。しかし、その数値は、ほぼ同時期の4月22日に設定された計画的避難区域の設定の前提である積算線量20mSv/年と同等の値だったため、子どもの安全を図る目安値が避難を根拠づけるレベルと同等では高すぎるのではないかと、国民世論の強い反発を呼んだ。
……文科省は、空間線量3.8μSv/hを超えない学校について、校庭使用制限や開校延期など、合理的に実行可能な被ばく低減策を行っていない。放射線被ばくは、合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるというICRPの考え方を前提にすると、空間線量の目安値を超えない学校についても、何らかの被ばく低減措置を考慮しなかった文科省の態度については、問題があったと考えられる。
◇「親の声を謙虚に聞く」
福島医大で甲状腺検査の責任者を務める山下俊一副学長に、課題を聞いた。
−−検査の目的は。
◆県民の健康増進のための医療サービスで、決して調査研究ではない。WHO(世界保健機関)の推計で、福島住民の被ばく線量はどんなに高くても100ミリシーベルト。100ミリシーベルト以下の健康リスクは明らかには証明されていない、または非常に小さいというのが科学者の国際的合意だ。
−−県外でセカンドオピニオンを求める保護者が増えているが。
◆改善策を考えなければならない。医師の考え方とお母さんの立場にギャップがある。謙虚に声を聞き、信頼関係を築きたい。
−−放射線の影響をどう判断するのか。
◆小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。
2011年8月26日付け毎日新聞

【資料】国会事故調「学校再開問題」


国会事故調
東京電力福島原子力発電所
事故調査委員会
報告書
P.463-465
第4部 被害の状況と被害拡大の要因
4.4.4 学校再開問題
1)再開の可否から校庭利用制限の要否への論点の転換
 平成23(2011)年3月下旬から、福島県内の幼稚園、小学校、中学校及び特別支援学校(以下「学校」という)並びに保育所は随時春休みに入った。福島県は4月から予定される学校及び保育所の新学期に向けて、予定通り新学期を開始すべきか否かという問題(以下「学校再開問題」という)を検討していた。
 本事故後、原災本部では文科省が学校再開問題の判断基準の設定を担当すると決まった257。これを受けて文秤省は、平成23(2011)年4月6日、安全委員会に対して福島県内の小学校などの校庭の空間線量モニタリング結果を添付し、福島県内の小学校などの再開に当たっての安全性及び小学校等を再開してよいかについて助言を依頼した。同日、安全委員会は、①福島第一原発から20kmから30kmの範囲内の屋内退避区域については、学校を再開するとしても屋外で遊ばせることが好ましくないこと、②それ以外の地域についても空間線量率の値が低くない地域においては、学校を再開するかどうか十分検討するべきと回答した258。同日中に文科省は、安全委員会に対して、再度同内容の助言を依頼し、上記②の「空間線量率の値が低くない地域」の具体化を依頼したところ、安全委員会は、翌7日、文科省が自ら判断基準を示すべきであると示し、参考値として、公衆の被ばくに関する線量限度は1mSv/年であるとの助言を行った259。このような安全委員会からの助言があったものの、文科省は、さらに同日、安全委員会に対し、同様の学校再開の可否に関する助言を依頼したところ、前回の回答どおり、という回答を得た260。
 その後、文科省は4月9日、検討すべき問題を学校再開の可否ではなく、学校の再開を前提とした学校の校舎・校庭等の利用判断基準の数値へと変更した。その上でICRPの2007年勧告261の定める事故収束後の一般公衆の受ける線量の参考レベルの上限値を参考に被ばく線量20mSv/年を目安とすることを安全委員会に提案した262。これに対し、安全委員会は同日、①ICRP2007年勧告の参考レベルの上限直である20mSv/年の基準は限定的に用いるべきこと、②仮にこの値を採用するにしても外部被ばくと内部被ばくを併せて上記の値に収めるべきであり、本件のように外部被ばくのみの受忍限度を定めるためには、内部被ばくの寄与を外部被ばくと同等程度に見積もり、この上限値を2分の1程度にしたうえで目安を決めるべきという趣旨のことを助言した263。また、安全委員会の委員は、4月13日、記者会見で内部被ばくを考慮すると10mSv/年くらいを目指すことが望ましいと述べた264。
 しかし、その後文科省は、その過程で内部被ばくの寄与度が無視できるほど小さいと独自の計算を行ったうえで265、複数回の安全委員会とのやり取りを経て4月19日、被ばく線量1~20mSv/年を学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的な目安と決定し、20mSv/年という値にこだわった266。文科省はこの値に基づき、校庭・園庭で被ばく線量20mSv/年に相当する267空間線量3.8μSv/h以上が計測された学校等についてのみ、児童・生徒の屋外活動の利用を制限することとした。 3.8μSv/h未満の学校等については、校舎・校庭等を平常通り利用して差し支えないことを安全委員会ととりまとめ268、その旨を原災本部が発表した。これを受けて文科省は同内容を福島県教育委員会に対して通知を発出したこれにより、3.8μSv/hを超える13校(4月19日時点)が、屋外活動を1日1時間以内に限定することや砂場の利用制限などの校庭利用や屋外活動の制限を課された269。
 なお、福島県内の学校及び保育所は、概ね平成23(2011)年4月6日及び7日に新学期が開始しているが270、上述の文科省による検討論点の変更はこの時期と同じタイミングである。
 さらに、文科省は校舎・校庭等の利用判断基準を定めるにあたり、4月12日の安全委員会とのやり取りの時点で、校庭の利用制限を課さなければならない学校及び保育所の数を確認している。空間線量3.8μSv/hと、その2分の1の空間線量1.9μSv/hを利用判断基準として採用した場合に該当する学校数は、それぞれ福島県内で43校、414校(4月8日時点)だった271。
 文科省の検討論点の変更及び20mSv/年への執着は、現状を追認し、最低限の屋外活動の制限をするために行われたものであり、子どもの健康と安全への配慮という点では疑問が残る。
2)目安値の意味
 文科省が校庭利用制限の目安値として定めた空間線量3.8μSv/hという値は、ICRP 2007年勧告の非常事態収束後の一般公衆の受ける線量の参考レベル272として定められた1~20 mSv/年の上限値を採用して算出されたものである。しかし、その数値は、ほぼ同時期の4月22日に設定された計画的避難区域の設定の前提である積算線量20mSv/年と同等の値だったため、子どもの安全を図る目安値が避難を根拠づけるレベルと同等では高すぎるのではないかと、国民世論の強い反発を呼んだ。
 なお、チェルノブイリ原発事故から5年経過後のウクライナでは、居住することが禁止された強制退去区域の基準が、予測される実効線量で5.0mSv/年以上273であり、文科省の定めた校庭利用制限の目安値は、この基準と比しても高い線量となっている。
3)被ばく低減措置の対応
 文科省による福島県に対する校舎・校庭等の利用判断基準の通知の発出後、日本弁護士連合会274や日本医師会275は、校庭利用制限に対する慎重な対応を求める声明を発表した。さらに、高木義明文科大臣は、5月23日付で福島県の保護者70人から校庭使用の目安値20mSv/年の撤回の要請を受けた276。
 これらを受けて、文科省は5月27日、福島県に対して「福島県内における児童生徒等が学校等において受ける線量低減に向けた当面の対応について」と題する通知を発出し、上記の1~20mSv/年という目安を維持しつつ、平成23(2011)年度に、学校において児童生徒等が受ける線量について、当面、1mSv/年を目指すとしたうえで、福島県内の全ての学校と保育所に対して積算線量計を配布すること及び校庭等の空間線量率が1μSv/h以上の学校について、除染費用の財政支援を行うこととした。
 なお、文科省は、これ以前には福島県に対して教職員に線量計を着用させて被ばく状況を確認することを示したのみだった278。文科省は、空間線量3.8μSv/hを超えない学校について、校庭使用制限や開校延期など、合理的に実行可能な被ばく低減策を行っていない。放射線被ばくは、合理的に達成可能な限り低く抑えるべきであるというICRPの考え方を前提にすると、空間線量の目安値を超えない学校についても、何らかの被ばく低減措置を考慮しなかった文科省の態度については、問題があったと考えられる。
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257文科省ヒアリング
258安全委員会事務局資料
259安全委員会事務局資料
260安全委員会事務局資料
261社団法人日本アイソトープ協会『国際放射線防護委員会の2007年勧告』(Pubhcation 103)(丸善、平成21〈2009〉年)
262安全委員会事務局資料
263安全委員会事務局資料
264安全委員会記者会見(平成23〈2011〉年4月13日)
265日本原子力研究開発機構安全研究センター「福島県小学校等に関する線量評価」(平成23〈2011〉年4月14日)
266原災本部「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」(平成23〈2011〉年4月19日)
267児童生徒等の受ける線量を考慮する上で16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、20 mSv/年に到達する空間線量は、屋外3.8μSv/h、屋内1.52μSv/hである。したがって、空間線量率がこれを下回る学校等では、児童生徒等が受ける線量は、平常どおりの活動によって20mSv/年を超えることはないと考えられる。原災本部「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」(平成23〈2011〉年4月19日)
268原災本部「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」(平成23〈2011〉年1月19日)
269鈴木寛文部科学副大臣記者会見(平成23〈2011〉年4月19日)
270ただし、郡山市や相馬市などでは地震や津波の影響によって、校舎に損傷か見られる例があるなどの理由で学校再開が遅れていた。福島県内市町村(福島市、郡山市、伊達市、二本松市、相馬市、本宮市、会津若松市など)教育委員会ヒアリング
271安全委員会事務局資料
272これを上回る被ばくの発生を許す計画の策定は不適切であると判断され、またそれゆえ、このレベルに対し防護対策が計画され最適化されるべき線量又はリスクのレベル。日本アイソトープ協会『国際放射網坊護委員会の2007年勧告』(Publication 103)(丸善、平成21《2009》年9月30日)
273セシウム同位体の土壌汚染濃度が15 Ci/Km2以上、又はストロンチウム3.0 Ci/Km2以上、またはプルトニウム0.1 Ci/Km2似上で植物の放射性核種移行係数その他の要素を加味した人間の予測実効線量当量が事故前水準より5.0mSv/年を上回る区域。
274日本弁護士連合会「『福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について』に関する会長声明」(平成23〈2011〉年1月22日)
275日本医師会「文部科学省『福島県内の学校・校庭等の利用判析における暫定的な考え方』に対する日本医師会の見解」(平成23〈2011〉年5月12日)
276高木義明文部科学大臣記者会見録(平成23〈2011〉年5月24日)
277なお、文科省は、平成23(2011)年8月26日、除染費用の補助の結果除染が進んだことなどにより、3.8μSv/hを超える空間線量が測定される学校がなくなったことから、目安値を1mSⅴ/hと変更した。
278原災本部「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方」(平成23〈2O11〉年4月19日)

2012年8月25日土曜日

恐竜時代の終焉




哺乳類の時代 21世紀の第1四半期を振り返る
草の茂みから眺めた光景
私はトムディスパッチに非主流ニュースをまとめた歳末記事を2004年から書いてきた。けれど、2017年あたりから、見過ごしにしてきたニュースを掘り出すというお決まりのやり方や、希望の根拠にますますうんざりするようになってきた。そこで今年は目先を変えて、21世紀最初の25年間を振り返ることにした。でも、その方法を私に気づかせてくれたのは、6000万年前の動物だった。
先日、私は何人かのちびっ子たちをお借りして、このますます不安定になる ばかりの世界でいつでも頼りになるものを見にいった。科学博物館の恐竜時 代ジオラマである。そこでは、いつものティラノサウルスとトリケラトプス との迫力ある激突があった。プテロダクティルスが空を切って飛翔し、その うち一頭の歯をむいた口には、小さな爬虫類がくわえられていた。千年紀が 移る前、私が若かったころにブロントサウルスと呼ばれていた恐竜が、どこかぼんやりとした風情で草を食〈は〉んでいた。この劇的状況全体のなか、 簡単に見落としかねないものは、アシの茎や分厚い草葉の上でじっとしているトガリネズミに似た哺乳類であり、こちらは魅惑的なプテロダクティルス のスナック用としてもあまりにも小さい。私は子どもたちに、進化の道筋で 次に登場するものは、はじめはいつもあの哺乳類みたいに見えるのよ、と 言って聞かせた。つまり、とるにたりないもの、本筋から外れた存在である。公式の見せ場はたいてい巨大恐竜のぶつかりあいだ。
まさにこれこそが、主流ジャーナリズムが今世紀初めの10年間を、民主党・対・共和党、マクドナルド世界・対・地球規模のジハドといった、目に付きやすい二項対立概念の意味を議論することに費やした理由である。まるで、1770年代初期に、フランスとイギリスのどちらの絶対王政がアメリ カで覇権を占めるかということに政治論争の焦点が絞られたであろうように。あいにく、じきに前者の王は首をはねられ、もう一方は追放されてしまう。当時の壮麗な図体のきわみにあった絶対王政の君主たちは、その時代の恐竜であり、はじめはだれにも気づかれなかった18世紀の哺乳類は、「革命」と名づけられた。21世紀初めの哺乳類は、「地域主義」、あるいはたぶん「アナーキズム」、あるいは「市民社会主権」とすら呼ばれていたのかもしれない。ある奇妙ななりゆきで、風車建造者は連邦上院議員よりも重要になった。確かに風車造りのほうが上手に未来に備えていた。
http://blog.goo.ne.jp/jura2007/e/a8106fb600e2e1ea35e9ddd555a9610c
◎意見表明者9
はい。郡山市のIです。先ほどは郡山市内の団地を例に子どもたちの放射線被ばくをしている状況が放置されている、こういう無責任な国に原発を動かす資格はない、そういう論点で組み立てたわけです。
もう1点、2030年時点での原発の依存比率です。そういう前提で、この意見の聴取会、この会場は別ですが、そういう前提に立っていると思うのですが、2030年の経済状況です。この経済規模が、果たして成長は今よりも大きくなっているのか。あるいは現状維持であるのか。あるいは、今の経済よりも縮小しているのか。そういう前提が全く欠けているのです、不思議なことに。国家戦略を立てるのに、ほぼ20年後ですよね。17、18年後。このときの経済がどうなっているか、ビジョンを示していないわけです。私の意見でいえば、経済規模は必然的に減っているはずです。というのは、2000年代に人口がピークに達して、もう既に縮小局面に入っています。
これから、原発事故の影響もあって、人口はどんどん加速的に減少するはずです。ですから、経済が縮小するということは、エネルギー消費も減るはずです。ですから、原発を廃止すれば、石油の使用量は減る。これはうそです。原発を廃止しても、たった今、現在の石油使用量は減っていくはずです。ですから、その中で、原発を動かすのは新しい時代が目の前に迫っているのに、古い体制にしがみついて、まるで、そのまま滅んでしまった恐竜の末路を見るようなことになると思います。
私たちとしては、賢い哺乳類になって、新しい時代のエネルギーの使い方、これを真剣に考えなければならないと思います。もしも、原発に固執していたら、そのチャンスを失ってしまいます。ですから、今から新しい時代に適応できる哺乳類になって、エネルギー消費の効率化です。効率化技術をどんどん改善しなければならないと思います。ありがとうございました。
国の見通しをはるかに超えて、脱原発を求める意見が根を広げているのではないか。
2030年の電源構成を決めるために国はこの夏、「討論型世論調査」「意見聴取会」「意見公募」という3種類の調査を行ったが、いずれも原発ゼロを支持する人が最も多かった。
仙台市など全国各地で開かれた意見聴取会では原発比率0%が全体の約7割に達し、「15%」「20~25%」を大きく引き離した。意見表明者は原子力に批判的な人が比較的多いだろうと推測されていたが、それにしても大差だ。
国は近々、原発の在り方を決める。この結果をどう政策に反映するのか、今度こそ「脱原発依存」を掲げる民主党政権の本気度が問われる。
聴取会の集計には、三つの選択肢にこだわらずに意見を求めた福島市の分は入っていない。福島会場で意見を表明した30人のうち28人が「原発ゼロ」を主張し、しかも「即時廃止」を求めた人が多かった。
いずれも切実な訴えだ。「被災地だから厳しくて当然だ」などと簡単に片付けてはならない。全国の人々にとっても貴重な生の声になるはずだ。
福島市での聴取会で、田村市の男性は原発ゼロの理由を「単純明快」と話した。いったん事が起こると「人間の力ではもう制御できない」からだ。
須賀川市の女性は「この福島に、この世界中に、放射性物質がばらまかれた。一粒残らず片付けてください」と汚染の深刻さを訴えた。
原子力は人間が制御不可能に陥る危険性を持つ技術であること、いったん放射性物質で汚染されたら元に戻すのが絶望的になることは、多くの人の共通理解になっている。
田村市の女性は、関西電力大飯原発(福井県)の再稼働に対し「福島県民に失礼だったのではないか」と憤った。原発事故の後始末もしないままゴーサインが出されたことは、理不尽としか映らなかった。
歴史の転換点だという意識も強い。福島市の男性は「エネルギー政策の大転換を図る以外に、子どもたちにこの状況を説明できない。これだけの大きな犠牲を払って、何も変わらないでは済まされない」と訴えた。
郡山市の男性は、原発依存が続くことを「恐竜の末路」に例えた。「新しい時代が目の前に迫っているのに古い体制にしがみつくのは、滅んでしまった恐竜の末路を見るようだ」と話した。
原子力がこれからどこに向かうのか、福島県の被災者は自らの行く末と重ねて真剣に見つめている。発想を変えずに漫然と原子力を温存することになれば、「このようなことは福島で最後にしてほしい」(矢吹町の男性)という叫びにも似た心情の切り捨てにつながる。
原発ゼロの社会を目指すことは、多くの被災者の願いだ。それを思いやり、実現させるための想像力を喚起することが今、政治に求められている。

2012年8月23日木曜日

8.22野田首相あて「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」申入書


本稿は、「ふくしま集団疎開裁判」公式ブログ記事の転載。本文にも記されているように、8月22日、野田佳彦首相は首都圏反原発連合の代表11名に面会しました。
だが、野田首相には、巨大な規模に膨れ上がったとはいえ、あくまでも「首都圏」の運動である官邸前デモの「代表」に会う前に、やるべきことがあったはずです。
これまで再三にわたって、ふくしまの女たちは首相に面会を申し入れています。8月1日には福島市で「エネルギー・環境政策に関して福島県民の意見を聞く会」が開催され、発言者30名の100パーセント近くが「全原発の即時停止」を要求し、怒りや不安、さまざまな思いを表明しました。それに対して、細野豪志・環境・原発政策担当大臣は「その矛盾を今すぐに解決することはできませんけれども、ほんとにきょう皆さんからお話を伺って、その福島の皆さんにいかに寄り添うことができるか、どうすれば皆さんのお気持ちをほんとに受け止めることができるのか、きょうはそのスタートに改めてしなければならないと感じております」(速記録PDF)などと応えました。
明らかに原発事故被災者サイドから投げられたボールは、まだ細野大臣や野田首相の側にあります。そして、ここに引用する申入書は、その新たなボールになるはずです。
もう一言いわせていただければ、いかなる脱・反原発運動も現実の被災地の状況を置き去りにすれば、ノット・イン・マイ・バックヤード(わが家の裏庭だけはご免だ)運動にたちまち堕すはずです。
今日の面談に関して、市民の間では、福島の代表者を入れるべきだといった声が出ていたが実現しなかった。郡山で子どもたちの集団疎開を求めて裁判を起こしている「福島集団疎開裁判」は独自に記者会見を開き、代表・井上利男さんが「これまで、原発いらない福島の女たちなどが度々面談を申し入れてきたにも関わらず実現していない」として、福島の子どもたちを第一に据えるべきだとの考えを示した。

http://fukusima-sokai.blogspot.jp/
2012年8月22日水曜日
本日(8月22日)午後2時に、首都圏反原発連合の代表者11人が野田首相と会い、「野田首相に対する直接要求・勧告行動」を行ないました。
その中で、「福島現地からの声」の1つとして、ふくしま集団疎開裁判の会が作成した「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申入書を野田首相に手渡しました。
以下はその申入書の全文です。
そのあと、 ふくしま集団疎開裁判の会で以下の記者会見を行いました(動画はIWJより情報提供あり次第、お伝えします)。
時間:本日17時~
場所:衆院第一議院会館第3会議室
出席者:井上利男(ふくしま集団疎開裁判の会 代表)
    柳原敏夫(ふくしま集団疎開裁判 弁護団)
    おしどりマコ(芸人)
  ******************************
2012年8月22日
野田佳彦 内閣総理大臣
「ふくしま集団疎開裁判」の会
代表 井上利男
「ふくしまの子どもたちの集団避難の即時実現」の申し入れ
 道徳の究極の原理は「命こそ宝」であり、全ての政治の原点はこの命を守ることにあります。とりわけ社会の最も弱い立場の、傷つきやすく大切な存在である子どもの命を守ることこそ政治に課せられた最重要の使命です。
いま、この命が最も危機に瀕しているのが3.11以来放射能の被ばくを日々受け続けているふくしまの子どもたちです。
放射能は目に見えず、臭いもせず、痛みも感じない、そのため、その恐ろしさを私たちの日常感覚では理解できません。放射能の恐ろしさは科学、それも政治・経済の圧力に屈しない正しい科学の目を通して初めて理解できるものです。
チェルノブイリ事故が子どもたちを襲った健康被害の惨状をつぶさに観察・追求し、正しい科学の目を備えた海外の科学者、医師たちは、「いま、ふくしまの子どもたちの命が危ない」と次のように警告し、世界の話題になっています。
◎ 本年4月26日福島県から発表された甲状腺の「福島県民健康管理調査」で、13市町村の3万8000人の子どもたちの35%に「のう胞」が発見された問題に対して
l         「この子どもたちは追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が一年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5~10年かかるものです。これは、子どもたちが大変高線量の被曝をしたことを意味します。もしも悪性なら甲状腺の全摘出が必要です。子どもたちに甲状腺結節やのう胞があるのは、異常極まりありません!」(昨年4月、NYタイムズに「安全な被曝量というものはない」を寄稿した被曝問題に詳しいオーストラリアのヘレン・カルディコット博士)
l         カルディコット博士の上記見解に同意します。福島原発事故後にこれほどすぐに、多くの子どもたちに甲状腺の嚢腫や結節が見られることに驚いています、なおかつこの事実が世間に広く知られていないことに驚いています。(Business Insiderの取材に答えたアメリカ甲状腺学会次期会長、コロラド医学大学の内分泌科チーフのブライアン・ホーゲン博士)
◎ 低線量の内部被ばくによる健康障害が直接被ばくした本人のみならず、その第二世代により強く現れ、第三世代にはもっとより強く現れるという問題に対して(本年5月の講演「福島の失われた時間」)
「(放射能による)遺伝的損傷は、また特にゲノムの不安定性の原因となる遺伝子周辺の損傷は、親よりも子孫たちに、より重い状態で出現するという発見は、研究者たち驚かせた。世代から世代へと危険がどんどん高まっていくのである。‥‥『原子力事故が変異を引き起す力は、これまで疑われていたよりもはるかに重大であることを、今や私たちは認識している。真核生物のゲノムには、これまでは決して起りえないと考えられていた水準の件数で、変異が起ることを認識している』1996 年4 月25 日号「ネイチャー」誌の編集後記。‥‥(福島に対し)日本政府は何をすべきか。これ以上汚染と被ばくが続くことにより、遺伝的な損傷がこれ以上悪化することを遺伝学者の指導によって食い止めなければならない。」(元WHO専門委員、スイス・バーゼル大学医学部名誉教授のミシェル・フェルネクス博士)
◎ 昨年9月21日、衆院議員会館での講演「チェルノブイリ事故後のドイツ・欧州」
「福島の避難区域は、補償しなければならないという経済的理由によって小さく設定されている。政府が最優先で守らなくてばならないのは子どもたちであって、原子力産業ではない」(ドイツ・ミュンヘン大学教授、ドイツ最大の環境団体FoEドイツ代表のフーベルト・ヴァイガー氏)
正しい科学の目から見て、ふくしまの子どもたちの命はいま途方もない危険な事態にあります。
2009年の最新データによれば、350の英語論文を元にしたIAEAの従来の公表記録に対し、ベラルーシ語、ウクライナ語、ロシア語を中心とした5000の論文に基づいたヤブロコフ・ネステレンコ報告はチョルノブイリ事故により98万人以上の人々が命を失ったと報告しています。このままでは、人口密度がチョルノブイリの12倍とされる福島県で今後どれほど膨大な数の被害者が発生するのか、想像を絶するものがあります。
では、どうすればよいのでしょうか。簡単です。今すぐ、子どもたちを放射能の被ばくから逃がすのです。なぜ今すぐか。チェルノブイリで世界標準とされる住民避難基準が採用されたにもかかわらず、98万人もの犠牲者を出したのは、その住民避難基準が不十分だっからではなくて、その基準の採用が事故後5年も経過してからで、人々はその間ずっと被ばくし続けていたためで、避難するのが遅すぎたのです。だから、今すぐ避難する必要があるのです。かつて、「国を守る」心得として「備えあれば憂いなし」を好んで口にした首相がいましたが、その格言は「命を守る」心得として、今こそふくしまの子どもたちの命を守るための集団避難として、直ちに実行されるべきです。
「子どもの命を救う」ことは国の最低限の道徳的責務です。人権保障すらなかった、かつての軍国主義国家日本でも、また全体主義国家ソ連でも行ったことです。ましてや、憲法で国に「子どもたちを安全な環境で教育を受けさせる」義務を定め、世界の先進国・経済大国となった今日のわが国でそれができない理由がありません。のみならず、そもそも日本政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者は被害者を救済する義務があります。しかも子どもたちは遊んで原発をこわしたのでしょうか。子どもたちは福島へ原発誘致を賛成したのでしょうか。日本政府は加害者でありながら、福島第一原発事故に責任も関係もない100%被害者である子どもたちを救護しようとせず、このまま放置する行為は過去に例を見ない憲法違反の重大な人権侵害行為です。そして、この事実を知った国際社会から、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」にも該当する重大な違反行為であると非難されたとき、どうやって釈明するのでしょうか。
郡山市の14名の小中学生は、昨年6月、苦しみの中で救済を求めているふくしまの子どもたちの声に耳を傾けようとしない文科省と自治体の人権侵害行為をただすため、「人権の最後の砦」である裁判所に避難の救済を訴え出ました(通称「ふくしま集団疎開裁判」)。裁判はいま二審の仙台高等裁判所に係属中で、先ごろ、10月1日に裁判を開くという異例の決定が出され、子どもたちの避難の申立を却下した一審判決が見直される可能性があるという重大な転換を迎えました。
かつて世界大戦からの復興にあたって「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(憲法前文)と宣言した日本政府がこれ以上国際社会から「子どもの人権侵害の歴史に永遠の汚点を残した」と言われないように、また、ふくしま集団疎開裁判の重大な転換期にあたって、裁判所から「日本政府の放置は子どもたちの命を脅かす人権侵害行為である」と指摘される前に、原発事故からの復興の最優先課題として「命の復興」を掲げ、次の措置を直ちに実行することを切に求めるものです。
18歳以下の子どもたちを今すぐ被ばくの安全な場所に集団避難させること。
 以 上
【リンク】被曝問題に関連する記事・情報リンク集

【記者会見ビデオ】 IWJ7
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2012年8月21日火曜日

エネルギー・環境政策に関して福島県民の意見を聞く会:速記録(抄)


内閣府国家戦略室に設置されたエネルギー環境会議が主催した、8月1日「エネルギー・環境の選択肢に関する福島県民の意見を聴く会」にて、わたしの意見を表明する機会をえました。その会合の速記録が国家戦略室サイトに公開されていますので、司会者(下村健一内閣審議官)あいさつ、細野豪志環境大臣あいさつ、わたしの意見表明の部分のみをここに抄録します。
それにしても、発言を許された3分間なんて、とても短いですね。
他の方がたや他会場の意見表明を読みたい方のために、必要なリンクを付しておきます。
写真提供:Takemoto
☆ 以下、国家戦略室サイトより ★
ホーム > 政策 > 革新的エネルギー・環境戦略 > エネルギー・環境会議 >
福島市(平成24年8月1日開催)
(p.1~3)
エネルギー・環境の選択肢に関する福島県民の意見を聴く会
■日時
平成24年8月1日(水)14:30~19:00
■場所
福島テルサ FTホール
■参加者数
一般参加者:161名 報道関係者:47社130名
■政府側出席者
細野豪志 環境大臣/原子力発電所事故収束・再発防止担当大臣/内閣府特命担当大臣(原子力行政)
(内閣官房)清水康弘 内閣審議官、日下部聡 内閣審議官、下村健一 内閣審議官
(経済産業省)高原一郎 資源エネルギー庁長官、後藤収 経済産業省大臣官房審議官、山田尚義 東北経済産業局長
(環境省)鈴木正規 地球環境局長、鳥居敏男 東北地方環境事務所長
(内閣府)倉持隆雄 内閣府政策統括官
■当日の模様
※一般参加者のお名前については、英文字に置き換えさせていただきました。
<開会>
◎司会者(下村審議官)
大変長らくお待たせいたしました。ただいまから、エネルギー・環境の選択肢に関する福島県民の意見を聴く会を始めさせていただきます。本日はお忙しい中、そして大変お暑い中をお集まりいただきまして本当にありがとうございます。きょうは147 名の方にご来場いただいております。そして報道関係は45 社125 人の方がいらっしゃいます。参加を申し込まれた方の中で意見表明を希望された方から、無作為抽出で30 名の方にご意見の表明をいただきます。今、壇上には15 人の方にお並びいただいていますが、後ほど前半後半で分けさせていただいて、後半でもう15 人の方にご登壇いただきます。
今、政府はこの「エネルギー・環境会議」という場で、震災と、その後の東電福島原発事故を受けて、エネルギー・環境戦略の見直しということを行っております。6 月29 日のこの会議におきまして、2030 年のエネルギー・環境に関する三つの選択肢というものを取りまとめました。そして、以来、全国各地でのご意見を伺う会とか、さまざまな方法で今、国民の皆さんからご議論をいただいているという段階です。その中で、本日のこの場、福島県民の意見を聴く会という場を設けました。
ここで、まずその流れの中でのきょうのスケジュールをご案内いたします。まず初めに、エネルギー・環境会議の副議長を務めます細野豪志環境大臣からあいさつをいたします。次いで、政府担当者から、このエネルギー・環境に関する選択肢の概要について、ご説明をいたします。その後、抽選で決まりました30 人の意見表明者の皆さんから、ご意見を表明していただきます。この時間は休憩をはさんで、前半と後半に分けさせていただきまして、15 人ずつの方にお話を伺い、前半、後半のそれぞれの終わりの部分で、またそれぞれ、この中同士で、今の意見を聴いてこう思うがどうだろうかとか、ちょっとここを補いたいといったかたちでキャッチボールを行えればと思っております。そういったことが全て終わりましてから、皆さまにまたアンケートなどをお書きいただきまして、それも全て参考にさせていただきまして、エネルギー・環境の大きな方向を定める、革新的エネルギー・環境戦略、これを政府として決定するという段取りになっております。
それでは、まず開会にあたりまして、細野環境大臣からごあいさつ申し上げます。大臣、よろしくお願いいたします。
<大臣による冒頭の挨拶>
本日は大変皆さんお忙しい中、意見聴取会にお運びをいただきまして心より感謝を申し上げます。今日はウィークデーでございますので、それぞれ様々なご都合をですね、繰り合わせてお集まりをいだいたものというふうに思います。特に発表者の皆さんには事前のご準備も含めて、本当に今日こうして、それぞれの皆さんのご見解を表明をしていただくということで、重ねて感謝を申し上げます。ありがとうございます。はじめに、福島の皆さんにはですね、昨年の3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、大変なご迷惑、ご負担、そして依然として不自由な生活をですね、過ごしておられる方がたくさんいらっしゃると思います。そうしたすべての事について、政府を代表してまず心よりお詫びを申し上げたいというふうに思います。本当に申し訳ございませんでした。依然として、政府の対応が十分できていない中で、皆さんに大変不自由をおかけをしている状況でございますので、その問題についてはですね、できる限り福島県民の皆さまお一人お一人の声にこれからも耳を傾させていただいて、まさに皆さんの生活が少しでもですね、元に戻るように、さらにはいい方向にいくように努力をしてまいりたいと、そのように考えております。大変ご不自由をおかけいたしますけれども、ぜひ皆さん、お体に気を付けてお過ごしをいただきたいというふうに思います。さて本日はですね、エネルギー・環境についての意見を皆さんから聞かせいただきます。全国でこの意見聴取会をやっております。原発からですね、グリーンへという大きな方向性のもとで、3つの選択肢を政府では皆さんに提示をさせていただきました。それぞれの意見聴取会におきましては、それぞれのシナリオについて皆さんに意見をいっていただくという形をとっておりますが、この福島に関してはですね、それぞれのシナリオということではなくて、純粋に抽選をいたしまして、それぞれの皆さんにお話をいただくという、そういう形をとらせていただくことにいたしました。その理由というのはですね、福島におけるこの意見聴取会というのは他の場所での意見聴取会とは全く違う意味合いがあると考えたからであります。大変な原発事故が昨年起こりました。そしてその中で我々はエネルギーの問題について考えなければなりません。もっともですね、この原発の問題について深刻な影響を受けておられて、この問題にですね、問題意識をもっておられる福島県民の皆さんには、自由にご発言をいただくということが、これが政府としての責任ではないかというふうに考えたからであります。またご発言をいただく人数につきましても、他の会場から比較をいたしますと、できる限り数を増やしまして、多くの皆さまにご発言をいただきたいというふうに考えました。時間が若干長い時間になりますけれども、福島の皆さんの関心の高さということを考えれば、これも政府としては取るべき方針ではないかというふうに考えました。30名ということでございまして、この選にもれた方については大変申し訳ございませんけれども、直接ご発言をいただくという機会が無いわけでありますが、そこはですね、アンケートという形をとらせていただきたいと思います。今日は皆さんのお手元にアンケートがまいりますので、ぜひともですね、そこにそれぞれの皆さんの思いをお書きください。それについては、私はもちろんですが、政府の関係者が全てのアンケートの中身につきまして目を通しまして、その意見をしっかりと受けとめたうえで、これからのエネルギーの政策について検討する材料とさせていただきたいと、そのように思っております。今日の意見聴取会はこれまでのエネルギーの議論の中でも、もっとも重要な聴取会だというふうに思っております。私どもも心して聞かせていただきますし、ぜひ皆さまのご協力をいただいて有意義な会にしたいというふうに思っております。ぜひともご協力をいただけますように、心よりお願いを申し上げます。今日はご来場をいただきまして、本当にありがとうございました。
写真提供:Takemoto
(p.19~21)
◎司会者(下村審議官)
ご報告申し上げます。先ほど6 名の方がロビーにいらっしゃるということでしたが、さらに加えて、合計8 名の方に新たにお入りいただきました。ご入場いただいた皆さま、もしかしましたら、ちょっと分かりませんが、入り口でお時間を要してしまったかもしれません。その間、貴重な話を聞く時間が減ってしまったことをおわび申し上げます。
それでは続けます。続きましては9 番の方、よろしくお願いいたします。 
◎意見表明者9
皆さん、こんにちは。郡山市のI と申します。私は郡山市内の県営住宅に住んでおりますが、自分の自室の前が広場になっていまして、そこに大型の遊具が設置されています。
その場所で測定してみますと、1 時間当たり常時0.8 マイクロシーベルト内外の放射線量を示します。法規に定められた放射線管理区域の設定基準を1 時間当たり線量に換算すると、単純計算で0.6 マイクロシーベルトになります。「労働安全衛生法」に、事業者は必要のあるもの以外の者を管理区域に立ち入らせてはならないなどと定められています。この広場は本来なら、部外者の立ち入りが厳しく禁止されるはずの放射線管理区域に相当する場所です。
ですが現実はどうでしょう。放射線管理区域の標識もフェンスもバリケードなども設置されず、団地住民の幼い子どもたちが自由に出入りして遊んでいます。この団地の管理責任は福島県知事にあるはずです。その県知事が任命した放射線健康リスク管理アドバイザー3 名は、健康リスク回避を図らず、もっぱら放射線安全キャンペーンに奔走し、その代表格、山下俊一氏は、ミスター100 ミリシーベルトと国際的に揶揄されるありさまであり、山下氏が指導する福島県立医科大学の県民健康調査は、県民に信用されておりません。
福島県に見る放射能被ばく対策の実態の奥には、国の基本的な姿勢があるはずです。
昨年3 月の事故発生直後、アメリカ政府は自国民に原発事故現場から80 キロメートル以内の地帯からの待避を指示しました。イギリス大使館は、羽田空港に香港行きチャーター便を用意して、自国民だけでなく、旧植民地である香港の市民まで国外退避させたそうです。 翻って、わが国の対応はどうだったか。事故のさなか、SPEEDI 情報さえも隠し、逃げ惑う被災民を無駄に被ばくさせたことは周知の事実です。昨年11 月内閣官房に低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループが設置されました。これは国内外の科学的知見や、評価の整理、現場の課題の抽出を行う検討の場とされていますが、報告書や発表、概要などを読んでみると、低線量による健康被害を軽視するものが多く、また11 月28 日第5 回会合に、海外から招かれた報告者は、原子力産業との共存を説くICRP の科学事務局長、クリストファー・クレメント氏、あるいはベラルーシのエートス(ETHOS)プロジェクトで知られるジャック・ロシャール氏であり、政府の放射線被ばく対策は、健康リスクを回避するためのものではなく、これを隠ぺいし、経済的、社会的要因を重視する姿勢を見せています。
細野豪志原子力行政担当大臣をはじめ、内閣は国民の命と健康、なかんずく子どもたちと命と健康、そして未来を守るといった全体の奉仕者としての公務員の本文を忘れ、倫理的な混迷に陥っています。
昨年6 月、郡山市内の小中学生たちが、法律で定める一般人の年間被ばく許容限度、1 ミリシーベルト以下の安全な場所での教育の実施を求める仮処分を、福島地方裁判所郡山支部に申し立てました。ところが、野田佳彦内閣総理大臣が、なんの根拠も道理もなく、福島原発事故の収束を宣言したのと同じ、昨年12 月16 日、福島地裁の判事たちは、年間100 ミリシーベルト未満の低線量被ばくによる健康への影響は実質的に確認されていないなどという、放射線安全プロパガンダを宣言する、無謀な論理でこれを却下しました。法の番人たる裁判所までもが、いわゆる原発ムラによる圧力に屈したのです。
目下、この通称、ふくしま集団疎開裁判は、仙台高等裁判所で抗告審が行われていますが、世界市民法廷など、市民による合法活動によって、世界の良識の注目を集めています。日本が法治国家であるか、子どもたちを守る社会であるか、世界が今福島を見つめております。
◎司会者(下村審議官)
ありがとうございました。
◎意見表明者9
まだ。
◎司会者(下村審議官)
そうですか。ごめんなさい。ちょっとお時間が2 分ほど超過しておりますので、じゃあ手短にお願いします。また、もう1 回後ほど発言機会がございますので。
◎意見表明者9
じゃあ、もう1 点ありますので、その次の機会にじっくりと述べます。お願いします。
◎司会者(下村審議官)
分かりました。ありがとうございます。申し訳ございません。皆さまから、ご意見を伺うために、きょうは30 人という、いつもよりずっと多くの方にご登壇いただいておりまして、制約するのが本当に心苦しいのですけれども、ご協力よろしくお願いいたします。
では、10 番の方お願いします。
……
(p.32~33)
◎司会者(下村審議官)
ありがとうございました。以上で前半の部、15名の方からのご意見表明をいただきました。ここから、まだ言い足りないこと、それから新たにほかの方のご意見を耳にして、こういうことを加えたいというようなことがあれば、挙手をいただきたいのですが、かなりお時間が押しております。司会として、ちょっとつらいところなんですけども、きょう率直に申しまして、大阪や広島など過去の会場で、シナリオのいろいろな異なる意見の方同士のディスカッションというのは、この場でかなりあったのですが、きょうは本当にかなり同じ方向を皆さん向いていらっしゃいます。ここは、本当に議論というよりも、言い足りないことだけお話しいただいて、なるべく時間を短くして、後半の方のお時間を確保したいと思います。
そのうえで、先ほどの9番の方から、そのほか手をお挙げいただければ、今一言ずつ。では、今と逆順でまいりましょう。じゃあ9番の方から、若いほうの番号へ向かってお願いします。
◎意見表明者9
はい。郡山市のIです。先ほどは郡山市内の団地を例に子どもたちの放射線被ばくをしている状況が放置されている、こういう無責任な国に原発を動かす資格はない、そういう論点で組み立てたわけです。
もう1点、2030年時点での原発の依存比率です。そういう前提で、この意見の聴取会、この会場は別ですが、そういう前提に立っていると思うのですが、2030年の経済状況です。この経済規模が、果たして成長は今よりも大きくなっているのか。あるいは現状維持であるのか。あるいは、今の経済よりも縮小しているのか。そういう前提が全く欠けているんです、不思議なことに。国家戦略を立てるのに、ほぼ20年後ですよね。17、18年後。このときの経済がどうなっているか、ビジョンを示していないわけです。私の意見でいえば、経済規模は必然的に減っているはずです。というのが、2000年代に人口がピークに達して、もう既に縮小局面に入っています。
これから、原発事故の影響もあって、人口はどんどん加速的に減少するはずです。ですから、経済が縮小するということは、エネルギー消費も減るはずです。ですから、原発を廃止すれば、石油の使用量は減る。これはうそです。原発を廃止しても、たった今、現在の石油使用量は減っていくはずです。ですから、その中で、原発を動かすのは新しい時代が目の前に迫っているのに、古い体制にしがみついて、まるで、そのまま滅んでしまった恐竜の末路を見るようなことになると思います。
私たちとしては、賢い哺乳類になって、新しい時代のエネルギーの使い方、これを真剣に考えなければならないと思います。もしも、原発に固執していたら、そのチャンスを失ってしまいます。ですから、今から新しい時代に適応できる哺乳類になって、エネルギー消費の効率化です。効率化技術をどんどん改善しなければならないと思います。ありがとうございました。
◎司会者(下村審議官)
ありがとうございました。それでは続いて7番の方__
……