世界核産業現況レポート世界の核開発動向を独自に評価する
2014年10月19日 日曜日
シンド高等裁判所は2014年10月16日、パキスタン原子力委員会に対して、カラチ市の近郊で新規建造中の原子炉2基に関し、環境関連法規に合致していないと認定し、事業の継続を禁止した。
裁判所は市民グループが申し立てた請求を認め、(工事の)一時停止命令を下した。申立人らは、パキスタン原子力委員会、核規制委員会、連邦および地方の環境保護当局を、必要な環境保護認可手続きを踏んでいないとして被申立人に指名していた。
中国核工業集団公司による完成までの一括契約として提供される、各1100メガワット発電容量のACP-1000型炉2基の起工式は2013年11月26日に行われていた。2基の原子炉の単価は48億ドルであり、総額のうち65億ドルは中国側が提供する融資で賄うことになっていた。プロジェクトは、とりわけ技術の性格が実地に検証されていないとして、いつになくおおっぴらで遠慮のない反対の声を、政治指導者たち、地方役人たち、独立科学者たちから招いていた。
申立人側の法律顧問は、「ACP-1000型原子炉は目下のところ、設計図面上やコンピュータ・プログラムのなかに存在しているだけであり、カラチで稼働することになるACP-1000型原子炉に関して……実地経験、検証、実地試験はいかなるものもありません」と述べた。
沿岸部の立地点は地震活動が活発であり、カラチ市に2000万の人びとが住んでいるという世界有数の人工密集地の周辺で、いざ大事故が起こったという場合、大規模避難は実質的に不可能である。立地点は建造後40年のカラチ原子力発電所に隣接している。
1997年パキスタン環境保護法第12節の定めにより、プロジェクト提案者は、州環境法にもとづく当初環境検査報告が提出されない場合、または環境への悪影響が予想されるときに環境影響アセスメント報告が環境保護法による承認を得ない場合、建造または操業に着手することを許されない。原子力発電所の建造に先立って、環境影響アセスメントは不可欠である。
申立人らは、原子力委員会がパキスタン環境保護局、次いで州環境保護局と共同で提出した環境影響アセスメント報告がパキスタン環境保護法第12節第3項に甚だしく違反していると主張した。また、環境影響アセスメント報告の検証は一般参加者の招聘なしに実施され、関連情報が一般社会から秘密にされたままであるとも申し立てた。
China to build two nuclear reactors in Pakistan: report 中国 パキスタンで原子炉2基建造 |
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