2014年11月29日土曜日

【米国ローカル報道】市民グループが原発周辺で放射線レベル急上昇を検出

教訓:①市民の監視が大事、②原発は事故でなくても放射能を放出する。

市民グループが原発周辺で放射線レベル急上昇を検出
TAURO: Radiation monitoring shows startling spikes
ジャネット・タウロ Janet Tauro 20141127
市民グループがニュージャージー州レーシーのオイスター・クリーク原子力発電所の周辺地点の空間放射線量をモニタリングしている。
ニュージャージー州レーシーのオイスター・クリーク原子力発電所から日常的に周辺地域に放出されるリアルタイムの放射能レベルについて、連邦当局者やオーナー企業が地域説明会を開いたり、公表したりした最後の日はいつだったのだろうか?
そんなこと、あったのか?
答えに窮する設問である。だからこそ、市民グループが今年3月、全米規模の放射線監視ネットワークに参加したのである。グループは原発から半マイルないし40マイルのさまざまな地点の空中放射線レベルを記録している。コンピュータに接続した放射線検出器を使って、データは全米データベースに転送され、スプレッドシートに入力される。
市民たちが個人献金とパタゴニア財団助成金を資金として維持されたプロジェクトの期間中にオイスター・クリーク周辺地域で記録した1分間放射線計測値データは100万件に迫ろうとしている。
データは驚くべきものだった。放射能放出量が突発的に急増したできごとが2度あった。7月に起こった計画外の高温停止、そして10月に実施された年に一度の燃料交換のあと、送電を再開したときである。
天然起源の放射線はどこにでもあり、1分毎の変動は普通のことである。背景放射線には、エックス線やCAT検査の放射性物質を使う医療検査施設から拾うものも含まれ、宇宙線もある。
しかし、すべての核施設から放出される放射能は、核分裂反応の副産物としてのみ存在する放射性同位元素の混合物なので、背景放射線とは違っている。このような放射性同位元素で被曝すると、体のDNAに影響がおよぶことがあり、癌、遺伝的欠陥、流産のリスクが高くなる。放射性の放出物は、匂いも、色も、味もなく、五感で検知できないので、世間はたいがい放出に気づかない。
オイスター・クリーク原発が稼働している限り、低レベル放射能は放出されつづける。プロジェクト期間中に記録された放出物の計測値が連邦規制限度を超えることはなかったが、1990年代末から続けられてきた米国科学アカデミーの画期的な研究の成果、一般にBIER VIIと呼ばれる報告書は、継続的な低レベル放射線被曝に安全といえる量がないと記している。
市民グループによる検出にはさまざまなタイプの放射線が含まれ、施設周辺の地域社会の典型的な背景放射線のパターンを読み取ることができる。原発から最も遠く離れ、しかも風上に設置された検出器はコントロール(統計比較対照区)計測に使える。その地点の検出値は最低だった。
7月の9日間のあいだ、原発が想定外の高温停止に陥り、同時にグループ参加者たちは一定期間持続して急上昇した検出値を記録した。原発から半マイルの地点の検出値は通常パターンより43パーセント跳ね上がった。燃料交換中の上昇率は30パーセントに達した。(急上昇[spike]とは、全米プロジェクトの定義によれば、10分間以上の平均放射線計測値が通常平均値よりも22パーセント以上上回ること)
8か月のあいだで、7月のできごとほどに計測値が大きく跳ね上がったことはない。興味深いことに、ニューヨーク州タリータウン、インディアン・ポイント原発の周辺の別な市民監視グループが今年の夏、その原発が計画外の高温停止に陥ったときに同じような急上昇を記録している。
急上昇を原発以外の原因のせいにできるだろうか? そうかもしれないが、どれほどの可能性があるのだろうか? ラドンや宇宙線は通常、時間の経過とともに少しは変動する。空中に漂う医療用エックス線だろうか? 誰にわかるというのだろう? 検出器の設置場所は何マイルも離れている。それぞれの検出器が同時一斉に急上昇を記録し、最高値は原発に最も近接した地点で記録された。40マイル離れたコントロール用検出器は急上昇を記録しなかった。
確かに言えることとして、連邦原子力規制委員会は原子力発電所からの放射性放出物のモニタリング・システムを独自に構築すべきであり、そのデータをリアルタイムで公開し、一般人が容易に知ることができるようにしなければならない。現在、企業が自社の放出をモニターしており、データを規制委に送って、検査を受けている。さまざまな州の市民たちが自分たちのこととして、みずからデータを集めているのも、不思議なことではない。
原発が稼働してきた45年間、相当な量の放射能が環境中に放出された場合があってきたが、原発事業者や連邦規制当局から中身のある通知や説明はとんとなかった。
一般市民は、容易に閲覧できるリアルタイムのデータ、腹蔵のない議論、献身的な選出公務員を享受するに値する。だが、これが実現する日を待つのではなく、市民がみずからの実力を磨き、気軽にデータを集め、いつの日か、わたしたちの命、そして子どもたちの命にとても大きな影響をおよぼす人物たちに、説明責任を今以上に果たしてもらわなければならない。
【筆者】
ジャネット・タウロJanet Tauroは、Clean Water Actionニュージャージー州代表、GRAMMES(エネルギーの安全を求める祖母、母、その他の人たち)の創立メンバー。



写真出処:
CLEAN WATER ACTION >

Series of Cover-Ups Undermines Faith in Exelon




オイスター・クリーク原子力発電所


インディアン・ポイント原子力発電所

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